肝臓のがん細胞のほとんどを、正常な細胞に変化させることに、米ハーバード大の森口尚史研究員(肝臓医学)らが、マウスの実験で成功した。 遺伝子と化学物質を使う手法をとった。新たながん治療につながる成果で、2日から米ボストンで開かれる幹細胞シンポジウムで発表する。 研究チームは、がん細胞の7割近くを正常な細胞に変えられる2種類の化学物質を発見。がん細胞の一部を正常な細胞に変える能力を持つ遺伝子とともに、人のがん細胞を移植したマウスの肝臓に導入した。 その結果、マウス8匹はすべて8週間生きており、がん細胞の85〜90%は見た目も性質も正常な細胞となっていた。一方、何も導入しなかったマウス8匹は、がんによって3週間以内に死んだ。 森口研究員は「今後はiPS細胞から作った肝臓の細胞を使って、より副作用が少なく治療効果の高い化学物質の投与量を探りたい」としている。