原発再稼働と司法(上)「愚直な明断」と「賢しき黙認」を分けたもの

執筆者:塩谷喜雄 2015年5月15日
タグ: 日本 原発
エリア: アジア

 原発の再稼働をめぐって、福井、鹿児島の2つの地方裁判所から、わずか1週間ほどの間隔で、全く正反対の司法判断が示された。

 関西電力高浜原発3、4号機の運転再開は、住民の生存権を含む人格権を危うくするとして、福井地裁は4月14日に、運転差し止めの仮処分を命じた。その8日後、鹿児島地裁は、新規制基準に適合した九州電力川内1、2号機の安全対策に重大な過誤、著しい不合理はないとして、運転差し止めの仮処分の申し立てを却下した。

 決定文を読み比べてわかるのは、高浜と川内という2つの原発がそれぞれに抱える個別の事情を勘案した結果、地裁の判断が分かれたわけではないということである。

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執筆者プロフィール
塩谷喜雄(しおやよしお) 科学ジャーナリスト。1946年生れ。東北大学理学部卒業後、71年日本経済新聞社入社。科学技術部次長などを経て、99年より論説委員。コラム「春秋」「中外時評」などを担当した。2010年9月退社。
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