仕事を終えて帰宅し、ネスプレッソを淹れる。お供はコンソメのポテチ。疲れた頭をリセットするためのルーティンだけど、スマホに届いたマッチングアプリの通知を見るたびに、ため息が出る。
SIerの仕事は忙しく、婚活する余裕なんてほとんどない。でも周りはどんどん結婚していく。お菓子のシガールをかじりながら、チョコの高騰ニュースを眺める。世の中は変わっていくのに、私の恋愛事情はずっと停滞したまま。
婚活パーティーにも行った。第一印象がすべての世界で、ランキングがつくような感覚がある。Adoの曲を聴きながら帰る電車の中、「私なんか」と思わないようにするのに必死だった。
この前のデートも微妙だった。パン食べ放題の店で会ったけど、会話が続かず、なんとなくフードコートに移動した。家族連れが席取りで騒ぐのを見ながら、「私もいつか」と思う一方で、本当にそんな未来が来るのか不安になった。
そういえば、松本人志が昔「タコパは恋愛の始まり」みたいなことを言ってた気がする。友達を誘ってやってみたけど、集まったのは女友達ばかり。風呂キャンセル界隈の話で盛り上がり、ちいかわのスタンプを送り合って終わった。
キンモクセイの香りがするたびに、季節が変わったことを実感する。ミスドでひとりコーヒーを飲みながら、「このままでいいのかな」とぼんやり考える。猫じゃらしみたいに掴めそうで掴めない未来を追いかけるのは、そろそろやめたほうがいいのかもしれない。