高2の夏に自宅で介護していた祖父が亡くなった。 僕の誕生日だった。 その日、僕はこれまで生きてきた人生の中で、一番泣いた日だった。 なぜ泣いていたのかは今は思い出せない。ただ覚えているのは、僕が朝起きたときにひっそりと自宅で息を引き取ってた祖父の生暖かい手の感触だ。 その感触に祖父がまだ生きているような感覚を覚えた。目の前から大切なものがなくなった喪失感と自分の無力感から泣いていたような気がする。 それから僕は医学部を目指し、医学部6年生になった今年、祖母が亡くなった。 心臓に持病を抱えていた祖母は、肺炎にかかって病院に入院し、2週間後に息を引き取った。僕は死に目には会えていないし、僕が医師になって主治医として診ることもできなかった。 でも祖父のときとは違って、泣くことなかった。 大切なものがなくなったという喪失感と無力感は確かにあった。 実家を離れて暮らしている分、祖父より何かしてあげる
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