今、最も重要なセキュリティ課題は「データ主権」

一部の企業が膨大なデータを保有し、その影響力を拡大させるなか、データ主権は法的問題にとどまらず、ビジネス戦略における重要な鍵を握ります。また、生成AIの急速な進展により、データ主権の課題は今まで以上に複雑化しています。

例えば、DeepSeekやChatGPTのような高度な大規模AIモデルは、世界中から膨大なデータを収集・学習し、処理を行います。しかし、データ主権に関するルールを確立している国や地域は少なく、適切なガバナンスの枠組は統一化されていません。

一方で、規制環境が未整備な状況でも、企業や個人のAI活用は拡大しています。各国でデータ保護に関する法整備が進められているものの、AI技術の進歩や普及はそれを上回る速度で進行しており、データ活用と保護のバランスの模索が課題となっています。

総務省の令和5年版情報通信白書によると、日本の消費者は個人情報の提供に関する不安について「よくわからない」と回答する割合が、他国と比べて非常に高いことが明らかになっています(日本:18.2%、米国:3.2%)。AIは、データ管理やプライバシーにおける課題を提起する一方で、消費者の意識を向上させるきっかけにもなり得るでしょう。

日本政府は、2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティ月間」と定めています。この機会に、企業はセキュリティやプライバシー保護に関する対策を見直すとともに、これらの顧客への明確なコミュニケーションを強化することをお勧めします。

消費者が求める「便利な」プライバシー保護

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