開湯900余年。吹雪くと“陸の孤島”と化す、赤湯温泉(山形)の某旅館に勤める村上さんが東京を後にしたのは、1年前のこと。浮き名が立つクラブDJとして、おしゃれライフを謳歌している最中での決断だった。 東京での本業は、キャバクラへの訪問ドレス販売。月収は20万円前後。先が見えない人生への不安はいわずもがな、「年齢的にも昼夜逆転した生活がツラくなって…」と当時を振り返る。 しかし故郷に戻った村上さんに、東京では感じなかった“苛立ち”が待っていた。「ひなびた温泉街では、まずもって同世代の人間と出会うことはありません。昔なじみの友人とたまに会っても、話題はすれ違うばかり。エリカ様の半ケツがどうだとか、スーパー海物語で2万円すっちゃったとか、『おまえら、どんだけ民度が低いんだよッ!』っていう。町中を歩いても娯楽といえばパチンコぐらいだし、夜遊びだっていいとこスナック止まり。あ、ブルーハーツとか歌って