2005年10月の東京モーターショーで、マツダが公開した「モーターを使わずに燃焼だけで再始動できる」という“夢のエンジン”SISS(スマート・アイドリング・ストップ・システム)。社内では既に商品化に向けた取り組みが始まっていた。同年4月から、量産化の検討が続いていたのだ。 この業務を担当したのが、現在はプログラム開発推進本部主査である猿渡健一郎である。 猿渡も自動車開発に携わる技術者として、SISSに大きな期待を寄せていたのは間違いない。ところが、現実にモノを手にして、すぐに頭を抱えることになった。技術課題が山積みと分かったからだ。 「彼ら(エンジン開発などに当たる基礎技術の研究者)は、エンジンしか見ていません。あくまでもエンジンの範疇で『こういう制御をすれば、止まります、かかります』と出してきます。ユニットとしては成立しています。けれども量産となると、エンジンをクルマにどう配置するか、快
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