24年のボクシング年間表彰選手が26日に発表され、4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が7年連続8度目の最優秀選手賞(MVP)に選ばれた。
同日に都内で選考会が開かれ、各賞が決定。MVPの通算8度目、7年連続はいずれも自身の持つ最多記録を更新した。同年5月6日、東京ドームで臨んだ元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(30=メキシコ)との防衛戦も年間最高試合に選ばれ、2冠にも輝いた。
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18年から7年連続、そして8度目となるMVPだ。23年に白井義男、具志堅用高というレジェンド2人のMVP受賞記録をすべて塗り替えた井上が、自己記録を更新。愛称と同じモンスター級の選出回数だ。所属ジムを通じ、井上は「今回で7年連続8度目とのこと。何度でも選出していたけるよう、より一層、精進いたします。25年はもっと特別な年にしていきたい」と喜んだ。
24年5月、東京ドームで34年ぶりとなるボクシング興行のメインを務めた。90年2月、元統一ヘビー級王者マイク・タイソン(米国)が務めて以来で、日本人初の快挙だった。WBC世界バンタム級王者山中慎介との因縁から日本で「悪童」として知られる元2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKO撃破。日本人初の4団体統一王者の防衛成功も果たした。
4万3000人が集結した大舞台を振り返り「超満員の東京ドームで行われたネリ戦は自分の全キャリアを含め特別な試合になりました」とコメント。ネリ戦が年間最高試合(世界)にも選ばれ「そんな試合を高く評価して頂き本当にうれしく思います」と2冠を喜んだ。
また同11月にはサウジアラビアを電撃訪問し、同政府直轄プロジェクト「リヤド・シーズン」と推定総額30億円という複数年の大型スポンサー契約を結んで驚かせた。国内外でインパクトを残した1年だった。そして25年は「聖地」米ラスベガスへの再上陸が確実だ。実現すれば、バンタム級王者時代の21年6月以来、約4年ぶり。会場も約2万人収容が可能なT-モバイルアリーナでの開催が有力視される。挑戦者選定も含めて5月上旬に行う方向で交渉が継続。25年の井上がさらなる大舞台へ、歩みを進める。【藤中栄二】