一歳の子供が帰省先で熱を出し3日ほど続いていたため、母に小児科を教えてもらい連れて行くことにした。
母曰く、近所のお母さん方の間で大変評判がよくとても混んでいるそうだ。
とりあえず行ってみると連休の合間の平日ということもあり、待合室から溢れるほどの混雑ぶり。
受付すると、3時間以上は待つから、一度家に戻ってもよいと言われる。
そして3時間後、まだ混雑している病院でさらに1時間ほど待ち、順番がきた。
ちょうど忘れものを届けにきた夫と、荷物持ちで付き添ってくれた母も一緒に促され診察室に入る。
私が症状を話と、うんうんと大きくうなずきながら「本当に苦しそうでかわいそう…!」と演技がかった表情で話す。
この時点で(なんだこれ…)と思いつつ、診断を待つ。
医者:「うーんどうしよう…(回転する椅子に背もたれながら、左右にくるくると揺れながら)、この頃の熱って原因がはっきりしないの。感染症の検査してもいいけど、検査しても対処法なんてないから…どうしよう?」
私:(…え?)
私:「えーと、検査することで子供に負担が大きすぎるのであればやらなくていいのですが、感染症だとわかることで家族への感染などの対処などもあると思うのですが。」
医者:「うんうん、そうだよね(大きくうなずきながら)、検査しよう!」
私:(え…)
検査して結果が出るまで外で待ち、ほどなく結果がでる。
医者:「結果が出ました。今回は3つの感染症の検査をしたんだけどね…」
医者、無言でPCから3つの感染症の説明が書かれた紙をプリントアウトし、私に渡す。
医者:「…ぜーんぶ陰性!」
私:(…は?)
ここらへんで診察時間は、検査結果が出るまでを除いても20分以上はかかっている。
医者:「だから、所謂風邪ってことでいいんだけど熱が高いし苦しそう…。抗生剤を出すか悩むんだけど…。どうしよう…(くるくる)」
私:(……。)
私:「今の症状と抗生剤を使うデメリットを比較して、どうなんですか」
医者:「最近は、あまり抗生剤を出さないっていうのがスタンダードなの」
私:「抗生剤を使わずに様子を見たほうがいいのであれば、出さなくていいです」
医者:「でも、苦しそうだよね?」
私:(は?)
このあたりで、診察時間は30分はゆうに越えた。
呆然として診察室を出ると、待合室は診療時間が終わっているにもかかわらず、まだ大混雑であった。
開口一番、一緒に診察室に入った夫と母の言葉。
夫:「…なんだあの医者…。つーか、診察内容、5分で終わる内容だよね。無駄に心配だけ煽るし。」(私の母の紹介の医者なので遠慮してるのか、私だけにこっそりと)
母:「あんなにじっくり時間かけて、お話も聞いてくれて、本当にいい先生だったわね〜!」
…お、おう…。
よくネットで、育児中の母が夫などに「共感、共感!」と叫ぶのが私はあまり理解できない。
共感なんかより具体的な協力だけが欲しいと思ってしまうタイプだ。
だけど、こういう医者に、
苦しそうね…/ そうなんです!
じゃーん、陰性です!/よかったー!
抗生剤どうしよう…?/どうしよう…?
みたいな会話によって救われる母親も多いのかもしれない。この病院の繁盛具合をみると。