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【退屈巡礼】vol.06

守衛も呆れる奇跡のダメハコモノ?『大型児童館 ビッグバン』

tokyokaseryo.jpg「さすが松本零士デザイン!」と納得の外観。これを生で見るだけでも
来た甲斐があります。維持費がバカにならないので「税金の無駄遣い」という
意見もありますけどね……

この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈な場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第六回は、大阪の『大型児童館 ビッグバン』。ものすごい豪華施設です。館内の様子はこちらから

 このコラムでは「あえてがっかりを楽しむ」という方針で各地の施設を勝手に紹介しておりますが、世の中には「愛されるダメ物件」と、そうでないものの2種類があります。前者は「B級スポット」や「パラダイス」と呼ばれて一定ファンのハートをつかんでいるわけですが、後者の代表格は税金や公費で造られた、いわゆる「ハコモノ」の類い。無駄にお金ばかりかかっているせいで、憎悪の対象にすらなっている感もありますね。

 しかし「がっかりを楽しむ」という観点からすれば、これはこれでオイシイ存在。もし政治家や官僚の方々が全員まともなバランス感覚をお持ちでしたら絶対に存在しなかったハズの、奇跡の存在ですよ? え? 皮肉に聞こえるのは気のせいですよ。たぶん。

 少々前置きが長くなりましたが、今回紹介するのは大阪にあります「大型児童館 ビッグバン」。橋下徹府知事に、就任するなり廃止(もしくは売却)を指示されてしまった問題の施設ですが、そんなにダメなら本当につぶれる前に行っておかないと! そしてどれぐらいダメなのか確かめてみないと! 何より、あの松本零士先生がデザインした(館長もつとめているそうです)クレイジーな建築物には非常に興味があります。

 ただ、こんなご時世なので、児童館に大人だけで行くと不審者だと思われかねないかも? と心配していたんですが、やっぱり守衛さんに呼び止められ……と思いきや「ここ、大人だけで入ってもおもろないですよ。高いし」と、親切なご忠告をいただきました。さすが大阪。でも、職員にさえボロクソ言われてるとは……。

 その「高い」と言われた入館料1000円(たしかに公営の児童館としてはちょっとお高め)を払って進んでみると、中も外観に負けず『銀河鉄道999』に出てきそうな雰囲気だし、「どこがダメなの?」と、がっかりできなくて逆にがっかりしそうになっていたんですが、上のフロアになぜか巨大なワニが登場したあたりからにわかに様子が一変。なんでも太古にマチカネワニという古代生物が生息していたのにちなんでワニだらけらしいのですが、マチカネワニの化石が発掘されたのは大阪の豊中市、そしてビッグバンは堺市……あれ? 近くでもなんでもないよ! しかもワニの内臓をめぐる遊具とか、ビミョーにバッドテイストなのもポイントです。

 さらに上のフロアに行くと、こんどは昭和30年代の街並と未来っぽい装置、そしてロボットがぎこちなく太鼓を叩き……って、いくらなんでもカオス過ぎる!! 全体を松本零士テイストにまとめていればこんなことにはならなかったのに、余計な主張や思惑が混じった結果がコレ? それとも、実は子供向けのツッコミ養成所なんでしょうか?(んなアホな!)

 ……と、数々の疑問(このコラム的には大満足でしたが)はあるものの、それなりに親子連れで賑わってましたし、建物のカッコよさはバツグンなので、廃止になるなら残念ですね~。ちょっと軌道修正をすれば本来の意味で人気スポットになる要素もあるので、橋下知事には廃止より「人気と利益が出るアイデア」を期待したいという気もするんですが。


中もSFテイスト満点。大阪のオタク系イベントはここでやればいいのに!

ベアルとメロウという、松本零士先生デザインのオリジナルキャラクターもいます。

……が、それとは別に館の正式マスコットはこの「ワニタン」。
マチカネワニの化石にちなんで…と言うほど近くで発掘された
ワケでもなく(堺市と豊中市は大阪の中心地を挟んでほぼ反対の位置)、
そこまでワニにこだわる理由は謎。

3階に巨大ワニが登場したあたりからSF系のトータルな感じが消え失せ、なにやら迷走の予感。

ワニの内臓で遊べって言われてもねぇ……。子供たちは
好奇心よりも警戒心の方が強めの様子。

こちらはワニの骨。やっぱりバッドテイスト強め!

さらに上のフロアは、昭和30年代の大阪にタイムトリップ……って、
子供が喜ぶワケもなく、駄菓子屋以外はガラガラ。

「パワーユニット」をバックにロボットがやぐらで太鼓を……
うわぁ、いったいどこへ向かっているんだ!


併設されている「遊具の塔」は、中身が丸ごと53メートルの
ジャングルジム!(もちろんフロアは区切られてますが)大人でも利用は可。

●ご利用の心得

・児童施設につき「大人だけで入ってもおもろない」のは仕様です。
・松本零士ファンなら、ぜひ巡礼に出かけましょう。
・職員の親切さは、大阪のいいところかもしれません。

●あまり親切でないご利用案内

■開館時間 午前10時から午後5時
(入館は午後4時30分まで)
■休館日 月曜日(祝日の場合は翌日休館)
※メンテナンス休館もあるので、事前にご確認を
■料金 大人1000円
    中学生800円
    小学生400円
    3歳未満は無料
■住所 大阪府堺市南区茶山台1丁9番1号
■アクセス 泉北高速鉄道「泉ヶ丘」駅から徒歩すぐ。車の場合は、阪和自動車道「堺」I.Cから泉北ニュータウン方面に約6Km。
■HP http://www.bigbang-osaka.or.jp/
(取材・文/大黒秀一)

●連載「退屈巡礼」INDEX
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ユルいからこそ胸を打つ!?『関ヶ原ウォーランド』の反戦主張
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そこに未来はあるか!? 『リニア見学センター』の意外な現実
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最終更新:2009/01/29 14:15
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