一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ガス管から水

2011-06-21 | 天災・人災

現象に名前がついているくらいなので「想定外」ではなかったのでしょうが。

ガス管損傷:8300世帯使用できず 水道管破裂で 京都
(2011年6月20日 12時17分 毎日新聞) 

・・・破裂現場周辺の住宅ではガス管から水が噴き出す現象もあった。同局や大ガスによると、水道管が老朽化による腐食で破裂。勢いで砂や小石がガス管を損傷させる「サンドブラスト現象」が起きたとみられる。  

今回の大震災と福島原発事故でインフラの複線化の重要性が再認識された一方で、燃料電池などのガス装置の一部は停電またはブラックアウトの状態では使えないこともわかったのですが、ガス管と水道管が一緒に埋設されているとこのようなリスクがあったんですね。 

停電に備えて単独で起動できるコジェネなどを入れたとしても、機械の中に水が入ってしまったら機械が壊れてガスが復旧したとしても使えなくなってしまうのですが、ガス管までのバックアップはさすがに取りようがありません。  

日本のインフラって、高度成長期に構築したものが更新期を迎えたものの財政事情などで更新投資ができずに実はけっこう劣化しているのではないかちょっと心配になったニュースでした。

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地震保険と火災保険の境界

2011-05-19 | 天災・人災

tweetでも触れたのだが、例えば地震後の停電・断ガスの時に隣家の裸火使用による火災で類焼した場合は、地震保険に入っていないときに火災保険ではカバーできないのだろうか、という疑問。

同旨のリプライもあり、明らかに地震が原因でない火災は通常の火災保険でカバーできるのだろうと思ったのですが念のため確認。

そうしたらこんな記載が
地震等発生から何日か経って生じた損害には保険金が支払われるの?

地震等が発生した翌日から起算して10日を経過した後に生じた損害に対しては、因果関係がはっきりしなくなるため、保険金は支払われないことが約款に規定されています。

まさか一律10日以内の火災は地震保険に入っていないと補償されなかったりするってことはないよなと、念のため日本損害保険協会の そんがいほけん相談室に電話してみました。
回答は

「地震が直接的な原因か否か」で判断し、地震の直接的影響を受けない火災については、個別事例を調査して判断するので一般論ではいえない

ということでした。
ちなみに津波・噴火は地震に起因していなくてもそれ自体が火災保険では免責、地震保険でのみカバーされるそうです。

ちなみに
72時間経過後の余震はそれぞれ別地震であるので個別の損害とみなす。
なんていうきまりもあるようです。

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リスクの評価の難しさ

2011-04-21 | 天災・人災

辻立ちしている区議会議員候補者が「目黒区緊急情報に登録しましょう!」というプラカードとQRコードを掲げていました。

辻立ちに向かってQRコードを撮るために携帯を向けるのも妙だし、そもそも動いてて無理なのでそれ自体は企画倒れっぽかったのですが、サイト自身はいざというとき役に立つ情報があるかと思って区のサイトから登録してみたところが、これは震災情報だけでなくて安全情報も来るものだったらしく、いきなり来たのがこれ

【公然わいせつ発生】目黒警察署からの情報によると、4月19日(火)、午後11時20分ころ、目黒区中町2丁目の路上で、公然わいせつ事件が発生しました。(犯人(男)の特徴については、20歳代、170cm 位、中肉、黒色っぽいコート、青色っぽいジーパン、眼鏡、徒歩)
○不審者を見かけたり、子どもや女性の悲鳴を聞いたりしたら、すぐに110番通報して下さい。
○目黒区では、当分の間、青パトによる重点警戒を実施します。

【子ども(声かけ等)】田園調布警察署からの情報によると、4月19日(火)、午後3時50分ころ、目黒区緑が丘3丁目の路上で、児童が帰宅途中、男に声をかけられました。(不審者の特徴については、黒色っぽいズボン、帽子、徒歩)
○不審者を見かけたり、子どもや女性の悲鳴を聞いたりしたら、すぐに110番通報して下さい。
○目黒区では、当分の間、青パトによる重点警戒を実施します。  おいおい、目黒区大丈夫か?  

今まで知らなかった、または知ろうとしなかっただけで、世の中にはリスクがいっぱいあるし、それらに対してどの程度対応するかの予行演習としては役に立つかもしれません。

ちょうどTwitterで取り上げられていたのですが、リスクの「認知・評価・管理」そしてコミュニケーションの重要性、難しさについては、雲仙火砕流災害から15年がとても参考になります。
上に関する点で言うと、

人々は自然災害の発生頻度を実際のそれより低く見積る一方で、人為災害の発生頻度を実際のそれより高く見積る傾向にあります。

ひょとすると、後者の「声かけ」は、この人同様、「魔法の言葉」で友達を増やそうとしただけだったのかもしれませんが・・・

あの広告は本当なのか  

ぽぽぽぽ~ん♪

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正常性バイアス

2011-03-21 | 天災・人災

中日新聞【地震特集「備える」】 から
避難遅らす「正常性バイアス」 広瀬弘忠・東京女子大教授  

避難が遅くなる仕組みは?  

現代人は今、危険の少ない社会で生活している。安全だから、危険を感じすぎると、日常生活に支障が出てしまう。だから、危険を感知する能力を下げようとする適応機能が働く。これまでの経験から「大丈夫だ」と思ってしまいがちだ。これが「正常性バイアス」と呼ばれるものだ。  

災害でパニックはめったに起こらないと指摘している。  

私たちの調査で、災害でパニックが起こったと確認できる例はほとんどない。特に日本のように地域の人同士がつながっている社会では、パニックは起こりにくい。「自分を犠牲にしても」と互いに助け合おうとする心理が強くなるからだ。  
現状では、強い正常性バイアスの結果、パニックになる以前、つまり何が起こっているのか分からないうちに災害に巻き込まれる。日本では避難警報が出ても避難率はいつもゼロから数%程度と低いことからも明らかだ。  

逃げ遅れないために必要なことは?  

いざというときに正常性バイアスを打ち破り、「危険だ」と直感できるような訓練をしておくことが大切だ。そのためにはある程度、災害の恐怖感を体に覚えさせておかなければならない。  

災害からまずは身の安全を図る、という初動が大事なのは記事の指摘の通りだと思いますが、難しいのは初動後ひと段落着いた時点で自分の身の安全が図られているのかをどう判断するかです。 

たとえば地震や津波から逃れた後に「さらにもっと大きな地震や津波が来るのではないか」ということをどう判断するか-正常性バイアスに注意する一方で、逆に危険性を過大評価してパニックにもならないためにはどうすればいいか-は難しい問題だと思います。  

今回でも買いだめは「危険バイアス」(というのかな?)がかかっているように思いますし、原発事故のリスク評価をめぐる混乱は双方入り乱れて事実関係を横においてお互い論者が相手のバイアスを責め合っている感じがします。  


そしてこの「正常バイアス」は企業活動とかサラリーマン生活について、より真剣に受け止めたほうがいいかもしれません。  

「これまでの経験から「大丈夫だ」と思ってしまいがちだ。」というのは『ブラック・スワン』でも幾多の例が挙げられています。  

また、下の引用部分の「現代人」を「40代の正社員」と置き換えてみるのもいいとおもいます(自省をこめて)。  

現代人は今、危険の少ない社会で生活している。安全だから、危険を感じすぎると、日常生活に支障が出てしまう。だから、危険を感知する能力を下げようとする適応機能が働く。  

そしてさらに問題なのは  

特に日本のように地域の人同士がつながっている社会では、パニックは起こりにくい。「自分を犠牲にしても」と互いに助け合おうとする心理が強くなるからだ。  

の部分で「地域の人」=「正社員」に、「自分」=「非正規雇用の従業員」に置き換え、しかもそこで安全が確保できて自分には津波が及ばないと思っていることなのかもしれません。
(一度雇用が極端に流動化してみると、企業も人材の安定的な確保のために一定の雇用保障のしくみを作ることになって、どこかに「相場」が落ち着くのかもしれませんね-自分の安全を考慮しないとw)

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バグダッドの死神

2011-03-18 | 天災・人災

今回の地震と原発事故で首都圏から避難する人も出ているようです。

そこは個人の考え次第ですが、特定のリスクは避けられてもリスク全体を避けることは出来ない、というのが標記の寓話。

昔のエントリで取り上げたようにいくつかのバリエーションがあるようですが大筋はこんな話

バグダッドの商人が召使を市場に買い物に行かせたところ、ガタガタ震えながら戻ってきた。
召使曰く
「市場で死神に声をかけられてしまいました。死神は私を脅すしぐさをしたのです。ご主人様、どうか馬をお貸しください。馬でサマラまで逃げれば死神から逃れられるでしょう」
商人が馬を貸すと、召使はそれにまたがり一目散に逃げて行った。

その後商人が市場に行くと、市場の人ごみの中に死神を見つけたので
「朝私の召使に会ったときに、何で脅すようなしぐさをしたんだ?」と聞いた。

「脅かしたりなどしていない」と死神は言った。
「なにしろあいつとは今晩サマラで会うはずだったのにバグダッドで出くわしたから、こっちがびっくりしたんだ」

避難・疎開するというのも一つの選択肢だと思いますが、大事なのはそれでひと段落、と思わないことなんでしょうね。

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災害規模の比較

2008-05-17 | 天災・人災

四川大地震、死者5万人超と推計・中国政府発表
(2008年5月16日 15:16 日本経済新聞)

中国・四川大地震で、中国政府の災害対策本部は15日、死者数が四川省だけで1万9509人に上り、今後5万人以上に達するとの見通しを示した。

阪神・淡路大震災の犠牲者は Wikipediaによれば以下の通り。

死者:         6,434名
行方不明者:     3名
負傷者:     43,792名 

中国の人口が13億人と日本の約10倍ですから、この見込みが正しいとすれば、奇しくも国の規模に対して同じくらいの被害ということになります。


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とりあえず5パンダ

2008-05-14 | 天災・人災





北京に駐在している友人に見舞いのメールをしたところ、彼は低層の事務所ビルにいたせいか、会議が白熱していたためか、そもそも地震に気がつかなかったそうです。
ただ高層マンションにいた家族はかなり揺れて怖かったらしいです。

一方で四川省の成都付近の被害までは報じられていますが、より震源地の近くに中国最大のパンダ保護研究センターが観光名所になっている臥竜という街があるのですが(こちらの旅行ガイド参照)、そことは電話もつながらない状態だそうです。標高は2000m近くある山岳部で交通も途絶しているのではと心配されています。

幸い今回は日本人のツアー客はいなかったようですが、外国人観光客は被害にあった方もいるようです。

英国人ツアー客15人と連絡取れず=観光バスの37人死亡-中国四川省 (2008/05/13-12:44 時事通信)

大地震が起きた中国四川省の災害対策当局者は13日、同省内を旅行中の英国人のツアー客15人前後と連絡が取れていないことを明らかにした。一行は震源地の◆(サンズイに文)川県内のパンダ自然保護区にいた可能性が高いという。新華社通信が伝えた。 
同当局者は、◆川県に隣接する茂県で観光バスが土砂崩れにのみ込まれ、37人が死亡したと語ったが、英国人旅行客が含まれているかは不明。パンダ保護区を除き、世界遺産の九寨溝や黄竜など省内各地からは外国人が死傷したとの報告は受けていないという。 
北京の日本大使館によれば、13日午前までに四川省在住や旅行中の日本人が死傷したとの情報は寄せられていない。

やはり観光地だけあって日本人以外でもツアー客はけっこういたのかもしれません。
一方でこんなニュースも。

飼育パンダ144頭は無事=中国
(2008/05/14-00:25 時事通信)

新華社電は13日、中国四川省で起きた大規模な地震で生存が心配されていたパンダについて、同省や陝西省の研究施設3カ所で飼育されている144頭は無事だったと伝えた。 
震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州※川県はパンダのふるさとで、臥竜パンダ自然保護区研究センターでは86頭が飼育されている。地震後30時間にわたり、同保護区担当者と連絡が途絶えていたが、子供のパンダも含めて無事が確認された。※=サンズイに文。

パンダは屋外にいるので地震の被害はないでしょうが、街中の被害が心配です。なにはともあれとりあえず連絡がとれたのはよかったです。
震源地近くの情報まで入ってくれば、被害の全貌がそろそろ明らかになるのではないでしょうか。


ところで日本政府の支援については今のところ
 5億円相当の資金・物資を供与=中国大地震で追加支援も-高村外相
 (2008年5月13日(火)18:30 時事通信)
一方でミャンマーのサイクロン被害には
 日本、ミャンマーに追加支援へ 上限1千万ドル
 (2008年5月9日(金)12:09 朝日新聞)

被害の程度と相手先の国力などを考えての倍半分というところかもしれませんが、こういうところは出し惜しみせずに、初動が大事だと思います。
つがいで1億円とも言われるパンダのレンタル料に比べたら安いものではないでしょうか。

 

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中国四川省の地震

2008-05-13 | 天災・人災

2つの化学工場で数百人生き埋めか 中国・四川省地震
(2008年5月12日(月)23:21 朝日新聞)

中国国営新華社通信によると、中国中西部の四川省で12日午後2時28分(日本時間午後3時28分)、大規模な地震があった。震源は同省の省都・成都の北西約90キロにあるアバ・チベット族チャン族自治州ブン(ブンはさんずいに文)川県付近で、地震の規模はマグニチュード(M)7.8。
(中略)
震源に近い同省北川チャン族自治県の当局者は同県だけで約3千~5千人が死亡、1万人が負傷したと推計しており、死傷者はさらに拡大する可能性がある。震源地周辺では多数の家屋が倒壊するなど大きな被害が出ている模様だ。



悪い時期に悪い場所で起こってしまった、という感じです。



震源地はチベット自治区の中で四川省に併合された部分で、下の地図だと右端のあたりのところのようです。

(ダライ・ラマ法王日本代表部事務所のHPの「チベットを知るために」から)

Google Mapで付近を見ると、震源地の成都の北西90kmは山岳地帯に入ったあたりのようで(参照)土砂災害や救援の困難さも予想されます。


中国政府としてはオリンピック同様国の威信をかけての救援・復興支援を行うと思いますし、しかもチベット独立問題もからんでいるので(参考:チベット騒乱が周辺省に拡大!四川省のチベット自治州では、警官隊の発砲で7人死亡)、国際的な支援を受け入れるかどうかは微妙だと思います。
インド政府が、スマトラ沖地震の津波の被災後に外国からの緊急救援はいらないと宣言して自力での救援活動を行ったことも意識するかもしれません。


オリンピック、チベット問題、に加え三つの課題が同時進行していて、これらの処理がトラブると、(多分中国政府にとっても一番大事な)金融引き締めによる景気の軟着陸のシナリオも狂う可能性があるかと。


ちょっといやな流れのように思います。
 

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大雪

2006-01-10 | 天災・人災


知人から送られてきた画像

鉄棒ではなくブランコです。
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中国の汚染事故と川下・風下としての日本

2005-11-26 | 天災・人災

【中国】 吉林石化事故で汚染か、ハルビン断水措置
(2005年11月23日(水) NNA)

河川汚染、露ハバロフスク非常事態宣言へ
(2005年11月25日 (金) 21:23 読売新聞)

石油化学工場の爆発事故による中国黒竜江省ハルビン市の松花江汚染問題で、中国環境保護総局は25日、河川に流入したニトロベンゼンの濃度が同日午前0時に環境基準の33・15倍に達したと発表した。

松花江の下流、アムール川に面するロシア極東・ハバロフスクでは警戒が高まっており、ロシア政府は24日、アムール川での魚釣りを数年間禁止することを検討していると発表。「世界自然保護基金」ロシア支部も、「アムール川のすべての魚の消費禁止が必要になるかもしれない」との見解を示し、「汚染の影響は5~7年間続く」可能性を指摘した。

中国政府によると、有害物質の流れは長さ80キロに及び、露当局によると、露領内通過には10~14日間が必要という。


「姉歯問題」に気を取られているうちに、中国でも大変な事態が起きていました。

また、
中国・重慶でも化学工場爆発、1万人以上が避難
(2005年11月25日 (金) 18:28 読売新聞)
という事故もあったようです。

工業用水や輸送のために工場も大きな河川に沿って立地することが多いので、工場での事故が河川の汚染につながることが多いのだと思いますが、
中国は実は水資源が不足していて、人口一人当たりの水資源は世界平均の4分の1にすぎず、しかもその分布はきわめて偏っており、江南地区にその70%が集中しているそうです(『中国農民の反乱』による)

つまり、河川の汚染は農業生産にとっても深刻な打撃になるわけです。
(ちなみに中国の人口一人あたりの耕地面積は世界平均の半分以下、日本や韓国の数分の一だそうです)

その結果中国の食料輸入が世界の市場を押し上げて同じ食料輸入大国である日本への影響もありますし、農地が荒廃して砂漠化が更に進むと、黄砂問題などもより深刻化しそうです。

黄砂に関しては偏西風の風下である日本への影響も大きいですし、
アムール川の汚染なども、日本海が汚染の排出口になるわけです。

しっかりしてもらいたいものですし、自国の安全の見地からも、災害対策援助をしたほうがいいのではないでしょうか?

******** 付 記 ***********

こちらのエントリからの再掲ですが、

中国から見ると、日本は(南西諸島を含めると特に)太平洋への出口をふさいでいるように見えるし、中国から流れ出たものは日本海にたまることになる、という図です。ご参考まで。

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支援まで横並び?

2005-09-09 | 天災・人災
ハリケーン被害救援 日本100万ドル 出遅れ…随時追加
(2005年 9月 8日 (木) 02:48 産経新聞)

「中国や韓国に比べて見劣りする」というのも理由の一つのようですが、香典の金額での見栄の張り合いのようで情けないです。


イラクの復興支援にあたっては「金を出すだけでは国際的に尊敬されない」とかいう理由で自衛隊を派遣したのだと思うのですが、今回はまた金なんでしょうかね?

インド洋大津波の時には日本は5億ドルの緊急無償支援をしたわけですが、ニュースなどを見る限りではハリケーンKatrinaの復興の遅れの原因は資金がないことでなく、物資や救援が効率的に行き渡らないこと(指揮命令系統の混乱や州兵の現場のノウハウの不足)にあるように見えます。

金額の多寡で張り合うのではなく、それぞれの状況に応じて必要な支援をすることのほうが感謝され、国際的認知度も上がるのではないでしょうか。


もっとも今回は日本も台風被害があるので自衛隊を派遣する余裕はないでしょうが、自家発電システムと大型排水ポンプのユニットとか、喫水線の浅い救援用の船とかは、米軍の大型輸送機に積めば1日でつくはずです。

西表島の仲間川の遊覧船などは、40人くらい乗せて浅い川を航行できるすぐれものでした。

<参考画像:奥のマングローブの根っこが露出しているので、引き潮で水深が浅いのがわかります>

※平底で、船外機も取り付け部分自体が上下にも動いてスクリューの深度を調節できるので水深50cmくらいでも航行できます。
船外機ユニット(HONDA製なのでアメリカでも調達可?)だけでもけっこう役立ちそうに思うのですが。


おにぎりの炊き出しなんてのも、パサパサのホットドックなんかより受けると思うんだけどな・・・
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リスクとつきあうために必要なこと

2005-09-08 | 天災・人災
台風14号で河川の氾濫が相次いだ。

ニュースで自治体の河川局の人などが「支流も含めて氾濫しないよう対策をとりたい」と言っている。

ただ、本当に可能なのだろうか?

そもそも河川の堤防はある一定の水位まで耐えられるようには設計されているが、それを超えた水位の場合は決壊のリスクがあるし、そもそも堤防自体は決壊しなかったとしても水位が堤防の高さを越えてしまえばやはり氾濫する。

上流から下流まですべて堤防が作られたとしたら、流域に降った雨はすべて河川に流れ込む。そして、満潮時には河口の水位が上がるうえに、低気圧や風の影響があれば、河口での浸水のリスクは逆に高まるのではないか。

それを回避するためには、雨水を一時溜めておく調整地が作られるが、降雨が連続して調整地がいっぱいになると、そこからの放水が逆に下流の氾濫の要因になる(これはダムも同じ)

とすると、対応策としては以下のものが考えられる。

① 堤防の計画高水位のレベルを今以上に上げる
② 河川の拡幅や調整地の増設をする
③ 流域住民に河川の計画高水位や降水量による水位変化の情報を与え、タイムリーに避難勧告をする


①②は事前予防だが
①は既存の橋を架け替えたり、堤防の補強(高くすれば幅広くする必要がある)のために周辺の道路や住宅を変更する必要がある
②はもっと広範囲に収用手続きが必要になる
さらに予算や工期の制約も大きい

と一気に進めるにはハードルが高い。

③は最近各自治体がハザードマップを出すようになり、かなり改善されているが、前提が地域の降水量をベースにしており、河川の氾濫においては流域全体の降水量や潮の干満や気圧等による水位の変動も含めての危険度を示せればよりよいと思う。

ただ、そうすると、「危険」とされた地域は地価が下落する、という観点からの反対も考えられる。


更に将来、危険とされた地域の地価がかなり下がった場合は、特に都市部において「リスクを承知で安いところに住む」ことを選択する人々(必ずしも貧困層とは限らず、都心居住のメリットを優先する人など)も出てくるであろう。


そうすると、想定をはるかに上回る自然災害が到来したとき、日本でも今回のニューオーリンズと同じことが起きないとも限らない。


結局、

(1) どこまでのリスクを社会として許容するか、
(2) 個人の判断のためにいかに適切かつ十分なリスク情報を与えるか、
(3) リスクを負うという判断をした人々に対してどのレベルのセーフティーネットを用意し、また被害回避のために強制的な措置をとるか

をどのレベルでバランスさせるかの問題になるのだろう。

そこについて、地域住民のコンセンサスと行政の説明責任の履行(一言で言えば「民主的プロセス」)が確保されれば、万が一被害があった場合にも、容認していたリスクが顕在化したということで、無益な非難合戦にならずにすむように思う。

少なくとも今回のKatrinaをめぐる議論見る限り、アメリカにはそれがなかったのだろう。


では、日本はどうだろうか。
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Katrinaの教訓

2005-09-06 | 天災・人災
ハリケーンKatrinaは、数千人にのぼる犠牲者、しかも犠牲や被害が低所得者層に集中していること、救援活動が機能せず一週間以上たってやっと軌道に乗りつつあることなど、世界一豊かであるはずのアメリカの矛盾点を浮き彫りにしています。

このような事態に至った原因としては次のような事があげられています。

1 ハリケーンによるニューオーリンズの被害のリスクは以前から指摘されていたにもかかわらず、治水対策がなされずに放置されてきた。

経済学者のポール・クルーグマンのNYtimesへのエッセイによれば
9.11の前に連邦危機管理庁(FEMA)はアメリカが直面している可能性の高い大災害として、ニューヨークへのテロ攻撃、サンフランシスコの大地震、とともにニューオリンズへのハリケーン直撃があげられていたそうです。
※一応リンクはしてますが、一定期間後は登録ユーザーしかダメなようです。内容をご覧になりたい方はTaejunomicsさんのblogに翻訳があります。


2 ハリケーンの進路は予測されていたのに、住民の避難が円滑に進められなかった

被災地域は低所得者層の居住地区であり、市長の避難命令に対しても自動車等の移動手段を持たないために避難ができなかった。
また、ニューオーリンズ市も輸送手段を(十分に)提供し(でき)なかった。


3 救援活動や災害復興支援が迅速に行われていない

州兵や機器の多くがイラクに派遣されている。また連邦政府、FEMA、ルイジアナ州、ニューオーリンズ市の連携がうまく機能していない。
市内で略奪、暴動が発生し、救援活動の前に治安維持に忙殺されてしまった。


ということで、今回のハリケーンはブッシュ政権やアメリカ自身がかかえる矛盾点を浮き彫りにしてしまったわけです。



ただ、この貧富の格差や地域格差の問題、国民の安全に対する政府の役割と予算配分の問題などは、ニューオリンズほどわかりやすい形では表れていないにしろ、現在の日本にもあてはまるように思います。


たとえば

 都市部の木造住宅密集地域(道路も狭くて消防車も入れないような)における火災の危険性と経済的事情で住まわざるを得ない人々の問題

 過疎地のきわめて少数のしかし高齢で引越しも困難な居住者の安全を確保するための高額の護岸工事

 河川改修の順序(一部を改修すると未改修の部分への負荷が高まる)の問題

また

 被災地救援活動における物資の均霑や優先順位の問題(日本の大都市の場合密集度合いが違うのでもっと先鋭化するのではないか)

などなど


本当はこっちを本題にしたかったのですが、ところとりとめもなく話が広がりそうなので、今日は頭出しだけにします。
(明日以降どこまでまとまった話ができるか保証の限りではないですが)


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改めて自然の力について考える

2005-09-05 | 天災・人災
昨日の大雨は東京都内でもかなりの被害になったようです。


今接近中の台風14号も要注意のようです。

台風規模だけでなく上陸の日が大潮(9/6で月齢2.3)にあたるので、海面の上昇が気になります。

気象庁の潮位表によると、
たとえば鹿児島だと9/6の8:22の満潮時で潮位表基準面(標高-133.2cm)から+284cm、つまり通常の海面から151cm上回ることになります。
※潮位表基準面:潮位表に使われている基準面で、大潮の干潮面の平均が基準(潮位
0)となるように5年ごとに過去の観測値から計算して決められた数値。

さらにハリケーン・カトリーナについての記事を参考にすると、海面を押さえつけている気圧が1ヘクトパスカル下がると、海面は1センチ上昇するそうです。
台風14号の中心気圧は935ヘクトパスカルで、平均気圧は1013ヘクトパスカルなので海面は78cm上昇する計算です。

合計で通常の海面より約230cm上昇することになります。

また、風速が2倍になると水面の上昇率は4倍になるそうで(何を基準にして「X倍」というのか、「上昇率」とは何かについては不明ですが)


潮位があがると、堤防の決壊だけでなく、河川の氾濫や下水の逆流による浸水も心配です。


20年ほど前の台風のときに、当時の実家の近くの河川が増水したことがあります。

幸い庭の半分まで水が来たところで水位が下がったので我が家は事なきを得たのですが、下水が逆流してマンホールの蓋の穴から水が噴き出してきたときには正直ビビリました。

平成5年の台風のときは、大潮にあたり、都心部の広範囲で浸水しました。
品川駅は冠水し、地下通路は完全に水につかっていたようですし、日比谷ではお堀の水があふれ、溜池の交差点は文字通り溜池になっていました。

また、江東区東陽町のあたりの公園で、過去の大型台風のときの最大浸水水位を記録したポールを見たことがあります。
伊勢湾台風などは、なんと地面から3mくらいの高さだった記憶があります。


自然の力は人間の思惑や価値観と関係なく物理法則にしたがって容赦なく襲ってくることを忘れないようにしないといけませんね。

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大雨の予感

2005-09-04 | 天災・人災
NHKのBSを見ていたら、急に画像が乱れて写らなくなってしまった。
いい番組だったのに残念

テレビの配線を確認したがアンテナ線が抜けているわけでもない。

事故情報でもあるかとNHK総合を見ると、代わりに湘南地方、三鷹市に大雨警報とか。

雨雲が異常に厚いので受信状態が悪くなったのかなとアメダスを見てびっくり



と言っている間にこっちでも降りだした。


大きな被害がなければいいが。
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