「不祥事を起こした会社の経営層はレピュテーションリスク(組織が不評を被る危険)を恐れ、それに合わせて広報部門も情報開示に慎重になりがちだ。事情は分かるが、その感覚をソーシャルメディアのスピードに合わせる形に今すぐアップデートする必要がある」。危機管理広報支援を手掛ける大森朝日事務所の大森朝日代表は、現代の企業に求められる情報開示の姿勢についてこう指摘する。 新型コロナウイルス禍を経てITは社会の基盤として一層の役割を担うようになった。それに伴い、ITを巡る不祥事、具体的にはシステム障害や情報流出などに対する社会の目の厳しさが増している。そうしたなか、IT不祥事に関する中途半端な情報開示によって、かえって社会からの怒りや反発を買い、SNS(交流サイト)などで炎上してしまうケースが少なくない。 企業が不祥事の公表や謝罪のために出す公表文(以下リリース)は、その企業が危機的状況に適切に対応できる
