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【総選挙2014】ネット上の盛り上がりはイマイチ? グラフで見る衆院選2014

  • 閑歳孝子 (株式会社 Zaim 代表取締役)
  • 2014年12月14日


© iStock.com/UygarGeographic

ネット選挙が解禁された2013年7月の第23回参議院議員選。ブログはじめ、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用した選挙運動ができるようになり、各政党や候補者がこぞって選挙期間中にネット上で情報発信する事例が相次いだ。それから約1年後、今回の第47回衆議院議員選は、ネット選挙解禁後の初めての衆議院選となる。

ソーシャルメディアでは次世代の党と共産党が躍進

今回、各政党はソーシャルメディアをどう活用しているのだろうか。ビッグデータ解析サービスを運営するユーザーローカルの調査によると、FacebookやTwitterのフォロワー数はいずれの党も前回の選挙時から合計1.2倍以上伸びている。


各政党のFacebook公式ページとTwitter公式アカウントのフォロワー合計数の比較(前回の選挙時/今回の選挙時)

絶対数で見ると自民党が圧倒的に多いものの、前回の選挙では計測対象外だった次世代の党のフォロワーが急増。自民党・公明党に次ぐ規模となっている。

また伸長した割合で見ると、目立ったのは共産党。1年前に比べ、約2倍のフォロワー数に達した。

共産党は、フォロワーのエンゲージメント(肯定的な行動)においても改善が見て取れる。各政党のFacebook公式ページのフォロワーのうち、「コメント」または「いいね!」いずれかの反応を示した人数の割合を「反応率」と定義すると、反応率の記事ごとの平均値は共産党と社民党、生活の党などで前回選挙よりも向上している。


各政党のFacebook公式ページの反応率。2014年は12月2~8日に投稿された記事ついて集計

一方で反応が鈍くなったのは民主党と公明党。特に公明党は、前回の選挙時では最もフォロワーからの反応率が良いFacebookページを運用していたが、今回は約半数に落ち込んでいる

LINEアカウントを継続しているのは公明党・共産党・民主党

いずれの政党も、FacebookやTwitterに毎日記事を公開するなどソーシャルメディア上の動きは活発だ。しかし、前回の選挙直前に開設された公式LINEアカウントは、ほとんどの政党が撤退している。今回の選挙でもLINEアカウントを継続して運営しているのは、公明党・共産党・民主党の3政党。公明党と共産党は毎日更新しているが、民主党は最後の記事が11月で止まっており、11月以前も月2回ずつの投稿だった。

背景には、重くのしかかるLINE公式アカウントの運営費用がある。LINEは当初、無料トライアルをつけて政党のアカウント開設をサポートしたが、2013年8月からは有料プランへの移行が必須となった。公式アカウントに登録した人数と投稿回数によっては月額100万円以上の多額の費用がかかる場合があるため、自民党や社民党、新党改革、生活の党などはアカウントを削除している。以前は全政党のFaceook、Twitter、LINEのフォロワー数を合計すると全体の6割以上がLINEだった。LINE撤退により、各政党が直接リーチできるネット利用者数は大幅に減ったことになる。

サイレントマジョリティの選挙への関心は低下か

各政党ともにコストと見合いながらソーシャルメディアを活用し、ネット利用者へリーチしようとする努力が見て取れる。Facebookページの反応率を見ても、全体では決して下がっているわけではない。政党の公式アカウントをフォローするようなネット利用者に限って言えば、関心の高さは前回と同様かそれ以上だろう。

しかし、政党の公式アカウントを自分からフォローしないような、ソーシャルメディアでも政治関連をつぶやかない「サイレントマジョリティ」の傾向はどうか。そのヒントとなるのが「政党名のWikipediaページの閲覧回数」だ。政党のWikipediaページがどれくらい見られているかを計測すると、2012年の前回の衆院選の同時期に比べて約半分だった。参議院選よりも注目が集まるはずの衆議院選において、前回の参議院選と同等数でしかないのはかなり少ない状態だ。


前回の衆議院選から政党のWikipediaページが存在している自由民主党・公明党・民主党・共産党・社会民主党・新党改革を対象として集計

政治へ関心の薄い層は、より関心が薄くなっている可能性が見て取れる。果たして国民全体の関心、投票率はどうか。その結果は今週末に明らかになる。

著者プロフィール

閑歳孝子
かんさい・たかこ

株式会社 Zaim 代表取締役

日経BP社・Web開発会社のディレクターを経て株式会社ユーザーローカルにてWebアクセス解析の企画・開発・運営に携わる。その傍ら個人開発のサービスも数多く手がけ、2012年にそのうちの一つである家計簿サービス「Zaim」を会社化した。Zaimは3年以上に渡りApp Store,Google Playのファイナンス部門上位にランキングし続ける定番アプリとなっている。グッドデザイン賞ベスト100やTeclosion KDDI賞・優秀賞、WISH大賞・オリジナリティ賞など受賞多数。

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