柳美里の今日のできごと

福島県南相馬市小高区で、
「フルハウス」「Rain Theatre」を営む
小説家・柳美里の動揺する確信の日々

長野から東京へ

2016年08月19日 16時22分04秒 | 日記
中房温泉からバスで穂高へ、穂高から松本に出て、松本の「こばやし」で天ぷら蕎麦を食べて、松本から長野に移動し、長野からいま新幹線で東京に向かっているところ。
今日と明日は東京で用事があるので東京に泊まり、明後日、南相馬に帰ります。



でも、不思議……

息子が息子と思えないほど、大きい。
言動が、もはや子どもじゃない。

歳月の階段を踏みはずしてしまったように感じる瞬間がある。
何かの拍子で玉手箱の蓋がゆるみ、時が10年ぐらい漏れ出てしまったような……
そんなとき、この人は誰なんだろう?というような表情で息子を見上げてしまい、「ママ、どうしたの?」と息子に訊かれて、「なんでもない。ちょっと疲れただけ」などと誤魔化すーー。

不思議だ。

しっくりこない。

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きゅうり

2016年08月18日 12時53分34秒 | 日記
中房温泉には、きゅうりの無料サービス場がある。

湧き水で冷やしてあり、信州味噌が置いてある。

おいしい。


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夏休みの課題だろ、これ?

2016年08月17日 17時02分53秒 | 日記
息子が登山リュックに入れて北アルプスの山小屋でやろうと目論んでいたらしい数学のテキストが、雨と汗でぼろぼろになっていた。

どうするんだろう?


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思い出が深過ぎる温泉宿

2016年08月17日 16時33分58秒 | 日記
北アルプスの燕岳登山口にある中房温泉に滞在しています。

わたしは、10代半ばから30歳まで温泉宿で仕事をしていました。書き上げるまでは絶対に帰らない、と決めて、長い時は半年以上滞在して戯曲や小説を書いていたんです。東は東で、東京キッドブラザースの戯曲を書いていました。温泉宿で暮らしていたんですよね、東由多加とふたりでーー。

(32歳で息子を産んでからは定住しています)

日本全国を転々としていたのですが、メインの宿が3軒ありました。

奥鬼怒の加仁湯、伊豆七滝温泉のつりばし荘、そして、ここ中房温泉です。

中房温泉、懐かしいです、ロビーや露天風呂や廊下、東と交わした会話が蘇ります。

一昨日、昨日、と温泉に浸かり続け、脚の傷みがやわらいでいくのがわかります。

かつて暮らしていた場所なので、よく眠れます。

ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。




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文章を書く余力がないので、写真だけで、

2016年08月16日 15時43分47秒 | 日記
今日も、過酷でした。

槍平小屋から新穂高温泉のバス停まで、通常4時間のコースを8時間かけて下山しました。

右足の着地時に痛みが走るので、大き目の岩から降りるのに、時間がかかるのです。


槍平小屋 7:00


南沢 9:00



滝谷 9:42


チビ谷 10:36


白出沢 12:00



穂高平小屋 13:00
(息子はトマトとラーメンを食べるが、わたしは食欲がなく、あずきミルクのかき氷を食べる)


新穂高温泉 14:20
飛騨高山行バス(平湯温泉で松本行に乗り換え)14:55発

自分の限界(主に痛み)を自分で迫り出していく感覚をこれでもかというほど味わった4日間でした。

しかし、うちの息子、タフだわ。

驚いた。

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感謝

2016年08月16日 15時14分28秒 | 日記


昨日は、槍平小屋のご主人である沖田政明さん(65歳)と、柄沢啓太さん(43歳)に命を助けていただきました。

ありがとうございます。

南相馬に帰ったら、お手紙を書きます。

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下山中の転倒で、

2016年08月15日 18時20分48秒 | 日記
(昨日は一日、電波の通じない場所に居たのです)

わたしの体調不良で、当初の予定を大きく変更し、南岳(標高3030m)から南岳新道を下り、槍平小屋を経由して新穂高温泉に出るコースで下山することに決めました。

8月15日、朝5時半に朝ごはんを食べ、下山の装備を整えて、7時20分に南岳小屋を出ました。

フロントのバンダナをしたおじさんに「なるべく早く下山をしてください。どんどん天候が崩れますから」と言われたことで、息子もわたしも焦りました。

濃い霧でした。

外の気温は3°C。

真冬用の防寒登山ウェアの上にゴアテックスのレインウェア上下、グローブーー、それでも寒かった。



南岳新道は、槍平まで標高差が1000mもあります。
左右に切り立った痩せ尾根や、崖と崖に渡した丸木橋や、崖にかかった鉄ハシゴで恐怖を存分に味わった後に、岩場の急坂が延々と続くのです。






ポツポツと降り出した雨が土砂降りになり、眼鏡が雨粒で見えづらくなくなりました。
(雨が強くなってからは、つら過ぎて、写真を1枚も撮っていません)
視界は、右も左も上も下も、霧で真っ白ーー。



標高2600mの西尾根のコルあたりのガレ場で、わたしは最初の転倒をしました。
左の足首をグキッと捻りました。
左足を庇いながら濡れて滑りやすくなっている木や岩を踏んで前に進んでいたのですが、ダケカンバの林あたりで、ズズズズッと右足を開いたままの形で滑り落ち、股関節と膝後ろの筋を傷めてしまったのです。

立てません。

ストックにすがっても、生まれたての鹿のような感じで、立てない。

両脚が痛くて、全く踏ん張れない。

ガイドブックによると、槍平小屋まで3時間とありましたが、雨と霧のため、この時点で既に11時を回っていました。つまり、南岳小屋出発から3時間半を過ぎていたのです。まだ、半分しか下りてないのにーー。

わたしは、絶望しました。

「救助要請する?」息子が言いました。

「だれに?」

「岐阜県警に」

「この霧じゃあ、ヘリコプターは飛ばないよ」

「そういう場合は、おぶってくれると思うよ」

「そんなことはできない。それに土砂降りの雨に打たれて何時間も待つのは、無理。なんとか歩く」

わたしは、岩や泥におしりをついて前に進みましたが、長く急な木の梯子が出現し、泣き出しました。

人生で何番目かの辛い体験だったのです。

「たけ、槍平小屋のひとに電話して、あとどれくらいで小屋に到着するか、訊いてみてくれる?」

小屋の話によると、まだ1時間はかかる、ということでした。

わたしは、文字通り歯を食い縛って前に進みました。

午後1時、はるか下の方に南沢が見えてきました。

「ママ! 沢の岩場を30分くらい歩けば、槍平小屋に着くよ」

あの沢まで下りていくのに1時間くらいかかりそうなのに、岩場の下りを30分ーー。

わたしは次の一歩で、痛い! 足!と絶叫しました。

すると、下の方から二人の男性が現れました。

「電話を受けた槍平小屋の者です」60代半ばぐらいの男性が言いました。

「まずは、落ち着いて、温かいお茶を飲んでください」40代前半ぐらいの男性が水筒の蓋に温かい麦茶を注いでくれました。

「ありがとうございます」わたしはお茶をいただきました。

唇が痛みでわなわなし、膝がガクガク震えました。

「ザックを背負えば歩けますか?」

「歩きます。すみません」わたしは、申し訳なさでいっぱいでした。

若い男性が、わたしのザックを背負ってくれました。

それから、通常10分で小屋に着くという沢の岩場を1時間かけて、一歩一歩おしりをついて下りました。

槍平小屋に到着したのは、午後2時過ぎです。

宿のご主人と話し合いました。

「その足だと、登山道のガレ場下りに4時間、林道に出てから新穂高温泉まで4時間。10時過ぎだと、バスもないし、タクシーもない。
ここに泊まるとしても、明日も雨だから、増水して川を渡れなくなる可能性がある。だから、今日は、宿泊客をどんどん帰してる。川が増水したら、2、3日停滞することになるかもしれないよ」

わたしは、お願いをしました。

「泊まらせてください」

というわけで、昨日は、槍平小屋に泊まりました。

さきほど、入念にストレッチを行い、患部に湿布を貼りました。

明日、足の痛みがやわらいでいますように。

明日、晴れますように。

今夜はうまく眠れますように。






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下山します。

2016年08月14日 21時37分46秒 | 日記
南岳小屋で朝を迎える。
眠ろうとすると、切り立った崖やハシゴが見えて、一睡もできなかった。
北アルプスで2日連続眠れないなんて、ヤバいな。

(山小屋には風呂がないから、汗だくのまま眠らないといけない。洗顔や歯ブラシの水は、1リットル100円で雨水を買う。ペットボトル飲料は1本500円。トイレは汲み取り式)


昨夜は、山小屋の外で、風がゴォゴォ走っていた。
雨の音もした。
寒いから、フリースを着た。
3000mを超えた場所なので酸素が薄く、呼吸も楽ではなかった。

今日から3日間は、雨の予報です。

息子と話し合い、燕岳まで行く北アルプス縦走を断念し、槍ヶ岳も断念し、南岳山頂から南岳新道を下り、槍平小屋を経由して新穂高温泉に出るコースで下山することに決めました。

順調に行って、7時間かかるコースです。

慎重に下山します。



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今日も登ってます。

2016年08月14日 07時26分01秒 | 日記
昨日は、槍沢ロッジに泊まり、雑魚寝いびき大合唱とダニとの闘いで一睡もできず。
4時起床。
5時朝食。
6時半出発。
南岳経由で槍ヶ岳を目指し、今夜は殺生ヒュッテに泊まります。
雨の予報だったけど、快晴。
きっと晴男がたくさん登っているんでしょう。
いま7時半。
ババ平キャンプ場、標高1990m。
まだまだ登ります。
ファイト!

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横尾まで来ました。

2016年08月13日 14時36分43秒 | 日記
すれ違うハイカーひとりひとりに「こんにちは!」とにっこり挨拶をする16歳息子が社交的過ぎる。

小さな子どもには「よくがんばったね」、お年寄りには「気をつけてくださいね」、外国人の方には「Hello!」と使い分けている。

明るい性格だよね、わたしの息子なのに……


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