何となくで選んでない? 実は重要なオフィスの「照明」。空間に合った明るさや色味が与える効果

月刊総務 編集部
最終更新日:
2025年02月10日
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経済産業省が提唱する脱炭素社会へのGX(グリーントランスフォーメーション)は、消費電力を削減しやすい無線制御照明への注目を高めることになった。一方、働き方の変化でオフィスには多様な空間が求められている。パナソニック株式会社の新無線照明制御システム「LiBecoM(リベコム)」が開く可能性は、オフィスに何をもたらすのか。

省エネ効果に優れる上にABWも進化させる照明

プロフィール パナソニック株式会社
エレクトリックワークス社
瀧 柚太郎さん

LiBecoM(リベコム)は、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社の約4000品番に及ぶ照明器具に対応する新無線調光調色制御システムだ。専用タブレットまたはリモコンで自由自在に照明の明るさと色味を調節できる。リベコムが働く場で実現するものは何か、ライティング事業部の瀧柚太郎さんに尋ねた。

「目指したものはエコとWell-Beingの両立(+ソリューション)です。照明の明るさと使用電力は比例するため、リベコムの特長である調光・調色の幅広い変動性は、うまく活用するほど省エネ効果が大きくなります。こまめに調光するのが面倒という場合は、オプションである『スケジューラー』と『ひと明るさセンサー』をお勧めします」

スケジューラーは、あらかじめ設定することで、時間帯により調光・調色を切り替えてくれる機能だ。執務室、会議室など、エリアごとにスケジュール制御できる。ひと明るさセンサーは、ひとの在・不在や外光を検知して、点灯・調光を行う。これらをうまく使いこなすと約50%の省エネを実現できる(※)。つまり、省エネが自動で最大化される仕組みなのだ。

※ 試算条件 ・点灯時間 3000h/年 ・居室空間での使用、ひとの探知時間を全体の60%待機点灯を40%と想定 ・通路での使用、人の探知時間を全体の40%待機点灯を60%と想定 明るさセンサー制御による省エネ:26.2%と想定(初期照度補正による省エネ率:10% 狙いの明るさによる省エネ率:10% 外光利用による省エネ率:10%)

照明と省エネはイメージが結びつきやすいが、Well-Beingにはどう影響するのだろうか。それはオフィスの在り方と密接に関係している。リモートと出社のハイブリッドな働き方が浸透するにつれオフィスには「仕事の目的に応じた空間」が求められるようになったが、実は照明は、空間の印象を左右する重要アイテムだ。照明の明るさや色味で、一つの空間にバリエーションが生まれる。たとえば同じ執務室でも、明るさに強弱をつけることで業務に集中しやすくなり、低色温度だとリラックスし、一体感を得やすいという実証データもあるそうだ(図表)。タスクや気分に応じて照明を変えることは、ABWを一層進化させるだろう。

【執務スペース】

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【打ち合わせスペース】

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(※画像クリックで拡大)

そして、リベコムが提供するものは変幻自在な光だけではない。「照明以外の機器と接続が可能なのです。たとえばWell-Beingの要素には音と空気が含まれますが、ナノイーX発生器やスピーカーとつなげば同じリモコンでの操作はもちろん、スケジューラーやセンサーと組み合わせて自動で光・音・空気を制御できます。グループとして多様な電気製品を網羅し、提供できる強みを生かした機能といえます」

天井設置という照明の利点を生かす位置情報サービスを提供

光・音・空気の制御に加え、別途サブスク契約を行うことでリベコムはさらに画期的な機能を備える。オフィスの課題解決に大いに寄与すると期待されているそのメニューが、位置情報サービスだ。

ABWは働き方改革の要だが、一方で「オフィス内のどこにいるのかわからない」という問題があった。それを解決する手段として人気を博したのが、ビーコン機器が発する信号をスマホがキャッチする位置情報サービスだ。しかし、一般的なビーコン別置きタイプだと定期的にビーコン機器の電池交換をするか、コンセントが必要になる。設置するスペースにも制限があり、障害物を避けないと正しく測位できなかった。こうした不便と無縁なのが、照明による位置情報の取得だ。

「照明器具の中にビーコンが設置されているので、新たな置き場所や電源を気にする必要はありません。天井からの検知だと障害物の問題が少なく、測位が良好なのもメリットです」

照明は基本的には天井に、しかも等間隔に設置されるものだ。この利点を最大限に生かしたアイデアは、オフィスのみならず店舗や工場・倉庫などのニーズも高いだろう。総務としては、業務を増やす電池交換や設置場所の確保から一気に解放されるのがありがたい。

位置情報サービスでは、スマホなど手元のデバイスに入れたアプリで社員同士の居場所をいつでも検索できるほか、空いているスペースもひと目でわかる。ハイブリッドワークで生じるストレスが大きく軽減されるのだ。精度の高い検知データは管理者のパソコンに転送され、オフィスの利用状況を多角的に分析する材料となる。利用率の低いスペースが特定されるので対策を取りやすく、社員の勤務状況を可視化することは働き方改善にもつながるはずだ。照明が、これほどの役割を担えるというのは新しい発見ではないだろうか。

初期設定にはタブレットを用いるが、リストで照明を管理する機能があり、日々の運用はリモコンを使用するイメージだ。

人事総務にとって、オフィス環境は、社員のモチベーションやエンゲージメントを高める上で注力すべき領域として認識されている。照明を変えることで実現する省エネ・Well-Being効果は見過ごせない。


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