3月12日、ミランをホームに迎えたチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦のセカンドレグ。誰もが待ち望んだそのゴールが生まれたのは、55分のことだった。 ハビエル・マスチェラーノが矢のような出足でインターセプトしたボールが、アンドレス・イニエスタを経て、シャビ・エルナンデスの元へ渡る。シャビのラストパスがミランの左サイドバック、ケビン・コンスタンが懸命にのばした足先を抜けて、ペナルティーエリア内の右側で待つ背番号7へ通った直後、狙いすました左足シュートがゴール左隅に吸い込まれた。 カンプノウの上空にこの日3度目となる怒号に近い歓声が響き渡る中、ダビド・ビジャは今にも泣きだしそうな表情で言葉にならない雄叫びを上げながら、両手をいっぱいに広げて猛然と走り出す。 ADVERTISEMENT 両膝でピッチにスライディングし、駆け寄ったチームメートに手荒い祝福を受けた後も溢れだす感情は止まらない。
