2017-01-01から1年間の記事一覧

他人に雇われる働き方はなくなるのか?

今回、不破哲三の社会主義論にちょっと戻ります。 不破が『マルクスと友達になろう』で述べている次の箇所についてです。 「生産手段の社会化」によって、社会がどう変わるか。具体的に見てみましょう。 まず、人間の労働のあり方が根本から変わります。他人…

たまきちひろ『ビットコイン投資やってみました!』

一昨日(2017年12月22日)はビットコインが急落した日だった。 仮想通貨バブルに転機が訪れている。米国勢を中心に高値警戒感を強める投資家が利益確定売りを急ぎ、代表的な仮想通貨ビットコインの先週の下落幅は約5000ドル(約57万円)と週間で過去最大を記…

ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』(その5)

ローマーの『これからの社会主義』については「あと1回」と書いたけど、前回記事のコメント欄を読んでみて思うところがあり、もう1回、前回の補足をしておきます。 所有と企業の民主化についてです。 世の中の「所有」のイメージが貧しすぎる まず、所有に…

ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』(その4)

ローマーの『これからの社会主義』について引き続きコメントをします。 今日は第5章「集権的計画経済はなぜ失敗したか」と第6章「市場社会主義の現代的モデル」についてです。 第5章「集権的計画経済はなぜ失敗したか」は、旧ソ連・東欧の「社会主義」経…

ムック編集部編、比嘉一雄監修『自重筋トレ100の基本』

筋トレをしている。 2ヶ月続いている。 と言っても、いわゆる「自重筋トレ」というやつ。 どういう気持ちで始めたかといえば、1年半ほど前に体重を絞ることに成功し、以後その体重を維持し、健康診断の数値もほとんど改善された。 しかし、このままの筋力…

PTA会長の「偉さ」今昔

桂正和『電影少女』を読んでいたら、PTA会長に見咎められて、退学処分になるというエピソードが出てきた。校長は寛容にしたのだが、PTA会長の息子を殴ったために、会長が許さなかったというのである。 *1 どんだけ偉いんだ、PTA会長……。*2 『うる星やつら』…

『このマンガがすごい! 2018』『サトコとナダ』

『このマンガがすごい! 2018』(宝島社)が届いた。 今回もアンケートに協力した。 150ページにぼくの回答が掲載されている(あと45ページの一部)。 『このマンガがすごい! 2018』を読んで初めて知るマンガもあった。ユペチカ『サトコとナダ』(星海社、…

「福岡空港の軍事利用に反対」はどの党の議員のスローガンか?

「脊振通信基地」は全面返還されたのか? ある左翼系の集会に出ていて、福岡市の米軍基地が返還されているかどうかが議論になった。 福岡市の米軍基地は、かんたんにいうと2つある。 一つは、板付基地。こちらは福岡空港である。荒木栄作曲の歌「この勝利ひ…

久遠まこと・玉井次郎『ソープランドでボーイをしていました』1

タイトルと表紙から想像されるものとはまったく違った。 株のビギナーズラックで正規の職をやめ、やがて大損して食い詰めて、大震災で首がまわらなくなり、妻子を養うために、ひとり異郷の地でソープランドの住み込みのボーイとなった、50のおっさんの過酷…

ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』(その3)

ローマーの『これからの社会主義』について引き続きコメントをします。途中から読んでもらってもわかると思います。 ローマーはソ連タイプの「社会主義」を批判し、「市場社会主義」をかかげているアメリカのアナティカル・マルクス派の人です。 さて、今回…

ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』(その2)

引き続きローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』についてです。 今回は第1章「社会主義者が望むもの」について。 理性で社会をつくろうとするローマー ここでローマーは、“これまでの社会主義者が搾取の終焉(搾取の廃止)を求めていたのはそ…

ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』(その1)

ジョン・E・ローマー『これからの社会主義 市場社会主義の可能性』(青木書店、伊藤誠訳、1995)について、コメントしていきます。 ローマーはアメリカのマルクス主義の一派、「アナティカル・マルクス派」の中心人物です。これを書いたときはカリフォルニア…

横嶋じゃのめ『合理的な婚活 〜DINKsを本気で目指すおたくの実録婚活漫画〜』

この記事が少々話題になってたんで買って読んでみた。 「子どもなし別居希望? それ結婚する意味あるの?」に対する答え、逆風に立ち向かうということ マンガ『合理的な婚活』著者インタビュー(3) - ねとらぼ http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1711/…

川崎昌平『重版未定』

クセになるマンガだ。 なんども読んでしまう。 『重版出来』がストレートな出版への情熱なのに対して、売れない中小出版の現場からの「情熱」は、冷めているように、倒錯しているように、無のように、見える。その幾重にもねじれて伝わってくるメッセージが…

小山田容子『そのとき、あなたは実家を片づけられますか?』

先日の記事で『母は汚屋敷住人』を紹介したけど、まあたいていの家はそこまでではない。 むしろ今日紹介する『そのとき、あなたは実家を片づけられますか?』(扶桑社)のように、実家の老親の家の片付けをどうしよう…的レベルの悩みの方が、数としては多い…

紅林直・佐藤賢一『かの名はポンパドール』

“大洪水よ、わが亡きあとに来たれ!”これがすべての資本家および資本家国民のスローガンである。それゆえ、資本は、社会によって強制されるのでなければ、労働者の健康と寿命にたいし、なんらの顧慮も払わない。(マルクス『資本論』第1部第8章、新日本新…

三浦佑之『金印偽造事件 「漢委奴國王」のまぼろし』

志賀島で発見された国宝・「漢委奴國王」の金印に偽造説が昔からあったということ自体を知らなかった。郷土史好きの同僚が「金印は亀井南冥が偽造した」と言っているのを聞いて、そんな説があるのかと最近知った。 そんなおりに本書に出会ったので読んだわけ…

高嶋あがさ『母は汚屋敷住人』

知り合いからいわゆる「ゴミ屋敷」の相談を受けたのだが、自分でもあまり有効な手立てがアドバイスできず、市議会議員に聞いてもあまりうまく処理できないケースだったので、けっきょくほとんどまともにかかわることができなかった。 こういうのを「支援困難…

小林エリコ『この地獄を生きるのだ うつ病、生活保護。死ねなかった私が「再生」するまで。』

小説のようだった。 というのは、第一に、文章が面白かったからである。「文の芸」だ。次々にページを繰ってしまった。 第二に、エッセイとルポの中間という意味で。「中間だから小説」ってどうなの、と言われると困るけど、エッセイほど主観に任せていない…

「あ」さんの問題提起で時短論を一部修正する

前々回と前回のエントリで不破哲三の時短論について疑問を書いてきた。 それぞれの記事について、コメントがついている。 うち「あ」さんが提起されているぼくへの批判(「紙屋は誤読しているのではないか」という批判)についてぼくもよく考えて再度コメン…

時短論補足

※この23日付および24日付の記事については一部疑問が解消し、修正をした。併せて読んでほしい。 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20171125/1511658305 前回の記事「抜本的時短のために『みんなが生産活動に従事する』ことは必要か?」は、それ自体とし…

抜本的時短のために「みんなが生産活動に従事する」ことは必要か?

※この23日付および24日付の記事については一部疑問が解消し、修正をした。併せて読んでほしい。 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20171125/1511658305 生産手段の社会化とは何か、を考える前に、生産手段の社会化が労働時間の抜本的な短縮をもたらすと…

『オーイ! とんぼ』

『オーイ! とんぼ』は売れているようだが、ゴルフ好き以外であまり話題になっていないように見える。気のせいだろうか。 ぼくは全然ゴルフをやらないし、技術もルールも醍醐味もろくに知らない。マンガとしても、金井たつお『ホールインワン』を読んでけっ…

『シリコンバレー式 よい休息』

そんなふうに思っていない人は多いけど、共産主義の目的は時短による自由時間の増大である。 「はあ?」「えーっ!?」って思うかもしんない。 労働時間の短縮で自由時間を増やして人間が全面発達する――という展望をマルクスは人間の解放だと見ていた。 だか…

子どもが1人で遊びに行くようになったのは小4からだった

前にこういう記事を書いた。 子どもを1人で遊ばせるのは何歳からか AERA11.2.21感想 http://d.hatena.ne.jp/kamiyakenkyujo/20110220/1298227438 この記事を書いたのは、今から6年前か……。 自分の子ども時代と比較して、一体自分の子ども(娘)は、何歳か…

『君たちはどう生きるか』

民主青年新聞(2017年 11月 20日付)に吉野源三郎『君たちはどう生きるか』のマンガ版(マンガ:羽賀翔一)についてのコメントを寄せました。 戦前(1937年)に子どもに向けて書かれた本で、「コペル君」というあだ名の主人公が叔父さんとノートを使って交流…

島本和彦『アオイホノオ』18巻

マンガ家・島本和彦の自伝的要素を取り入れたっぽいマンガ『アオイホノオ』は、いよいよ18巻である。 新人であるホノオモユルが、雁屋哲の近未来型忍者アクションものの原作を受け持つことになったものの、その第1話のスゴすぎる原稿をもらって途方にくれて…

河原和音『素敵な彼氏』5巻

河原和音『素敵な彼氏』5巻は、ずっとラブラブだった。 たいてい少女マンガにはいつもしょうもない危機がやってきて、二人を試すんだけど、ずっとラブラブ。ラブラブ展開、すっごく好き。 もちろん、あるよ。ずっとラブラブマンガって。 たとえば志摩時緒と…

斉藤章佳『男が痴漢になる理由』

これまでの人生において、ぼくの知り合いの中で、痴漢で逮捕されて職を失った人が2人いる。 一人は、電車で女子高生に痴漢をして逮捕された。 もう一人は、女性のスカートの中を盗撮して逮捕された。 どちらも大卒えせ文系インテリみたいな感じの人で、そう…

社会主義について

このブログでときどき社会主義について、本を読んで思ったことを書きたい。 ここでいう「社会主義」というのは主に、ポスト資本主義としての社会体制、「社会主義体制」「社会主義社会」のことだ。 そんなことを書きたいと思った一番のきっかけは、AI(人工…

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