微生物学者が10年かかって解明に至った複雑な問題を、人工知能(AI)の新ツールがわずか2日で解き明かした。 英インペリアル・コレッジ・ロンドンのホセ・R・ペナデス教授とそのチームは、なぜ一部の「スーパー耐性菌」に抗生物質が効かないのか、何年もかけて探り、証明しようとしてきた。
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シルバー・グレン・スプリングスの泉で泳ぐマナティーの体に、ナマズがぶら下がっている。(Photograph by Nicholas Conzone) 「1頭のマナティーに20匹ものナマズがぶら下がっているのを見たこともあります。頭や目にまで張り付いていて、マナティーはどんなに気持ちが悪かったことか」。米国フロリダ州ブルースプリング州立公園の泉で目にした光景を振り返るのは、非営利団体「セーブ・ザ・マナティー」のマルチメディア担当兼マナティー研究員であるコラ・バーチェム氏だ。 このナマズはマダラロリカリア(Pterygoplichthys disjunctivus)で、「プレコ」とも呼ばれる。体長は60センチほど。黒い体に紫と茶色のまだら模様とよく目立つ帆のような背びれがあり、平たい腹は水底の藻を食べるのに適している。 フロリダでは侵略的外来種で、川底に生息している。1950年代に南米からフロ
水深120メートル近い地中海の海底。この一帯で、1300を超える謎のリングが発見された。(PHOTOGRAPH BY LAURENT BALLESTA) 地中海の海底で完全な円形をした奇妙なリングが発見されると、その正体をめぐってさまざまな説が唱えられた。そして4年に及ぶ調査の結果、その背後にある失われた世界が明らかになってきた。 2011年9月中旬の晴れた暑い日。海洋生物学者のクリスティーヌ・ペルジャン゠マルティニは、研究用の全長30メートルの双胴船のキャビンにいた。船は、地中海に浮かぶフランス領コルシカ島の沖、約20キロを航行中で、窓の外では太陽の光を受け、紺碧(こんぺき)の海が美しく輝いている。だが彼女の関心は、その下に広がる世界に向けられていた。 目の前には、船に搭載されたソナーシステムの画像を映し出すモニターがある。短い音波を連続的に発して、約120メートル下の海底の地形を調べて
私たちが知る生物界とは異なる「もう一つの生命」が生まれつつあります。 それは通常の生物分子の左右をそっくり反転させた鏡像分子から作られた「鏡像細菌」と呼ばれる存在です。 現在の地球に存在する捕食者の消化酵素や免疫システムは彼らに歯が立ちません。 もし彼らが自然界へと放たれたなら、現在の生態系を根底から揺るがしかねない大惨事となるでしょう。 2024年12月12日付けで、科学誌「Science」に掲載された声明では、ノーベル賞受賞者を含む38名からなるチームが「鏡像細菌(ミラーバクテリア)」の創造を目指す研究や、それを支援する資金提供を各国政府は即刻禁止すべきだと強く訴えています。 この論文の著者で、エール大学の免疫学者ルスラン・メジトフ氏は「こうしたリスクは、いくら強調してもし過ぎることはありません」とし「もし鏡像バクテリアが動物や植物に感染して広がった場合、地球上の広大な環境が一気に汚染
毎年雪が降り積もるこの時期に、飼育施設の外の雪道で「ペンギンの散歩」を行っていて、冬の恒例イベントになっています。 12日から散歩が始まるのを前に、11日リハーサルが行われ、15羽のキングペンギンが往復500メートルほどのコースをおよそ40分かけて歩きました。 訪れた観光客たちはペンギンが雪の上をよちよちと歩いたり、雪の中に飛び込んだりする姿を写真に収めていました。 修学旅行で香川県から訪れた高校2年の男子生徒は「間近で見るとかわいいだけではなく、迫力がありました」と話していました。 ペンギンの飼育を担当する田中千春さんは、「ペンギンについて少しでも興味を持ってもらうきっかけになってくれればうれしいです」と話していました。 「ペンギンの散歩」は年末年始の休園日を除いて、12日から来年3月ごろまで毎日行われます。
タコにとって、体色変化はエネルギーの消耗が激しい行動だ。ヒトにとっては「23分間のランニング」に匹敵する。 想像しづらいだろうが、タコの瞬間的な体色変化は、エネルギーを酷使する重労働だ。この事実は、2人の生物学者が、体色変化中の生きたタコの酸素消費量を測定する研究を行い、論文を発表したことで明らかになった。 急速な体色変化は、動物界において幾たびも進化してきた適応形質だ。その用途は、動的カモフラージュ、コミュニケーション、体温調節、紫外線からの体の保護など幅広い。 体色変化は、カメレオンやアマガエル、タコのように急速な場合もあれば、カンジキウサギやさまざまな鳥類のように、ゆっくりと起こる場合もある。しかし、急速な体色変化の進化についての知見には、この能力に伴う代謝コストに関する情報が欠落していた。 体色変化のスピードと体色パターンの多様性について見たときに、すべての動物のなかで群を抜いてい
植物の中には脱水状態などのストレスにさらされると、超音波のクリック音で悲しげなメロディを奏でるものが存在します。そして、一部の蛾はこのメロディを聞き分け、卵を産む場所を決めるための指標としていることが明らかになりました。 Female Moths Incorporate Plant Acoustic Emissions into Their Oviposition Decision-Making Process | bioRxiv https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.11.06.622209v2 When They Hear Plants Cry, Moths Make a Decision - The New York Times https://www.nytimes.com/2024/12/06/science/moths-hea
HBOの人気ドラマ『The Last of Us(ラスト・オブ・アス)』を見て、ゾンビの大量発生が本当に起こるとしたらこんなシナリオだろうと思ったあなたは、それほど間違ってはいない。恐ろしくて夜も眠れなくなったり、文明崩壊に備えてサバイバルの装備を揃え始めたりするほどリアルではないにしても、宿主の脳を支配してゾンビのような存在に変え、感染を拡大させる菌類は、実際に存在する。 ドラマと違うのは、宿主がヒトではないことだ。 ハエカビの1種Entomophthora muscaeは、『ラスト・オブ・アス』で世界人口の大半に感染したコルディセプス(Cordyceps)と同じように、寄生性の菌類だ。ただし現実には、E. muscaeが狙う宿主は昆虫であって、ヒトではない。通常の宿主はイエバエ(学名Musca domestica)だが、ミバエにも感染することが知られている。 寄生生物によるマインドコン
大西洋原産のウミヤツメは、1800年代に北米の五大湖に侵入し、運河を通ってさらに広がった。(Photography by Andrea Miehls/GLFC) 北米の五大湖で、年間70億ドル(約1兆800億円)の規模を誇る漁業を崩壊寸前に追い込んだ外来魚ウミヤツメ(Petromyzon marinus)の駆除プログラムが、まれにみる成功を収めている。数十年におよぶ努力の末、人類は侵略的外来種の広大な湖全域における制御に成功した。世界でも類を見ない、野生生物管理の成功事例だ。 ヤツメウナギの仲間で大西洋原産のウミヤツメは、100年以上前に人間の活動によって五大湖の全域に侵入し、サケやレイクトラウト、ウォールアイといった在来種を食い荒らすようになった。 「ウミヤツメは、ただ泳いで入ってきただけです。我々人間が運河を建設して扉を開けてしまったのです」と、ウミヤツメの管理に取り組む五大湖漁業委員
2020年、マンモスの牙の発掘作業をしていた作業員が、シベリアの永久凍土の中で約3万2000年前のサーベルタイガーの子どものミイラを発見した。(PHOTOGRAPH BY Alexey V. Lopatin) さまざまな復元図や博物館の模型のほか、映画『アイス・エイジ』シリーズにも登場するが、サーベルタイガー(剣歯虎)が実際にどんな姿をしていたのか、古生物学者はおよそ200年ものあいだ疑問に思ってきた。見つかるのは骨の化石と足跡だけで、長い牙を持つこの肉食動物の本当の容姿はずっと謎だった。だが、シベリアの永久凍土で3万2000年前の子どものミイラが見つかり、ついに外見を披露した。論文は11月14日付けの学術誌「Scientific Reports」に掲載された。 「素晴らしい標本に大興奮しています」と、カナダ自然博物館の古生物学者であるアシュリー・レイノルズ氏は喜ぶ。なお氏は、今回の研究に
インドネシア西スマトラ島沖で魚に刺されて死亡したサーファー、ジュリア・マンフリーニさん /Costantino Sergi/IPA via Reuterr (CNN) イタリア人のジュリア・マンフリーニさん(36)がインドネシア西スマトラ州沖のムンタワイ諸島シベルト島南部でサーフィンをしている際、鋭いくちばしを持つ魚に胸を突き刺されて死亡した。 国営通信社が、災害管理当局者の話として伝えたところによると、マンフリーニさんがメカジキに胸を突かれたのは現地時間午前9時30分ごろだった。 医療報告書によると、マンフリーニさんは左胸上部に深さ約5センチの刺し傷を負った。 旅行会社を経営していたマンフリーニさんと取引のあったムンタワイ諸島のホテルはインスタグラムに「顧客であり友人」が「ダツに胸を突かれ、ほぼ即死した」と投稿した。 ダツとメカジキはどちらも長く鋭いくちばしを持ち、水から飛び出すことがで
地球上には非常に多くの生物が生息しており、南極や深海などの過酷な環境でも生物を見つけることができます。実は、地球の地下数千メートルには「地下生物圏」と呼ばれる生物圏が存在しており、地下に生息する生物の総重量は陸地や海洋の生物量を大きく超えると言われています。 There Is Something Hiding Inside Earth - YouTube 地下数十メートルから数百メートルの区間は、温度が10~20度の間で安定しています。しかし、深度が深くなるほど温度は上昇し、地下数千メートルでは100度以上にまで上昇します。また、地下数千メートルでは深海のような強い圧力もかかっています。このような極限環境にも生物は存在しています。 地下に生息する生物が構成する生物圏は「地下生物圏」や「深部地下生物圏」と呼ばれています。地下生物圏に生息する生物の総重量は3兆~5兆トンと見積もられており、陸上
女性の扁桃から取り出した長さ38ミリの寄生虫/The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene (CNN) 日本に住む25歳の女性がのどの炎症で医師の診断を受けたところ、扁桃(へんとう)に長さ38ミリの細い寄生虫が生きたまま入り込んでいたことが分かった。 米医学誌に今月掲載された症例研究によると、この女性は刺身の盛り合わせを食べた後の5日間、のどの痛みと炎症に悩まされていた。東京の聖路加国際病院の医師らが調べたところ左の扁桃の内部に寄生虫が生きて動いているのが見つかり、ピンセットでこれを除去したという。 DNA検査により、この寄生虫は線虫の一種で、第4段階の幼生であることが分かった。これらの寄生虫は、生もしくは十分に火を通さない海産物を食べた人の胃に入り込む。日本や北太平洋の国々、南米、オランダでは寄生虫に関する症例が700件以上報
双頭のヘビやカメ、シカなどがこれまで発見されていますが、これらの2つの頭を持つ動物のほとんどは生まれてくる際の奇形であると考えられています。プラナリアなど、損傷により複数の個体に分裂する生き物がいることはよく知られていますが、逆に2匹の別個体だったクシクラゲが負傷した際に1つに合体し、2つの口や感覚器官を持ちながらも神経レベルで高度に融合した単一の個体になったことが初めて報告されました。 Rapid physiological integration of fused ctenophores - ScienceDirect https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0960982224010236 After injury, these comb jellies can fuse to | EurekAlert! http
地球の全生物の共通祖先「ルカ」 地球のすべての生物は、ただ一つの共通の起源を持つと考えられている。この、共通の起源となった生物集団をルカと呼ぶことがある。これはLast Universal Common Ancestorの頭文字を繋げたもの(LUCA)で、「全生物の共通祖先」などと訳される。 ルカは「地球における最初の生物」ではない ちなみに、「全生物の最終共通祖先」のように「最終」をつける意味は、ルカを一つの生物集団に特定するためだ。なぜなら、ルカは、地球における最初の生物というわけではないからだ。おそらく、ルカより古い時代に生きていて、ルカに至る系統と分岐した後で、絶滅してしまった生物もたくさんいたはずだ。 そう考えると、じつは、ルカの祖先ならすべて「全生物の共通祖先」になってしまう。それでは不便なので、時代的に最後の共通祖先だけをルカと呼ぶために「最終」がついているのである(図「ルカ
ホラー映画に出てくるモンスターのようだが、この「舌に取って代わる」寄生虫は実在する。のどかな街で突然変異した寄生虫が人間の体を乗っ取り大暴れするシーンが思い浮かぶが、安心して欲しい。現実には、その等脚類の寄生虫ウオノエ(Cymothoa exigua)は魚類だけをターゲットとしている。 「舌を食べるシラミ」として知られる寄生虫ウオノエは、体長わずか8~29 mmで、その外観はかなり不気味だ。分節した体には掴んだり切り裂いたりするための7対の脚があり、外骨格で覆われた姿はエイリアンのようでもある。 ウオノエは温暖な沿岸水域に多く生息し、カリフォルニア湾からエクアドル。グアヤキル湾にかけて見られる。その陰惨なやり口にも関わらず、この小さな生物は、動物界における寄生と順応の複雑性を垣間見せてくれる存在だ。 興味深いウオノエのライフサイクル ウオノエは自由に泳ぐ幼生として生まれ、適切な宿主となる魚
(CNN) 太平洋の海底探査を行っている米シュミット海洋研究所が、高さ3000メートルを超す海山を新たに発見し、地図を作成した。 海山の比高は3109メートル。南米チリから1448キロの沖合にある。この山を形成する海底山脈には、さまざまなカイメンや太古サンゴ、希少な海洋生物(初めて撮影されたイカの仲間など)が生息している。 同研究所率いるチームは今月、探査艇「R/V Falkor (too) 」を使った28日間の探査を完了。船体下部にある音波探査機を使って海山の地図を作成した。 専門家の推定によると、世界の海には比高1000メートルを超す海山が10万以上あり、さまざまな種の貴重な生息地となっている。今回発見された海山は、ギリシャのオリンポス山(標高2917メートル)より高く、富士山(同3776メートル)よりやや低い。 水中ロボットを使った海山の尾根の探査では、多様な海洋生物が生息する場所が
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