ボクシングWBA世界フライ級王者ユーリ阿久井政悟(29=倉敷守安)が6月に誕生予定の第3子のために王座統一を誓った。
3月13日、東京・両国国技館でWBC世界同級王者寺地拳四朗(33=BMB)との2団体王座統一戦を控える。27日、1カ月間のスパーリング合宿を積んでいる東京・新宿区の帝拳ジムで練習を公開。注目の日本人王者対決を制し、2団体統一王者として3人目となる子供の誕生を迎える意欲を示した。
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生まれてくる子供のためにも負ける訳にはいかない。公開練習でシャドーボクシングとサンドバッグ打ちを披露したユーリ阿久井は、マネジャーでもある夢夫人(29)との間に第3子が誕生すると明かした。長女千聖ちゃん(4)、次女琴乃ちゃん(2)に続き、3人目は男の子だという。寺地戦に勝たなくてはいけない理由が新たに増えた。
「(誕生)予定日は6月末。世界王者のまま、生まれてくるのを迎えたいと思います」
ユーリ阿久井らしく短い言葉で、2団体王座統一への強い決意がにじんだ。
2月2日から地元・岡山から上京し、今週末まで東京で実戦中心メニューに取り組む。練習パートナーもWBO世界ライトフライ級王者岩田翔吉、21年の世界選手権で日本人初の金メダル(バンタム級)を獲得した坪井智也(ともに帝拳)ら世界トップ級とスパーリングを積んだ。「いろいろな選手と1カ月という短い期間で集中してスパーリングできたことは収穫」と自信の表情を浮かべた。
2週間後には大一番を迎える。世界2階級制覇王者でライトフライ級時代は2団体統一王者だった寺地との対決だが、ユーリ阿久井はあくまでも自然体を貫く。「決まった時は統一戦かと思ったが、普通に時が流れていくので普通の試合かなと。どんな試合でも勝ちにいくことに変わりはない。勝っても負けても悔いが残らないようにしたい」と静かに燃えていた。【藤中栄二】