【はじめに】 日本はなぜこれほどまでに為替相場に振り回され続けるのでしょうか。40年近くになる記者生活のなかで私がずっと考え続けてきたことです。 最近では2022年から24年にかけて進んだ急激な円安が大きな話題になりました。円相場は、22年初めの1ドル=115円から24年7月には一時は161円まで値を下げました。この間、日本では円安の脅威を訴える声があふれました。ウクライナ危機などに伴うエネルギー価格の高騰と、円安による輸入物価の上昇のダブルパンチで、ガソリンや小麦など日常用品のインフレに人々の不満が強まり、その「元凶」が円安とされたのです。 日本政府は円安に歯止めをかけるため、22年以降は累計24.5兆円の円買い・ドル売りの為替市場介入を実施したほか、ガソリン・電気・ガス料金を引き下げる累計10兆円を超す補助金や定額減税などの対策に動きました。円安が進むのは、日本銀行が長期にわたって金融
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