レストラン サクラ(Restaurant SAKURA)/麻布十番

麻布十番から鳥居坂を上がったところにある「国際文化会館」は、およそ3,000坪という敷地を持つ都内屈指の文化遺産。 ロックフェラー財団などの支援により設立された会員制クラブと、秘密結社めいた色気があります。
施設は宿泊施設、会議場、レストラン、図書室などで構成され、講演会、シンポジウム、セミナーなどの会場として使用されるほか、結婚式場としても利用できます。自慢の庭園は、岩崎小弥太が京都の造園家「植治(うえじ)」こと7代目小川治兵衛に作庭を依頼した傑作。港区の名勝にも指定されています。
ティールームとレストランはロイヤルパークホテルの運営であり、割増料金さえ払えば誰でも利用できます。都心のど真ん中でこの落ち着いた雰囲気は中々ないぞ。

しかしながらサービス陣は意識薄い系であり、着席後10分近くも放って置かれました。無駄に洗練された無駄のない無駄な動きが徹底されており、まだ何も食べていませんが、この店はダメだなと判断。
前菜の粗雑な盛り付けに思わず眉根を寄せる。決して不味いわけではありませんが、そこらへんの主婦のホームパーティの域を出ません。ランチで客単価5,000円を超えるレストランの前菜としては青息吐息です。
連れはテリーヌ。なるほど私の前菜とベクトルは同じであり、レストランというよりもビストロと捉えたほうが良さそうです。
パンはイチヂク・バターロール・バゲットの3種の用意。イチヂクのパンが美味しく、2個も食べちゃいました。
何が隘路となっていたのか、器に注ぐだけのスープの提供に20分以上を要しました。さすがにスタッフにペースを上げるようリクエストすると、「えっ?お急ぎですか!?」と逆に向こうが驚いていたので、当店においてはこれが標準タクト・タイムなのかもしれません。
スープを飲み終わった後、待ってましたとばかりにジャスト・イン・タイムで提供されるメインディッシュ。いやいやいやいや今度は早すぎだから。ここまでダメなオペレーションは珍しい。小笠原伯爵邸での悲劇を思い出しました。

料理は舌平目のムニエル。ブヨブヨとした食感で不気味です。調味もボンヤリとしており哀愁が漂う。
こちらは連れがオーダーした鰆のコンフィ。味について感想を求めると、「致命的ではない」と、何とも趣き深いコメントが返ってきました。
デザートはチョコ風味のパンナコッタにフランボワーズのシャーベット。いずれもクルーズ船における甘味のように大味であり、繰り返しになりますが、ランチで客単価5,000円を超えるレストランのデザートとしては軽佻浮薄です。
コーヒーは量こそはたっぷりあるものの、味についてはコンビニレベルでした。

やれやれ、という言葉がぴったりの気鬱なランチでした。一番安いワインを1杯だけ飲んで、これでひとり6,000円は高杉です。料理は俺のフレンチ以下であり、費用対効果を考えると無事死亡した次第であります。
眺望やハコは悪くないので、当店の正しい使い方は、併設のティーサロンでのんびりお茶をすることなのかもしれません。サービスもダメ、料理もダメ、費用対効果もダメと恨み骨髄に徹する。久しぶりに大きく外したランチでした。


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東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。

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