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『武器としての土着思考』の著者で、自宅を人文系私設図書館「ルチャ・リブロ」として開いている青木真兵さん=奈良県東吉野村で17日 私たちの生活は値札のついた商品にあふれている。お金で交換できる「資本の原理」が支配する世界は便利な一方、「人間すら商品のように思わされているのは問題です」。そう指摘するのは、奈良県東吉野村で私設図書館「ルチャ・リブロ」を運営する青木真兵さん(41)だ。新著『武器としての土着思考』(東洋経済新報社)で、いきいきとした生の実感を取り戻すために地に足をつけること、いわば「土着」を唱える。 青木さんは2016年、妻の海青子(みあこ)さんと兵庫県西宮市から移り住んだ。当時は古代地中海史の研究者として大学のポストに就くことを目指し、論文執筆に追われる日々。生活のために塾講師などもこなし、体の不調に見舞われて都市生活から「逃げ出した」。以降、古民家の自宅を開放し、2人の蔵書を中
公益財団法人「東京子ども図書館」(東京都中野区)は18日から、老朽化した一部設備の交換を伴う大規模な改修のため、目標金額3300万円を募るクラウドファンディング(CF)を始める。 今年1月に設立50…
窓の外に広がる緑がまぶしい。どこか名のある高原ホテルのロビーのように見えるが、実は都内の図書館である。「ここは誰もが使える私設図書館です。今はおよそ1万1000冊くらいの本がありますね」。まちライブラリー提唱者の礒井純充(いそい・よしみつ)さん(66)が柔らかな笑みを浮かべた。 驚くのは、ここにある本全てが寄贈によって集められていること。寄贈者は自分が本を推す理由や思い出を書いたメッセージカードを添えて納める。「最初は本が集まらないんじゃないかと心配でした。ましてや、メッセージなんて面倒なことをしたら余計です。でも、杞憂(きゆう)でした」。本を通じて誰かとつながりたい―。そう願う人は予想以上に多く、本棚は次々と埋まっていった。
世界遺産・石見銀山遺跡の中心地・大森町の街中に位置し、島根県立大の学生たちが運営に当たる。築約200年の旧商家住宅を大改修した建物に、カフェ、ライブラリーやコワーキングスペース、水遊び場などが併設され、親子連れや観光客でにぎわう。 施設内のカフェのカウンター。島根県立大の学生たちが運営に当たっている 町並みが焼失した寛政の大火(1800年)後に建てたとみられる旧商家・松原家住宅で、地元の義肢装具メーカー・中村ブレイスと県立大が協力して改修し、2023年4月に「石見銀山まちを楽しくするライブラリー」としてオープンした。10人ほどの学生たちが地域づくりの学習を兼ね、スタッフとして働く。複数の母屋や蔵が連なり、延べ床面積で430平方メートル広さがある。 間歩をイメージした「えほんのどうくつ」。約300冊の絵本を並べる ライブラリーの空間には、石見銀山の坑道・間歩(まぶ)をイメージした「えほんのど
図書館を未来につなぐ江北図書館の活動<報告> 専門図書館協議会・金子由里恵(かねこゆりえ) 2024年2月28日、専門図書館協議会関西地区連絡会が新春講演会「図書館を未来につなぐ―滋賀・江北図書館の活動から―」をオンラインで開催した。江北図書館は、滋賀県長浜市に位置する私立としては日本で3番目に古い図書館である。本講演会では同館の理事長・岩根卓弘氏と同館長・久保寺容子氏から地域に愛される図書館をいかに次世代につなぐか、という観点から運営の工夫やその在り方などについてお話しいただいた。本稿では、その内容について報告する。 ●江北図書館の歴史と新たな活動 江北図書館の前身は、伊香郡余呉村出身の弁護士・杉野文彌が「故郷に図書館を建て青少年に勉学の場を与えてあげたい」という思いから、1902年に開設した「杉野文庫」である。1904年に木之本村に移転し、1907年に財団法人江北図書館を開館した。以降
2024年4月17日、雑誌の図書館「COVER(カバー)」が、東京都原宿の新商業施設である東急プラザ原宿「ハラカド」内にオープンしました。 同館は、日本出版販売株式会社(日販)の子会社である株式会社ひらくがプロデュースしており、出版社からの提供及び一般からの寄贈による約3,000冊以上の雑誌を収蔵しています。入場無料で誰でも利用可能です。 来館者のクリエイティビティを刺激する街の雑誌図書館として、原宿の新しい“たまり場”を目指すとしています。 ひらくがプロデュースする雑誌の図書館「COVER」が東急プラザ原宿「ハラカド」に4月17日オープン(PR Times, 2024/4/17) https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000363.000023227.html 雑誌の図書館「COVER」 https://coverharakado.jp/ COVER(
木のぬくもりを感じる本棚をデザインした高橋さん。右は山口館長 会津大短期大学部産業情報学科2年の高橋ひなたさんは、福島県会津若松市の「ひのき薬局」内の図書館に設置する本棚をデザインした。卒業研究の一環で、図書館がさらなる地域交流の場になってほしいとの願いを込めた。 高橋さんは図書館に関わる仕事がしたいと考え、昨年5月のキックオフミーティングから図書館の活動に携わってきた。従業員や利用者にアンケートを実施し、図書館に求められる機能や雰囲気を調査した。 調査の結果、薬局利用者が図書館に立ち寄るケースが少ないことが分かった。本棚を薬局の待合室に設置し、利用者を書籍に誘導する仕組みをつくろうと考えた。本棚は家型にデザインし、ベンチや机の機能も持たせた。 12日、薬局に本棚を搬入した。高橋さんは「多くの市民が本を読むきっかけになればうれしい」と話した。図書館の山口里江館長が立ち会った。 図書館は薬局
「アカデミーヒルズ」は、2024年6月30日をもって閉館させていただくこととなりました。 35年にわたる歩みにおいて多くの方々にご利用いただきましたこと、心より御礼申し上げます。 「アカデミーヒルズ」は、1988年アークヒルズにて前身となる「アーク都市塾」を開講して以来、一貫して知的活動の場と能動的な学びの機会を提供してまいりました。 1996年には現在の「アカデミーヒルズ」に名称を変更、2003年には六本木ヒルズ森タワー49階に移転し、“知の拠点”として学びのプログラムに加えて、組織や会社を離れた“自律的に自立する個人の支援”を目指した「会員制ライブラリー」と、国際会議やビジネスイベントに対応できる「カンファレンス施設」を展開してまいりました。 閉館までの間、皆様に快適にご利用いただけますようスタッフ一同誠心誠意努めて参ります。 引き続き変わらぬご愛顧をいただけますよう、どうぞよろしくお
地縁型のつながりが薄れ、都会では近隣に暮らす人たちと接点をもつのが難しくなっています。そこで、地域密着のゆるやかなコミュニティの入口として、全国に増えているのが「まちライブラリー」です。本を介して気軽に人と関わることができるコミュニティ型の図書館。自宅やお店の一角に本を置いて、誰もが気軽に始められるというので人気があり、今や登録数は1000件以上にのぼるのだとか。 そんなまちライブラリーのひとつが、新たに6月末、東京都西東京市に誕生しました。資本力のある大企業がバックアップすることで、これまでとはまた違う、市民にとって嬉しい空間が生まれている。そんな先行事例を見てきました。 三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下、MUFG)が始めた「まちライブラリー@MUFG PARK」です。
「親戚宅の玄関の匂いがする」「昔のせっけんで洗ったワイシャツの香り」。鎌倉市内でユニークなイベントが開かれている。その名も「本を嗅ぐ会」。持ち寄った書籍の匂いを嗅いでそれを基に語り合う集まりだ。主催する会社員・樋渡茉佑子さん(28)=同市=は「本の魅力の楽しみ方の一つとして広まっていけば」と意気込んでいる。 日曜日の夕暮れ時が迫るJR鎌倉駅近く。雑居ビル3階にある会員制図書室「かまくら駅前蔵書室」(同市小町1丁目)では男女7人が持ち寄った本の匂いをテーマに感想を述べ合う。「おばあちゃんの部屋にあった本の匂い」「最近嗅がない匂い。何々記念館で嗅いだことあるかな」。本の題名は「日本文学全集64 石川達三集」だ。今から半世紀以上前、1967(昭和42)年2月発行の書籍で、今では珍しい活版印刷の本という。 そのほかにもクッキーの匂いがするという寺山修司の「絵本・千一夜物語」や英国紅茶の香りがすると
現存する滋賀県最古の図書館は私立である。長浜市の江北(こほく)図書館で、私立としては成田山仏教図書館(千葉県)、神宮文庫(三重県)に次ぎ、全国で3番目に長い歴史を誇る▲この地に生まれた弁護士、杉野文彌(すぎの・ぶんや)は東京で苦学中、図書館の世話になった。雪深い古里の人々に本を読める環境を提供したいと1902(明治35)年、3000冊を贈り、その「杉野文庫」が5年後に図書館となる▲住民たちは戦中戦後も書籍を守り、館内掃除や庭の手入れをしてきた。蔵書は約5万冊。予算が少なく、新刊はあまり購入できない。一方、蔵書をほとんど処分しなかったため、昭和初期のグリム童話など懐かしい本と出会える▲日本図書館協会による集計(2021年)では、全国3316館のうち私立はわずか19館だ。地域が主体となって運営する江北図書館はいつしか「奇跡が生んだ宝箱」と呼ばれ、13年にサントリー地域文化賞、そして先月、野間出
明治期から別荘地として栄えた大磯町に、当時から残る古民家を再生した私設図書館「日暮らしの時間2ndプラス」(同町西小磯)が人気を呼び、にぎわいを見せている。経営する工藤隆さん・小笠原友理さん夫妻が目指す「人が人を呼ぶ施設」には落ち着いた喫茶店や書斎のような緩やかな雰囲気が漂う。癒やしと安らぎを求め、町内外から利用者が足を運んでいる。 箱根駅伝のコース沿いでもある、大磯町・松並木近くの一角に、ひっそりとたたずむ古民家。ガラガラと引き戸が奏でる音はどこか懐かしい。二宮町で古民家カフェを開いていた二人だったが、私設図書館は大磯町内でもアンティーク店を経営していた工藤さんが紹介を受けたのがきっかけで開設。自ら手がけて3カ月で改装し、2022年3月にオープンした。 工藤さんは「目指したのは酒田(山形県)の祖母の家。年を重ねると古いものが好きになってきた」。非日常をゆったりと楽しんでもらおうという空間
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