原田諒
原田 諒(はらだ りょう、1981年 - )は、日本の脚本家・演出家[1]。
略歴
[編集]大阪市出身[2]。同志社大学法学部法律学科在学中の2003年、宝塚歌劇団に入団[3][4]。
2006年5月、月組宝塚大劇場公演『暁のローマ』にて新人公演の演出を初担当。
2010年3月、シャルル・トレネの若き日を描いたミュージカル、宙組宝塚バウホール公演『Je Chante(ジュ シャント)-終わりなき喝采-』で作・演出家としてデビュー。
2011年4月、雪組宝塚バウホール公演『ニジンスキー-奇跡の舞神-』において、ベジャール・バレエ・ローザンヌ出身の元バレエダンサー小林十市を振付に起用。耽美的な作風が高い評価を得る(小林は2014年、花組宝塚バウホール公演『ノクターン』にも振付スタッフとして参加)。
2012年4月、宙組宝塚大劇場公演『華やかなりし日々』で大劇場公演デビュー。
2013年、第20回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞[5][6](『ロバート・キャパ 魂の記録』『華やかなりし日々』の評価により)。
同年、隔月刊誌「ミュージカル」における2012年ミュージカル・ベストテン 演出家賞を受賞[6](『ロバート・キャパ 魂の記録』『華やかなりし日々』の作・演出に対して)。
2015年、第23回読売演劇大賞の演出家賞・上半期ベスト5に選ばれる(『白夜の誓い-グスタフⅢ世、誇り高き王の戦い-』『アル・カポネ-スカーフェイスに秘められた真実-』の評価により)。また、『アル・カポネ-スカーフェイスに秘められた真実-』は、作品賞・スタッフ賞(美術:松井るみ)上半期ベスト5にも選ばれた[7]。
2016年11月、花組宝塚大劇場公演『雪華抄』にて、自身初となる日本物レビューの作・演出を手掛ける。
2017年、第24回読売演劇大賞 優秀作品賞・優秀演出家賞を受賞[8](『For the people-リンカーン 自由を求めた男-』の評価により)。この作品は、優秀女優賞(主演:轟悠)・優秀スタッフ賞(作曲・編曲:玉麻尚一)を合わせた計4部門で高い評価を受けた。
2018年、第43回菊田一夫演劇賞を受賞(『ベルリン、わが愛』『ドクトル・ジバゴ』の脚本・演出の成果に対して)。
2020年、『椿姫』でオペラを初演出(指揮:ジャコモ・サグリパンティ)[2]。
同年、第75回文化庁芸術祭賞 演劇部門優秀賞・新人賞を受賞(『ピガール狂騒曲』の脚本・演出の成果に対して)[9]。
2021年、第28回読売演劇大賞 優秀演出家賞を受賞[6][10](『ピガール狂騒曲』の評価により)。
2022年12月、演出助手に対するハラスメント報道がなされる[11]。同月28日までに宝塚歌劇団を退団した[12]。
2023年、『文藝春秋』6月号において手記を掲載し反論、歌劇団に従業員の地位確認を求める訴えを神戸地裁に起こした(提訴は4月7日)[13][14][15]。
宝塚歌劇団での舞台作品
[編集]作・演出
[編集]- ミュージカル『華やかなりし日々』(2012年 宙組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:大空祐飛)*大劇場デビュー作
- ミュージカル『白夜の誓い-グスタフIII世、誇り高き王の戦い-』(2014年 - 2015年 宙組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:凰稀かなめ)
- 宝塚舞踊詩『雪華抄』(2016年 - 2017年 花組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:明日海りお)
- ミュージカル『ベルリン、わが愛』(2017年 星組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:紅ゆずる)
- ミュージカル『MESSIAH-異聞・天草四郎-』(2018年 花組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:明日海りお)
- ミュージカル『ピガール狂騒曲』〜シェイクスピア原作「十二夜」より〜(2020年 - 2021年 月組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:珠城りょう)
- グランド・ミュージカル『蒼穹の昴』〜浅田次郎作「蒼穹の昴」より〜(2022年 雪組 宝塚大劇場、東京宝塚劇場 主演:彩風咲奈)
バウホール作品
[編集]- バウ・ミュージカル『Je Chante(ジュ シャント)-終わりなき喝采-』(2010年 宙組 宝塚バウホール 主演:凪七瑠海)*演出家デビュー作
- バウ・ミュージカル『ニジンスキー-奇跡の舞神-』(2011年 雪組 宝塚バウホール、日本青年館大ホール 主演:早霧せいな)
- バウ・ミュージカル『ロバート・キャパ 魂の記録』(2012年 宙組 宝塚バウホール、日本青年館大ホール 主演:凰稀かなめ)
- バウ・ミュージカル『春雷』~ゲーテ作「若きウェルテルの悩み」より~(2013年 雪組 宝塚バウホール 主演:彩凪翔)
- バウ・ミュージカル『ノクターン-遠い夏の日の記憶-』~ツルゲーネフ作「初恋」より~(2014年 花組 宝塚バウホール 主演:柚香光)
その他の劇場の作品
[編集]- ブロードウェイ・ミュージカル『南太平洋』(2013年 星組 シアタードラマシティ、日本青年館大ホール 主演:轟悠)*潤色・演出
- ミュージカル『ロバート・キャパ 魂の記録』(2014年 宙組 中日劇場 主演:凰稀かなめ)
- ミュージカル『アル・カポネ-スカーフェイスに秘められた真実-』(2015年 雪組 シアタードラマシティ、赤坂ACTシアター 主演:望海風斗)
- ミュージカル『For the people-リンカーン 自由を求めた男-』(2016年 花組 シアタードラマシティ、KAAT神奈川芸術劇場 主演:轟悠)
- ミュージカル『瑠璃色の刻』(2017年 月組 シアタードラマシティ、TBS赤坂ACTシアター 主演:美弥るりか)
- ミュージカル『ドクトル・ジバゴ』〜ボリス・パステルナーク作「ドクトル・ジバゴ」より〜(2018年 星組 シアタードラマシティ、TBS赤坂ACTシアター 主演:轟悠)
- ブロードウェイ・ミュージカル『20世紀号に乗って』(2019年 雪組 東急シアターオーブ 主演:望海風斗)*潤色・演出
- ミュージカル『チェ・ゲバラ』(2019年 月組 日本青年館ホール、シアタードラマシティ 主演:轟悠)
- ブロードウェイ・ミュージカル『NICE WORK IF YOU CAN GET IT』(2021年 花組 東京国際フォーラムホールC、梅田芸術劇場メインホール 主演:柚香光)*潤色・演出
- ブロードウェイ・ミュージカル『プロミセス、プロミセス』(2021年 宙組 シアタードラマシティ、東京建物 Brillia HALL 主演:芹香斗亜)*翻訳・演出
ディナーショーの構成・演出
[編集]新人公演担当
[編集]- 2006年 月組『暁のローマ』[16]
- 2007年 花組『明智小五郎の事件簿-黒蜥蜴』[17]
- 2007年 星組『エル・アルコン-鷹-』[18]
- 2011年 雪組『仮面の男』[19]
- 2012年 宙組『華やかなりし日々』[20]
- 2014年 宙組『白夜の誓い』[21]
- 2015年 星組『ガイズ&ドールズ』[22]
- 2016年 花組『ME AND MY GIRL』[23]
演出補
[編集]演出助手
[編集]- 2004年 雪組『タカラヅカ・グローリー!』(岡田敬二)、花組『La Esperanza-いつか叶う-』(正塚晴彦)、花組『TAKARAZUKA舞夢!』(藤井大介)
- 2005年 宙組『ホテル・ステラマリス』(正塚晴彦)、宙組『レヴュー伝説』(草野旦)、宙組『ネオ・ヴォヤージュ』(三木章雄)
- 2006年 星組『ベルサイユのばら-フェルゼンとマリー・アントワネット編-』(植田紳爾・谷正純)、雪組『ベルサイユのばら-オスカル編-』(植田紳爾・谷正純)、月組『暁のローマ』(木村信司)、月組『レ・ビジュー・ブリアン』(酒井澄夫)
- 2007年 月組『ファンシー・ダンス』(三木章雄)、花組『明智小五郎の事件簿―黒蜥蜴』(木村信司)、月組『ダル・レークの恋』(酒井澄夫)、花組『源氏物語 あさきゆめみしⅡ』(草野旦)、星組『KEAN』(谷正純)、星組『エル・アルコン−鷹−』(齋藤吉正)
- 2008年 宙組『Passion 愛の旅』(酒井澄夫)、月組『Apasionado!!』(藤井大介)、雪組『カラマーゾフの兄弟』(齋藤吉正)
- 2009年 星組『ア ビヤント』(藤井大介)、月組『二人の貴公子』(小柳奈穂子)、花組『オグリ!』(木村信司)、星組『コインブラ物語』(酒井澄夫)、雪組『RIO DE BRAVO!!』(齋藤吉正)、花組『相棒』(石田昌也)
- 2010年 宙組『ファンキー・サンシャイン』(石田昌也)、花組『麗しのサブリナ』(中村暁)、星組『宝塚花の踊り絵巻-秋の踊り-』(酒井澄夫)
- 2011年 月組『Dancing Heroes!』(三木章雄)、雪組『ハウ・トゥー・サクシード』(酒井澄夫)
- 2012年 花組『Streak of Light』(酒井澄夫)
- 2013年 月組『ME AND MY GIRL』(三木章雄)、花組 『戦国BASARA 真田幸村編』(鈴木圭)
- 2014年 雪組『心中・恋の大和路』(菅沼潤・谷正純)
- 2015年 星組『ガイズ&ドールズ』(酒井澄夫)
宝塚歌劇団以外での舞台作品
[編集]作・演出
[編集]- 舞踊・長唄『よくばり弁天』(2011年 第4回苫舟の会 国立劇場小劇場 作曲・振付:藤間勘十郎)
- 麗美遊(レビュー)『花の万華鏡』(2014年「趣向の華」ファイナル公演 日本橋劇場 作曲・振付:藤間勘十郎)[24]
- 日本舞踊『八合目』(2016年「FUJIYAMA」明治座 振付:藤間勘十郎・尾上菊之丞 出演:尾上菊之丞・若柳吉蔵・市川ぼたん・藤間勘十郎)
- 安蘭けいドラマティック・コンサート『愛の讃歌』(2016年 Bunkamuraオーチャードホール)
- 『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(2017年 明治座 主演:大地真央)*潤色・演出 [25]
- 安蘭けいドラマティック・コンサート『GOLDEN AGE』(2017年 新国立劇場中劇場)
- 『ふるあめりかに袖はぬらさじ』(2019年 博多座、明治座 主演:大地真央)*潤色・演出、再演
- オペラ『椿姫』(2020年 東京二期会オペラ公演 東京文化会館大ホール)[2]
- 『おかしな二人』(2020年 シアタークリエ、シアタードラマシティ 主演:大地真央・花總まり)*潤色・演出
- 『LUXE』(2021年 横浜アリーナ 主演:髙橋大輔)
- ブロードウェイ・ミュージカル『エニシング・ゴーズ』(2021年 明治座 主演:紅ゆずる)*潤色・演出
- 一路真輝40周年記念コンサート『True to Myself』(2022年 浜離宮朝日ホール)[26]
ディナーショーの構成・演出
[編集]受賞歴
[編集]- 第20回読売演劇大賞 優秀演出家賞(2013年)-「ロバート・キャパ 魂の記録」「華やかなりし日々」の評価により
- 2012年ミュージカル・ベストテン 演出家賞(2013年)-「ロバート・キャパ 魂の記録」「華やかなりし日々」の作・演出に対して
- 第24回読売演劇大賞 優秀作品賞(2017年)-「For the people-リンカーン 自由を求めた男-」
- 第24回読売演劇大賞 優秀演出家賞(2017年)-「For the people-リンカーン 自由を求めた男-」の評価により
- 第43回菊田一夫演劇賞(2018年)-「ベルリン、わが愛」「ドクトル・ジバゴ」の脚本・演出の成果に対して
- 第75回文化庁芸術祭賞 演劇部門優秀賞(2020年)- 宝塚歌劇 月組公演「ピガール狂騒曲」の成果に対して
- 第75回文化庁芸術祭賞 演劇部門新人賞(2020年)- 宝塚歌劇 月組公演における「ピガール狂騒曲」の脚本・演出に対して
- 第28回読売演劇大賞 優秀演出家賞(2021年)-「ピガール狂騒曲」の評価により
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ 『宝塚歌劇団公認宝塚歌劇検定公式基礎ガイド2011』 (阪急コミュニケーションズ) p.158、2011年
- ^ a b c "【ニュース】2020年2月公演 東京二期会オペラ劇場『椿姫』〈新制作〉の演出に原田 諒氏". 公益財団法人 東京二期会. 25 January 2019. 2019年8月17日閲覧。
- ^ 『ミュージカル』2012年7・8月号 (ミュージカル出版社) p.70、2012年
- ^ “同志社大学通信 189号”. 2022年4月22日閲覧。
- ^ “第20回読売演劇大賞は蜷川幸雄”. シアターリーグ. moon-light(鈴木桂) (2013年2月4日). 2023年6月7日閲覧。
- ^ a b c “卒業生の情報”. 桃山学院中学校・高等学校. 2023年6月7日閲覧。
- ^ “「第23回読売演劇大賞」上半期ベスト5が発表に”. シアターガイド (2015年7月28日). 2015年7月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年7月30日閲覧。
- ^ “第24回読売演劇大賞、大賞・最優秀スタッフ賞は舞台美術家の堀尾幸男”. ステージナタリー. ナターシャ (2017年2月4日). 2023年6月7日閲覧。
- ^ “令和2年度(第75回)文化庁芸術祭賞受賞一覧(参加公演)”. 2020年12月27日閲覧。
- ^ “第28回読売演劇大賞…受賞作・受賞者紹介”. 讀賣新聞オンライン. 読売新聞社 (2021年2月9日). 2023年6月7日閲覧。
- ^ “「一緒に裸で寝よ」宝塚歌劇団 演出家がセクハラで公演中に担当外され異動処分”. 文春オンライン (2022年12月27日). 2023年6月7日閲覧。
- ^ “宝塚歌劇団に関する一部報道について”. 宝塚歌劇団 (2022年12月28日). 2023年6月7日閲覧。
- ^ “宝塚の元演出家「事実無根のハラスメントで退団強いられた」と提訴…「一日でも早く戻りたい」”. 讀賣新聞オンライン. 読売新聞社. 2023年6月9日閲覧。
- ^ “宝塚「性加害」報道の演出家が歌劇団を提訴した”. 文春オンライン (2023年5月9日). 2023年6月9日閲覧。
- ^ “編集長ニュースレター vol.26”. 文藝春秋電子版 (2023年5月19日). 2023年6月18日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ “番組詳細|宝塚歌劇 衛星放送チャンネル|タカラヅカ・スカイ・ステージ”. www.tca-pictures.net. 2021年5月1日閲覧。
- ^ 『演劇界』2015年1月号 (演劇出版社) p.28~32、2015年
- ^ “大地真央×原田諒が初タッグ、有吉佐和子の名作「ふるあめりかに袖はぬらさじ」”. ステージナタリー. (2016年12月26日) 2016年12月26日閲覧。
- ^ “一路真輝 40周年記念コンサート「True to Myself」開催!”. 東宝芸能 (2022年7月20日). 2022年12月29日閲覧。
外部リンク
[編集]- 『Je Chante(ジュ シャント)』
- 宝塚歌劇支局 花影アリスが好演!贅沢で豪華な舞台!宙組バウ公演「Je Chante-」(2010年3月27日 Sponichi Annex 大阪) - ウェイバックマシン(2010年4月6日アーカイブ分)
- 【宙組】凪七瑠海主演「Je Chante」(2010年3月7日 SANSPO.COM)
- 見つめたい:タカラヅカ歳時記(2010年2月27日毎日新聞大阪夕刊)
- 宝塚歌劇支局 雪組公演 華やかな伝説のダンサー半生記、演出センスに好感(2011年4月30日 Sponichi Annex 大阪) - ウェイバックマシン(2011年5月2日アーカイブ分)
- 宝塚歌劇支局 凰稀の代表作のひとつに…「ロバート・キャパ 魂の記録」開幕(2012年1月29日 Sponichi Annex 大阪) - ウェイバックマシン(2012年9月21日アーカイブ分)
- 「第20回読売演劇大賞」受賞者・作品(2013年)
- 日曜美術館「二人の“キャパ”」(2013年3月3日)