コアな血縁関係者6人が、内3人の子ども達を家族にしたからなのかしら、と、タイトルに籠められた意味が解らないままに想像する。
出逢うべき者達の出逢いが易々と結ばれない現実と、少女漫画世界の夢が配合されて、薄暗いトンネルや晴れない霧の中を出口
まで辿り着く話と感じた。特に主人公の足元の覚束なさ、年齢から来るものと記憶喪失によるものとの掛け合わせで、主人公詩織特有の家庭環境下の記憶喪失前の不確かさの中にある不安を巧みに引っ張り、家族関係や人間関係に安定感をもたせないのが成功してる感じ。絵も個性があり登場人物達のキャラを深めたりして、難しい内面描写を意味深に彩る。
1番好きな人とうまくいくストーリーには、それまでの蛇行具合が読み手の心をザワつかせる、その波乱要素投入による話の性格付けで結末への好みを分けてしまう。健気で一途なアテ馬の存在が強まるほどに、ストーリーは盛り上がりもし、作者の用意した結末と膨らませてしまった自分なりの期待の最後との、両者の乖離を(物語進行するほどに)進ませるのだろう。そこは私は作り手のイマジネーションの世界にお邪魔した、という気持ち、お話の方向が如何なる決着に行こうとも受け入れる体制で読んでいることが殆どだが、なかなか世の中分かれるところかも。
他の人と付き合うこと無しに初めて好きになった人と付き合うばかり(理想であろうと)が世の全てではないし、この漫画の中できれい事ばかりではない点を描いた上で、純な気持ちも俗物な大人も玉石混淆の人物像を、典型的な正邪分けしてないで描いているのもいいところだと思った。
番外編がもうひと作品、池谷先生の別コミックスにあることを紹介したレビューを読んで、そちらに行こうか、行ったらそちらの作品も全巻買いしかねないし、様子を見るか、迷っている。
2009/12月号から2015/1月号までCookie誌に連載された。全11巻。
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