🌿🎼 悲哀 written by チョコミント🌿 源氏が三条の宮邸を御訪問することも気楽にできるようになり、 宮のほうでも御自身でお話をあそばすこともあるようになった。 少年の日から思い続けた源氏の恋は 御出家によって解消されはしなかったが、 これ以上に御接近することは源氏として、 今日考えるべきことでなかったのである。 春になった。 御所では内宴とか、踏歌《とうか》とか続いて はなやかなことばかりが行なわれていたが 中宮は人生の悲哀ばかりを感じておいでになって、 後世《ごせ》のための仏勤めに励んでおいでになると、 頼もしい力もおのずから授けられつつある気もあそばされたし、 源氏の情火から脱《…