Ristorante YAMAZAKI(リストランテ 山崎)/乃木坂

イタリアンと言えば「スパゲッティ」と「ピザ」しかなかった1980年代に「イタリアにある洗練されたリストランテを作りたい」という山﨑オーナーの決意の下にオープンした「Ristorante YAMAZAKI(リストランテ 山崎)」。何となく青山っぽい印象がありますが、乃木坂駅を出てすぐです。
まさにクラシック。王道中の王道ともいうべきテイストの店内。ホテル出身のサービスたちの身のこなしも洗練されており本格派。場慣れしていない人にとっては慇懃無礼に感じ気後れするかもしれません。

矢島直樹シェフはシステムエンジニアから料理人へと転身し、青山「リストランテ濱崎」で腕を磨いたのち渡伊。帰国後に当店の6代目シェフに就任しました。ちなみに「リストランテ濱崎」シェフも当店からの独立組です。
店の風格に従い酒はかなり高いです。グラスシャンパーニュは2千円~で、最も安い泡ボトルでさえ8千円。ワインリストにはイタリアものながら数万単位のボトルがゴロゴロしており、きちんと戦略を練ってお邪魔したほうが良さそうです。
プロローグとしてスープとチップス。スープはトウモロコシと水しか用いていないのですが、大地の豊かさを感じるふくよかな味わい。チップスには芝海老(だっけ?)のタルタルがトッピングされており、シンプルながら最強の味わいです。
テーブルに配備されるグリッシーニとパン。この後もいくつか頂いたのですが、雑なフォカッチャを出して終わりということは決してなく、いずれも手の込んだ、パン単体として食べても旨いものばかりでした。
水カマス。炙って風味を立たせていますが、トマトの酸味や全体から立ち上るハーブや花の香りなどかなりの女子力の高さです。私にはわかる。なぜなら私も週2度は無印に行くほど女子力が高いからだ。
パスタはリングイネ。実は太刀魚主体。総じて美味しいのですが、先の水カマスと味覚が重複する部分があるので、また違った味付けでも良かったかもしれません。
リゾットはキノコ主体。ポルチーニを中心にヨーロッパのキノコが盛りだくさん。何とも言えない土臭い深みに思わず唸ってしまいます。もっと食べたい。
メインは蝦夷豚。北海道のフリーダムな放牧豚であり、いわゆる豚肉よりも味が濃く牛肉に近いニュアンス。奇をてらわない率直な調理であり素直に惜しかった。
デザートは二段階認証方式であり、まずは焼きたてのマドレーヌにビアンコマンジャーレ(ブランマンジェ)にフルーツの冷たいやつ。メインから引き続きオーソドックスな味わいです。
メインのデザートはチョコバナナ的な1皿。濃厚な味わいでありクラシックな料理の締めくくりに最適。塩漬け(?)のオリーブを用いているのが面白かった。
抜かりない小菓子をお供にハーブティを楽しみごちそうさまでした。

7千円のコースにふたりで1本飲んで、水やら税サやらを含めてひとりあたり1.4万円。ランチとしては中々の金額ですが、支払金額に見合った風格のある食事でした。ハコも料理もサービスもまさに重厚長大であり、接待や記念日など特別なディナーに相応しいお店。ギャルが女子会とかで使うには10年早いのでお気をつけて。

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