――今日は「マイ本棚で振り返る半生」という企画でお話をお伺いしようと思っていたのですが、あなたの提案で「マイ本棚でまとめるマイ人生」というタイトルに変更されました。この意図についてまず聞かせてください。 Hideo Saito(以下斉藤) 「振り返る」に値するような「半生」など僕は送っていないのです。言い換えれば、僕には人生と呼べるようなものがない、ということです。「半生」という言い方には、「これまで人生を送ってきた。これから残りの半分の人生を送っていく」という含みがあるでしょう。これまでも人生なんてなかったし、これからもないでしょう。 ――それならば「まとめる」ような人生も、ないのではないですか? 斉藤 人生はまだ始まっていない、しかし将来必ず始まるはずだ、という、のび太くんみたいな願望はあります。しかし必ず裏切られることが約束された願望であることも承知しています。かような願望を頓挫させ
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