大阪で生まれ育った私が幼少の頃から「今日は節分やから、丸かぶりやで」などと言われて接していた、太巻き寿司を切らずに食べる謎の風習。いつのまにかそれには「恵方巻き」という立派な名前が付けられて、この十五年ほどで全国的な流行になった。感心するのはどなたが考えたのかは知らないが、一本の巻き寿司を前にしてそれを「恵方巻き」と命名した行為で、『「ない仕事」の作り方』(文藝春秋)でみうらじゅん氏が書いていた『まず、名称もジャンルもないものを見つける。そしてそれが気になったら、そこに名称とジャンルを与えるのです』『「ゆるキャラ」と名づけてみると、さもそんな世界があるように見えてきました』という境地を思い出すのだ。いつだって流行りの最初には先駆者による真似の出来ない名付け行為がある。 パリッコ このあたりでナオさんが突然言いだしたんですよ。「次、あのあたりにチェアリングしてみません!?」って。 スズキ そ