冬から春にかけては副鼻腔炎のピークの時期だ。いったい副鼻腔炎とはどのような病気なのか、耳鼻咽喉科医の木村聡子先生に教えてもらおう。

副鼻腔は合計8か所にある

 ――副鼻腔炎とは

 木村医師(以下、木村)副鼻腔という顔の空洞の粘膜が腫れたり膿がたまったりする病気です。空洞はおでこ、目の間、頬、目の奥と左右にそれぞれ4種類、合計8か所。それぞれ鼻とつながっており、健康な時は空気がスムーズに流れています。しかし、風邪などで鼻に炎症が起こり、鼻の粘膜だけではなく、副鼻腔につながる部分の粘膜まで腫れてくると、うまく空気の循環ができなくなる。その結果、空洞の中で菌が繁殖してしまうのです。

 ――ドロッとした鼻水が出るイメージがあります!

 木村 主な症状は、黄色や緑のねばねばの鼻水、鼻づまり、ニオイが分かりにくい、下を向くと頭が重いなどがありますね。他に、先ほど空洞が4種類あるとお伝えしましたが、炎症が起きている場所によって、症状の出方が変わることも。例えば目の間や目の奥に炎症が起きたら、頭痛や目の奥の痛みが出るケースもあります。

 ――原因はやはり風邪などの感染症ですか

 木村 膿がたまるきっかけになりがちなのが、感染症ということです。花粉などのアレルギーやカビといったものも影響してきます。結局、鼻が詰まりやすい状態が副鼻腔炎につながる。そのような生活を避けたり対策したりすることが、副鼻腔炎の予防につながります。

 ――蓄膿症は副鼻腔炎と思えばいいのでしょうか

 木村 蓄膿症は医学用語ではありません。厳密に言うと、蓄膿症は慢性副鼻腔炎のことを表しています。副鼻腔炎には急性と慢性があり、急性のものは発症から1か月以内のもの、そして慢性のものは、3か月以上のものを指します。

 ――急性から慢性になることもある

 木村 一番多いケースですね。急性のイメージとしては、風邪にかかり、咳などはおさまったのに、鼻周りの症状が収まらないというケースです。急性期で治ればいいのですが、その症状が継続し、慢性副鼻腔炎になってしまう人は意外といます。

 ――早い段階で治療を受けた方がよさそうですね!

 木村 その通りです。急性の軽いものだと感染症の改善とともに自然に治るケースが多いです。とはいえ、一部は長期化する。たかが鼻水だからとズルズルと放置していると、慢性副鼻腔炎に移行します。慢性になれば、勝手に治ることは少ないので、早いタイミングでの治療が望ましいです。

 ☆きむら・さとこ 医学博士、日本耳鼻咽喉科学会専門医、日本アレルギー学会専門医、補聴器適合判定医。大学病院、総合病院などを経て、現在は都内病院とクリニックに勤務。耳鼻咽喉科疾患全般において年齢層を問わず幅広く対応し、丁寧な説明を心掛けている。