「生命の設計図」であるゲノム(全遺伝子情報)をすべて読むという構想が1980年代に浮上した時、多くの科学者は懐疑的だった。30億文字の読み取りは膨大な時間と費用がかかる。1文字当たり10ドルで総費用300億ドル、数十年かかると見積もられた。読みとり作業は単調な繰り返しで「一人前の科学者のする仕事ではない」との意見もあった。 . . . 本文を読む
足利紫山(しざん)師(安政6年生まれ、昭和34年101歳にて示寂)に相見したのは、老師93歳のときであった。そして「夢」という墨跡をいただいたのは、老師97歳のおん時であった。それ以来この一字を床に掲げて礼拝してきたわたしの瞼に、何かと浮かんでくる、夢のような美しい思い出のいくつかがある。 . . . 本文を読む
人が、禅とはいかなるものかと問えば、自分は禅とは夜盗の術をまなぶに似たるものと答えるであろう。ある夜盗の息子が自分の父の年老いたのを見て思った。「親父が商売をやれぬとすれば、この己より外に自家(うち)の稼ぎ手はないわけだ。己が商売をおぼえねばなるまい」。彼はこの考えを父親にひそかにもらし、父親もこれを承知した。 . . . 本文を読む
「致知」は毎月、ひとつのテーマを取りあげて特集を組み、そのテーマの由来を編集長の藤尾秀昭さんが1ページの解説にしたためています。このページを読んだだけでも、「致知」を購読した甲斐があります。2003年の1月の特集は「言葉が運命を拓く」。言葉によって運命を拓いていった人生として、関西師友協会副会長・豊田良平さんの生涯が紹介されています。わずか1ページの文章に藤尾さんの言霊が燃えあがるようで、静かな興奮のなかに深い感動が広がっていきます。
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茨木のり子さんは50を超えてから韓国語を本格的に学び、『韓国現代詩選』(花神社)や『ハングルへの旅』(朝日文庫)という紀行文を残した。韓国と茨木さんとの関わりには、人肌が触れ合う温かさがある。 . . . 本文を読む
半年も家賃を払ってくれぬ上に立退き料とは随分とムシのいい話だと思いましたが、ここでひっ返したんでは、家は今まで通りタダで使われるばかりですから、すべてこちらは目をつぶって、むこう様のおっしゃる通りの立ち退き料をさしあげて、やっと家をあけてもらいました。こんな間尺にあわない話がありますか。 . . . 本文を読む
【宮崎】 日韓併合時代にしても、日本のおかげで急速に近代化できたことなどは忘れて、慰安婦の強制連行などという「なかったこと」ばかり言っていますものね。2013年には「日本時代はよかった」と言った韓国の95歳の老人が、その時代のことを知らない青年に殴り殺されるという事件も起こった。ところで、朝鮮戦争は歴史教科書ではどういう位置づけになっているのですか。 . . . 本文を読む
通貨発行権を誰が握るかという問題は、常に重要です。シティの銀行家たちは、イングランド銀行と香港上海銀行創設に加わり、英ポンドと香港ドルの発行権を握りました。同じことをアメリカ合衆国でもやろうとした時、リンカーンが阻止したのです。
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この論理を以てすれば、世界中の静まりかえっているあらゆる国と国とが、すべて戦争を「現にしている」と「見るわけ」にもなるでしょう。ここで竹内好の言わんとするところがはっきりします。つまり、アメリカがシナに攻め入るべく戦争の準備をしている、という言いがかりは、実は、日本がシナと戦争を「現にしている」という架空の判定をみちびきだすための前提だったのですね。 . . . 本文を読む
ヴァイツゼッカー前大統領は、自らの歴史と取り組まない人は自分の現在の立場が理解できない、とかねて口癖のように語ってきたし、今回も語った。私も大賛成である。私も自らの歴史と取り組みたい。日本人である私は当然日本の歴史と取り組む。ドイツの歴史と取り組むのとはおのずと異なる。日本の過去に「ナチス」はない。「ホロコースト」もない。 . . . 本文を読む
シナには中華思想というものがある。自分たちの国こそ世界の中心、つまり中国であって、その高い文化が周囲の蛮族を教化するという考え方だ。東夷(とうい)・西戎(せいじゅう)・北狄(ほくてき)・南蛮(なんばん)と周囲の国のことを呼んでいるが、いずれもケモノかムシを意味する字であり、ひどく見下げた呼び方である現代風に言えば、甚(はなは)だしい差別語ということになろう。 . . . 本文を読む
大化改新は大宝律令(701年)、それを改修した養老律令(718年)によって、一応、その論理的帰結に至ったと見られる。今伝わっているのは養老律令のほうであるが、内容においては両者の相違はほとんどないと言われているので、「大宝以来の律令国家」などと言ってもよいであろう。そしてここで指摘しておきたいことは、日本においては、この大宝律令が明治18年(1885)に内閣制度ができるまで、実に約1200年間というもの生命を保っていたのである。 . . . 本文を読む
世界の歴史を見わたせば、波瀾(はらん)のない時代には英雄が現れていない。鼓腹撃壌(こふくげきじょう)という空想的な憧(あこが)れ言葉がある。古代伝説の代表的聖天子である帝堯(ぎょう)の時代。老人が腹鼓(はらつづみ)を打ち足で地面を踏み鳴らして拍子を取り、気儘(きまま)に歌って楽しんでいたという光景、すなわち平和で安楽な生活の象徴である。 . . . 本文を読む