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【ハイブリッド開催】ECzine Day 2025 Winter

2025年2月4日(火)13:00~18:45

生活者と企業の新しいつながり コミュニティコマースの可能性を探る

リサーチよりも迅速に商品の磨き込みができる タマチャンショップがコミュニティ活性化・情報活用例を紹介

 サードパーティCookieの規制を背景に進行している、企業のファーストパーティデータ豊富化の受け皿として期待が集まる「コマース」と「コミュニティ」。どちらも、企業やブランド・商品に対する熱量が高い顧客が集うことが、共通点であり特長となっています。これらをより密接につなぎ、マーケティングに活用していこうというアクションが「コミュニティコマース」です。本連載ではコミュニティコマースの概念から、事例や可能性・未来を整理・分析しながらお伝えします。第3回は、既にコミュニティコマースを推進し、顧客と密度の濃いコミュニケーションを実現している「タマチャンショップ」にフォーカス。前後編にわたり、有限会社九南サービスの代表取締役兼キャプテン 田中耕太郎氏、社長補佐 佐々木義和氏に話を聞きました。 ※本記事は後編となります。

前編はこちら

いつも考えているのは、商品価値に見合う「価格の黄金比」

舟久保(リワイア) 本連載の第2回でも紹介していますが、事業を成長させるには「商品力×販売力×コミュニケーション力」という極めてシンプルな公式にのっとり、それぞれを高めていく必要があります。こうした3つの力を伸ばすために、タマチャンショップのコミュニティ「タマリバ」が行っていることをお聞きしたいです。

田中(九南サービス) 「商品力」については、お客様が考える「商品に対する価値」と見合う「価格の黄金比」をいつも考えながら開発しています。

 日本はモノの品質がやはり高いです。ただし、それを極めつつも適正価格で販売する文化を築かなければならないと私は考えています。そこに必要なのが、お客様の声を商品づくりに生かすことと、価値を伝えるためにお客様と継続的なコミュニケーションを取ることです。

 たとえば、タマチャンショップで「キノコッチ」という商品を販売していますが、この商品は諸事情により発売初期の品質に至らない点がありました。そこでリリース後、タマリバのお客様に意見を募り、新たな味を開発してリニューアルすることにしたのです。そして磨き込みをした結果、リニューアル後の売上は60%、商品評価は20%向上しました。

 私自身、以前リサーチ会社での勤務経験がありますが、課題にぶつかった際にこうしてお客様の声を聞き、反映できる環境はなかなか容易に築けるものではありません。外部にリサーチを委託していたらできない、コミュニティコマースならではの大きなベネフィットだと実感しています。

(写真左)有限会社九南サービス 代表取締役兼キャプテン 田中耕太郎氏、(写真右)有限会社九南サービス 社長補佐 佐々木義和氏
(写真左)有限会社九南サービス 代表取締役兼キャプテン 田中耕太郎氏
(写真右)有限会社九南サービス 社長補佐 佐々木義和氏

舟久保(リワイア) コミュニティコマースの実践が「販売力」に貢献していると感じた経験や、実際に得られた成果があればお聞かせください。

佐々木(九南サービス) 今年(2024年)の梅雨時に「タマチャン流 お家での過ごし方診断」という販促コンテンツを展開しました。お客様への診断を通して、お勧めの過ごし方4つと、それに合わせたコラムやタマチャンショップの商品、レシピなどを紹介し、商品に対する理解促進やトライアル購入に結びつける意図で実施した取り組みです。

 ちなみに本企画内では、タマリバのお客様から投稿いただいたレシピを紹介し、手づくり料理をお勧めするコーナーも設けています。たくさんのレシピの中から、企画内容や伝えたいメッセージを反映できるものをタマリバのスタッフが選び、活用しております。

タマチャン流 お家での過ごし方診断
「タマチャン流 お家での過ごし方診断」

舟久保(リワイア) 日頃から、レシピをはじめとする多くの情報が集まるコミュニティがあってこその企画ですね。3つの力の最後の項目「コミュニケーション力」についても、コミュニティとコマースを運営することで得られた効果や成果があれば教えてください。

田中(九南サービス) タマチャンショップ側から発信するコンテンツの中には、お客様からいただいたアイデアを参考にしたものも多く存在します。たとえば、公式Instagram(@tamachanshop)では「お客様のレシピをつくってみた」動画をアップする、といった具合です。

「夏にひんやり!甘夏寒天ゼリー(参考レシピ:はなはなさん)」の動画

舟久保(リワイア) お客様から調理動画を募るキャンペーンは他社でも行われていますが、企業側がお客様のアイデアを踏まえて自らつくってみるのは珍しいと思います。お客様との上下関係がない、大変好感のもてるコミュニケーションですね。

田中(九南サービス) 確かに、少々珍しいのかもしれませんね。私たちは日々お客様の投稿を見ているため、こうしたコンテンツをコミュニケーションに生かすのは自然な流れでした。これにより、従来はタマチャンショップの情報が行き届きづらかった20代の方々からも反響を得られたのは、非常に大きな副産物だったと思います。こうした広がりとコミュニケーションの循環は、私たちだけでは生まれ得なかったものです。

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この記事の著者

株式会社リワイア マーケター 舟久保竜(フナクボ リュウ)

総合マーケティング会社で23年間、大手メーカーの商品開発・販促企画のアイディア創出のための調査から、クチコミマーケティングの企画・施策実行までの支援を行う。マーケティングに取り組む中で、新しいモノを作り販売していく、モノによる生活者とのつながりに限界を感じ、循環型社会とレコノミーの時代の到来を実感し...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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