車載半導体不足の影響が長期化している。今の供給不足が解消されたとしても、今後同様の状況に陥る恐れがある。車載半導体不足を引き起こした根本要因やその解決策について、イノベーション論やR&D戦略が専門で半導体産業に詳しい東京工業大学教授の藤村修三氏に聞いた。(聞き手は、高野 敦=日経クロステック) 車載半導体が不足している理由は何か。 藤村氏 基本的にボリュームの問題だ。スマートフォンやディスプレー、ゲーム機向けなら簡単に億単位になるが、自動車は1、2桁少ない。スマホは同じ半導体を複数の端末メーカーが使うことも多いが、自動車メーカーはそうではない。ファウンドリーにとって自動車向けの魅力は、生産量は少なくても変動が小さいことだった。だが、新型コロナウイルス禍でその前提も崩れた。ファウンドリーとしては、生産品目を頻繁に変えるとコストが上がるので、同じものをたくさん造っていたい。やむを得ない判断とい
