令和5年5月26日改訂 国立感染症研究所 エムポックスは、モンキーポックスウイルス(別名 エムポックスウイルス、以後エムポックスウイルスと表記)感染による急性発疹性疾患である。感染症法では4類感染症に位置付けられている。主にアフリカ中央部から西部にかけて発生しており、自然宿主はアフリカに生息するげっ歯類が疑われているが、現時点では不明である。稀に流行地外でも、流行地からの渡航者等に発生した事例がある。症状は発熱と発疹を主体とし、多くは2−4週間で自然に回復するが、小児等で重症化、死亡した症例の報告もある。 病原体 ポックスウイルス科は、感染細胞の細胞質で増殖する、遺伝物質として二本鎖DNAを持つ巨大なエンベロープウイルスで、脊椎動物に感染するChordopoxvirus亜科と、節足動物に感染する Entomopoxvirus 亜科に分類される。Chordopoxvirus 亜科はOrtho