もし小惑星ベンヌが2182年に衝突したら、地球はどうなる? 

2025年2月23日
タグ: 宇宙
小惑星ベンヌをとらえたモザイク画像[2018年12月2日にNASAの探査機「オシリス・レックス」が高度24kmから取得した12枚の画像を合成したもの](C)NASA/Goddard/University of Arizona/REUTERS
ベンヌは地球に接近する軌道を持つ「地球近傍小惑星」だ。約6年ごとに、地球から約30万キロメートルの距離に接近する。そして2182年9月には2700分の1の確率で地球に衝突する可能性があると考えられる。もし本当に衝突したときには、どのような状況になるのだろうか。

[ワシントン発/ロイター]2月5日に学術誌『Science Advances』に掲載された研究は、小惑星ベンヌ規模の天体(直径約500メートル)が地球に衝突した場合の影響をシミュレーションし、世界全体で大惨事の連鎖が起きると発表した。直後の衝撃に加えて、大気中に1億~4億トンの塵が放出され、3~4年間にわたり気候の激変や大気中の化学物質の変化、光合成から生産される有機物量の低下が続くと考えられる。 

「塵によって急に『衝突の冬』が訪れる。地表へ届く太陽光の減少、気温の低下、降水量の減少が起きる」と韓国・釜山大学IBS気候物理学センター(ICCP)の博士研究員であり、論文の筆頭著者であるラン・ダイ氏は述べた。最悪のシナリオでは、地表の平均気温が約4度低下し、降水量は15%減少する。また、植物の光合成量は20~30%減少し、紫外線を遮るオゾン層も32%縮小する。

 研究チームによると、ベンヌ規模の中型小惑星が陸に衝突した場合、強力な衝撃波や大規模な地震、山火事、熱放射が起こる。そして巨大なクレーターが形成され、大量の岩石の破片や粉塵が飛び散る。また、大量のエアロゾルや気体が上層大気に到達し、気候や生態系へ長期的に変化を及ぼすとダイ氏らは指摘する。

 過酷な気候の変化は、陸と海の植物の成長を妨げるという。

「陸の植物は急激に減少したあとに、2年程度をかけてゆっくり回復する。海洋プランクトンは6カ月以内に回復し、その後は鉄分が豊富な塵が海に入ったことにより珪藻(藻類の一種)が大増殖する可能性がある」(ダイ氏)

カテゴリ: 医療・サイエンス
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