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【退屈巡礼】vol.17

『横浜税関資料展示室』のハードコア展示にお役所の狂気を垣間見る

tokyokaseryo.jpg横浜の歴史的な西洋建築のひとつ、「クイーンの塔」として
親しまれている建物の1階にある「横浜税関資料展示室」。

この退屈なご時世に、退屈しのぎに退屈そうな場所に行ってみるシリーズ【退屈巡礼】。第17回は、オシャレスポット立ち並ぶ横浜のれっきとしたお役所、『横浜税関資料展示室』へ。「税関」というマジメ~な場所にあるお堅~い展示かと思いきや……。館内の様子はこちらから

 開港150周年で盛り上がっている横浜ですが、どうも横浜という土地、筆者のようなスネた性格の人には眩しすぎます。綺麗な街並にオシャレなショップ、そして行き交う幸せそうなカップルや家族……このいかがわしさにほぼ無縁な街にいると、なぜか「場違いな所に来ちゃってどうもすみません」と謝りたくなるぐらいです。まだマリンタワーが営業していた頃は、あの時代遅れでB級感たっぷりの雰囲気が、個人的には横浜唯一のオアシスだったんですけどね。

 でもそんな横浜にも、アヤシイものたちにたっぷりと囲まれる意外なスポットがあります。歴史的な西洋建築物が並ぶ官庁街のエリアにある「横浜税関」…と聞くとアヤシイどころかお堅いイメージがありますが、その税関の1階にある「横浜税関資料展示室」は、まさに横浜の異次元空間。なぜなら、ここには税関を通過することができなかった、日本では違法となるものばかりが集められているのです。ある意味、日本で最もいかがわしいブツの密度が高い場所ともいえるでしょう。

 そしてその展示方法もなかなかイカレ……いや、イカしております。ちょうど『踊る大捜査線』のブームの頃にリニューアルされたせいか、モロにその影響が出ているようなのですが、今見ると『踊る~』のさらに元ネタのエヴァンゲリオンの方を連想する人の方が多いでしょう。

 特に「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」みたいな感じで偽ブランド商品のコーナーに書かれた「買ってはいけない買ってはいけない買ってはいけない」の狂気じみた文字列には、誰もが圧倒されるはず。お堅い役所の展示室なのに、いわゆる”お役所仕事”とはかけ離れた、ぶっ飛んだセンスがいい感じです。

 ほかにもなんだか具体的すぎる覚せい剤や拳銃の隠し方(もちろん、こんなのマネしてもバレバレってことですけどね)や、やけに刺激的な密輸品の展示(床の一部がガラス張りになっていて、大量の武器や麻薬が置かれている)、さらにいかがわしさ爆発のワシントン条約違反の動物コーナー(希少動物のはく製や、かなりグロテスクなハンドバッグ、成金テイスト満点の象牙製品や毛皮などなど)にパチモノ製品の山…と、まさにカオスとしか言いようのない状況。ちょっと横浜はお行儀よすぎて物足りないなぁと思っている方には、ぜひともオススメしたいスポットです。

 まぁ、本来はマジメな目的の資料館ですから、あまりはしゃぎすぎるのもどうかとは思いますので、この超バッドテイストなアイテムを楽しむと共に、税関のおかげで日本の安全と平和が保たれていることに感謝いたしましょう。

武器・麻薬の展示コーナーはハードボイルドな雰囲気。刑事ドラマ好きの人にはたまりません。


わざわざ怪しい感じに展示された麻薬や拳銃類。

偽ブランド品コーナー。ここまで「買ってはいけない」と言われたら、逆らう人はいないような気がします。

特に異様な雰囲気を発散する「ワシントン条約」の動物コーナー。



今やよほど悪趣味な大金持ちしか持っていないような、怪しすぎるアイテムの数々。どうかしてるセンスの物には惹かれるものもありますが、うっかり海外で買っちゃったりしないように気をつけましょう。(入国できずに没収されます)

不法投棄されるゴミなどもチェックの対象。それにしても展示のセンスが素晴らしい。

●ご利用の心得

・明るく健全なヨコハマだけじゃ物足りない人にオススメ。デートコースのアクセントにもいいかも?
・こんな濃い空間なのに、入館は無料。穴場としては最高です。
・ただし、はしゃぎ過ぎには注意。本来はお堅い施設だというのはお忘れなく。

●あまり親切でないご利用案内

■開館時間 午前10時から午後4時(5~10月は午後5時まで)
■休館日 年末年始
■入館料 無料
■所在地 横浜市中区海岸通1-1
■アクセス みなとみらい線「日本大通り駅」下車、徒歩3分。または横浜駅よりバスにて「横浜税関前」下車、徒歩1分。関内駅、桜木町駅からもぶらぶらと歩いて行けます。
■HP http://www.customs.go.jp/yokohama/museum/tenjishitsu.htm
(取材・文/大黒秀一)

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最終更新:2009/05/20 04:34
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