2008年M-1グランプリを手数で分析してみた

結果が出た後はいくらでも語れるのです。

M-1を読み解き方を分かりやすく解説している。M-1とは、「さぁ俺を笑わせてみろ」という場だ。その場で戦うための最大のポイントは4分間に笑いどころをどこまで作ることができるのか。つまり手数をどれだけ増やすかにかかっている。ボクシングでも手数か技巧かでポイントは分かれるけど、笑った=有効打と考えると、笑いどころは多い方が良い。そういう視点で各コンビの漫才を見てみる。

  • ダイアン 619点 6位
    • サンタクロースを知らないと言うネタ。サンタクロースの説明に始まり、ボケがサンタクロースを知り楽しみにしていたら、本当はいないというストーリーは、ちょっぴり切ない。ネタ全体の仕上がりは良いが、ストーリーなだけにネタの入りまで長いのがダメだったか。大きな一発よりも数なのかもしれない。
  • 笑い飯 637点 4位
    • いつものスタイルでありながら、前半の闘牛士はボケ合いを敢えてスカしている点が面白かった。ボケ合いなので手数は相変わらす多い。いつも通りに最後はフェードアウトなのだけど、そこが毎回急所になっているように思う。前半の闘牛士を最後にもう一度使えば、全体としてまとまったのではと思う。
  • モンスターエンジン 614点 7位
    • ハリウッドネタ。吹き替え風のセリフ回しは良く出来ていた。ただ、コント漫才なのでネタの入りまでが長かったかも。宇宙人の件は、手が出てくるシーンが特に面白かったが、ディティールに凝ったせいか手数が減ったいたように感じられる。
  • ナイツ 640点/0票 3位
    • 決勝は宮崎駿について。最終はSMAPについて。ボケであるはなわの弟が淡々と微妙に間違いなら解説を繰り出し、ツッコミが入るスタイル。一つのボケに2度ツッコミを入れることで笑いどころを増やし、決勝、最終共に30以上の笑いどころを作り出している。
    • 決勝は、最後の下ネタでまくし立てた。最終の山場はガラスの十代の件で、ちょっと早すぎたように思う。また、全く同じスタイルで、別の面も見たかったのにという期待を裏切る形になってしまったかも。
  • U字工事 623点 5位
    • 栃木ローカル大丈夫かなと思ったら予想以上に面白かった。茨城を貶しすぎだろ〜と思っていたら最後にフォローしている辺りが良いなと感じた。栃木なまりのしゃべくり漫才で、笑いどころをもたくさんあったと思うが、ローカルネタ過ぎて関西中心の審査委員には面白さ分からないネタかもと思う。というか、北関東の人以外だとやはり面白さの度合いは下がってしまうだろう。
  • ザ・パンチ 591点 9位
    • グダグダ過ぎる。このグダグダ感が彼らのよさなんだろうけど、「俺を笑わせろ!」というスタンスのM-1で戦うネタじゃないように感じた。もっと、深夜とかグダグダした時間帯に見るネタだ。
  • NONSTYLE 644点/5票 1位
    • ストーリー仕立てながら、笑いどころが実に40弱もあるという漫才。笑いどころを生み出す原動力は、白いボケがセルフツッコミを行うことで手数を増やしている点。通常のツッコミとセルフツッコミ、さらにそれに対するツッコミと実に通常の3倍の笑いどころを作り出す。白いくせに。ツッコミはタンクトップにスーツ着てるくせに。
    • ツッコミを濃縮することで、4分の間に緊張と緩和を生み出すことに成功している。ストーリー仕立てだから緊張と緩和を生み出せ、全体としてまとめることができる。その点が優勝に繋がったか。
  • キングコング 612点 8位
    • 昨年の勢いは一体どこへ。笑いどころはあったけど、ちょっとオーソドックス過ぎたか。漫才は台本があるけど、如何にも今出来たようにしゃべらなければ面白くない。だけど、如何にも台本を読んでいるみたいで、決められた道を進んでいる感が面白くないと感じた要因だろうか。
  • オードリー 649点/2票 2位
    • 最終に残った、ナイツ、NONSTYLE同様笑いどころが30強もある。やはり手数か。特に決勝のネタは、ボケもツッコミも度付き合うことで、2倍の笑いどころを作り出していた。ボケのキャラが立っているのもありますが、4分間ずっと笑い続けた漫才だった。
    • 最終のネタは選挙演説。ボケが選挙の声援に徹するという実験的な漫才なのだが、ネタの仕組みの説明が必要で、終盤の聴衆が倒れたり、はけたりというネタはちょっと失速気味だったと思う。もうちょっと、聴衆との掛け合いを楽しんでみたかった。

手数と言う点では、最終に残ったコンビが圧倒的に多かったと思う。二度ツッコミを入れるナイツ、互いにツッコミを入れるオードリー、セルフツッコミのNONSTYLE。その中で、手数も増やしながら笑いどころを濃縮し、4分間に緊張と緩和を生み出したNONSTYLEが評価されたのではないだろうか。
笑いどこを詰め込むM-1のスタイルが正常な漫才の進化かは分からない。しかし、レッドカーペットなど短い時間で笑いを取る番組が多い昨今、しばらくはこのようなスタイルで進化していくのではないだろうか。

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