ローソン/「ウーバーイーツ」活用、初期投資抑えECチャネル開拓

2019年08月29日 17:30 / EC

ローソンは8月29日、東京都内の直営4店で、フードデリバリーサービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」を利用した店舗商品配達の実証実験を開始した。同日、実験店の一つである「ゲートシティ大崎アトリウム店」(品川区)で実験の概要を説明した。

<ウーバーイーツの実証実験>
ウーバーイーツの実証実験

ウーバーイーツは、アプリを通じ、タップ一つでユーザーに好きな料理を届けるフードデリバリーサービス。現在、10都市以上で展開しており、 1万件以上のレストランが60種類以上のメニューを提供している。

専用アプリで、商品の注文から決済までを完結できる。支払いはクレジットカードで行うため、キャッシュレス決済となっている。

吉田泰治ラストワンマイル事業本部長補佐兼ロピック企画部長は、「ローソンは実店舗を中心に事業を展開しているが、ECの伸長もあり、販売チャネルを拡大する。ウーバーイーツの実験導入で、売上拡大を図りたい」という。

宅配サービスを実施するには、宅配のための受注システム、宅配人員、宅配車両などのインフラが必要となる。自社で宅配サービスを実施するには、初期投資が重くなる課題があった。

ウーバーイーツは、初期投資が少なく始めれるのが特徴で、基本契約料と店舗に設置する受注端末、レシート発行機のリース料程度の負担で、宅配サービスを導入できる。

<ウーバーイーツの配達パートナー>
ウーバーイーツの配達パートナー

これまで、一部のフランチャイズ加盟店のオーナーが個人的に宅配をすることはあったが、宅配プラットフォームを活用するのは、今回が初めてとなる。

ウーバーイーツの利用実績が高いエリアにある都内の「ゲートシティ大崎アトリウム店」「代々木八幡駅北店」「新宿靖国通店」「新宿若松町店」で実験を開始した。

配送手数料は、店舗から配達場所までの距離と道路の混雑状況によって異なる。注文個数に関係なく、1回の注文に付き数百円程度となっている。ウーバーイーツの東京都内の配達対応時間は8時~25時。今回は、ウーバーイーツの配達時間と実験対象店舗のローソンの営業時間内で商品を届ける。

宅配サービスでは、配送料金の負担が課題となっているが、都市部では配送料金を払ってでも時間を大切にしたいというお客がいることに着目した。

<店舗スタッフが受注商品を店内でピックアップ>
店舗スタッフが受注商品を店内でピックアップ

今回は、弁当・おにぎり・店内で調理したフライドフーズ・デザート、日用品など約100品目を販売する。お客から入った注文は、店内に設置した受注端末で確認され、店舗スタッフが商品を店内からピックアップする。

ピックアップした商品は、ウーバーイーツの配達パートナーが受け取り、商品をお客に届ける仕組みだ。ウーバーイーツのアプリ内でクレジットカード決済をしているため、現金を取り扱うことない。

<商品受け渡しではレシートのみを発行する>
商品受け渡しではレシートのみを発行する

店舗スタッフを活用したサービスのため、ランチタイムなどピーク時間は、ウーバーイーツの受注商品をピックアップできない可能性もある。そのため、店舗ごとに受注休止期間を設定している。ゲートシティ大崎アトリウム店では、11時30分~13時30分は、ウーバーイーツの受注を休止する。

店舗では、スタッフが急に休むといった事象もあり得るため、店舗の判断で臨時に受注を休止することもできる。

11月末までに、最大で都内の直営店13店で実証実験を行い。売上の推移と店舗オペレーションの最適化を検証し、フランチャイズ加盟店への導入が可能かを判断する。

<ウーバーイーツアプリ内のローソン注文画面>
ウーバーイーツアプリ内のローソン注文画面

ウーバーイーツでは、サービス利用者の利便性を高めるため、品ぞろえの拡大を図っている。今回、ローソンがサービスに加わったことで、コンビニで展開する日用品が加わり、商品選択肢が増えた。

ローソンでは、ウーバーイーツのサービス提供事業者はレストランなどの外食が中心のため、日用品を展開することで、ウーバーイーツ内での差別化につながるとみている。

吉田本部長補佐は、「今回、からあげクン、ウチカフェスイーツ、悪魔のおにぎりといったローソンを代表する商品も配送対象とした。店舗で支持される商品が、わざわざ配送料金を支払ってても買いたい商品としての競争力も見極めたい」と語る。

現在、店頭在庫の品切れについては、店舗スタッフが手作業でウーバーイーツアプリにアップする運営となっている。実証実験の結果、実用化できる場合は、POSレジとアプリを連動させ、店頭在庫と受注アプリの在庫数を連携させる取り組みもあり得るという。

<ウチカフェスイーツも販売>
ウチカフェスイーツも販売

ウーバーイーツは現在、東京、埼玉、千葉、横浜、川崎、名古屋、大阪、京都、神戸、福岡の10都市以上で展開。7月末で、活動している配達パートナーは約1万5000人となっている。

1日平均の受注回数、平均受注額などは非公表だが、オフィスでのランチ、家庭でのパーティー、自宅でのスポーツ観戦、病気で外出できない、今日は気軽に料理を楽しみたいなど、さまざまなシーンで利用が拡大している。

ウーバーイーツアプリでは、1企業につき1注文となっている。レストランはその店舗のメニューしか提供できないが、コンビニは、ファストフード、弁当、和洋中の惣菜、日用品などさまざま商品を提供できる。

今後も、ウーバーイーツでは、提供商品のアイテム数を拡大するため、さまざまな企業と連携したいという。

Uber Eats/ToTomorrowの宅配クリーニングに「Uber Direct」提供

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