2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧
この記事では有名なKroneckerの稠密定理とWeylの一様分布定理を解説します。高木貞治『解析概論』において (証明はむつかしいが, が無理数ならば, 単位円周上の定点を起点として同じ向きに長さがなる弧を取れば, 点は円周上に稠密に分布される). という記述…
Weierstrassの多項式近似定理ワイエルシュトラスの多項式近似定理 - INTEGERSは1937年にStoneによって拡張されました(通称Stone-Weierstrassの定理)。それを述べるために言葉の導入から始めましょう。をコンパクト位相空間とします。このとき、連続関数空間…
有理数と無理数を分かつもの。それは「近似の精度」である。Dirichletの近似定理 を実数とする。このとき、任意の自然数に対して整数が存在して、およびが成り立つ。証明. をと分ける。を考える。このとき、鳩ノ巣原理からが存在して、とは同じ小区間に属す…
この記事では、Weierstrassの多項式近似定理の証明を解説します:定理 (Weierstrass, 1885) を区間上で定義された実数値連続関数とする()。このとき、任意のに対して多項式が存在して、が成り立つ。証明は何通りもありますが、Bernsteinによるものを解説しま…
本日arXivに投稿されたプレプリントB. Goddard, J. Rouse[1607.06681] Sum of two repdigits a squareによれば、二つの二桁以上のレプディジット(十進法表記で同じ数を並べてできる数)の和として表される平方数はに限ることを証明したと主張しています。証明…
この記事ではCarlemanの不等式の証明を解説します:定理 (Carleman, 1922) を正の実数列であって、が収束するようなものとする。このとき、不等式が成り立つ。証明は色々知られていますが、かなり初等的なものを紹介します。 準備 補題 自然数に対して、等式…
この記事ではの群構造についてまとめています。 1.1 と素因数分解されているとき、中国剰余定理によってが成り立つので、を得る。すなわち、問題はのときに帰着される(は自然数)。 1.2 のとき、が成り立つ。証明. 奇数が存在して、と書けることを示せばよい…
7/22はが円周率の近似値であることから円周率近似値の日などと呼ばれていますが、違和感はありますね(22月7日の方がふさわしい)。昔、この日に日食があったときに試験を5分で終わらせて日食を見たのを覚えています。tsujimotterさんが二年前に記事を書かれて…
以前出題した問題の答を書いておきます: integers.hatenablog.com定理 を有理数体を含む体とする。が条件任意のに対し、が成り立つ。を満たすとき、が成り立つ。 証明1 とする。とを定義すると、と書けるとき、である。一変数の場合は定理が成り立つことは…
自然数の約数の個数をで表します。は次の公式で求めることができます:公式 とが素因数分解されているとき、が成り立つ。cf.) mathtrain.jp以前の記事でを用いた例としてサブライム数 - INTEGERSがあります。の上からの評価として、自明な評価がありますが、…
のようにを繰り返し並べて出来る整数のことをレピュニット(Repunit)といいます(Repeated unitの略)*1。特に、は素数です。このような素数をレピュニット素数と呼びましょう。以外にレピュニット素数はあるでしょうか? 下から順に素因数分解してみましょう。…
Grahamのエジプト分数に関する有名な結果の証明を完全に理解しようというプロジェクトを勝手に実施中です。このプロジェクトは integers.hatenablog.comからスタートしました。Grahamの定理の証明は非常に初等的な手法で実行されるのですが、Brownの判定法in…
この記事では次の定理の証明を解説します*1:定理 (Sprague, 1947) を自然数とする。このとき、ある整数が存在して、より大きい整数は全て相異なる乗数の和として表すことができる。ただし、この記事全体において乗数と言えば「自然数の乗数」を意味するもの…
butchi氏が卒業論文で研究したという平面2進数(=物智(butchi)数)というものを何度かbutchi氏から聞いたことがありました。butchi氏自身による解説等がHPにあります:平面的2進数(Butchi数)だふやふさんという方がこのbuichi数に関する記事*1を書いているの…
と言えばですが、「相異なる平方数の和として表すことができない最大の整数」という特徴を持っています。すなわち、相異なる平方数の和として表すことができない自然数は有限個しか存在せず、それは次の個の整数です:Lagrangeの四平方の定理は「全ての自然…
は相異なる素数の和としては表すことができません。一方、次の定理が成り立ちます:定理 (Richert, 1949) より大きい任意の整数は相異なる素数の有限個の和として表すことができる。証明. 素数は無数に存在するので、次の主張を示せば十分。で小さい方から数…