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2025-02-19

この街には計画的人間しか住んでない

この街には計画的人間しか住んでない

スーパー入口での絶望

私は今、スーパー入口に立ったまま死んでる。手に持ったレタスの葉が萎れていくように、この街に住む資格を腐らせてる。カゴがない。売り場の奥まで歩いてやっと気づいた。また今日も、この儀式をくり返す羽目になった。

完璧人間たち

ここのスーパーマーケットには、完全な人間しかやってこない。レジに向かう客たちの歩数計が刻むリズム学生リュックに収まる野菜の体積計算、老紳士牛乳パックを把持する完璧な角度。全てが数学的だ。なぜなら入口しかカゴが置かれてないからだ。計画を誤った者は、空腹でも、出血していても、必ず入口まで引き返させられる。

国道沿いの激安スーパー

国道を隔てた向こう側のスーパーは違う。床にころがるカゴが散らかった積み木のようで、商品棚の隙間からふいに現れる。あそこでは人間が迷うこと許されている。だが計画都市のコンクリートに染みこんだ理性は、そんな「偶然」を病原菌のように排除する。先週、卵を抱えたままレジ列を彷徨った男がいた。警備員がだまって彼の後頭部を指差した時、冷蔵庫の霜のように静かな嘲笑が棚のあいだを這った。

私の冷蔵庫

私の冷蔵庫には常に二つのカゴがころがってる。ひとつ使い捨て羞恥心。もうひとつは取り返しつかなさを計測するためのものだ。毎日のように入口と売り場往復する私の軌跡は、この街地図ににじむ不純物のシミのように映っているに違いない。

終わりのない計画

この街夜明けはカーテンの隙間から侵入する図面のようだ。1年を通して6:00に朝日差しこみ、22:00に街灯が消える。私は枕元にカゴを置いて眠る明日もきっと、計画から漏れ臓物のように入口うずくまるのだ。ここには偶然が生きる余地などない。完璧な檻の中で、唯一の欠憾品である私の呼吸だけが、精脈に青いノイズを流し続けてる.

2025-02-01

「一番強いガンダムは?」と聞かれたら、真剣に考えるのがオタク アニメゲーム 記事元:anond.hatelabo.jp https://anond.hatelabo.jp/20250201153842

「一番強いガンダムは?」と聞かれたら、真剣に考えるのがオタク

今日とある場所トイレに入ったときのこと。 隣の個室に親子連れがやってきた。 子どもは4、5歳くらいの男の子。そのお父さんらしき人が一緒に入ってきたのだけど、とにかく焦っている。 「早くズボン脱ぎなさい。早く早く!」 せっかちな口調で、かなり急いでいる様子だった。 こっちも用を足そうとしていたのだけど、その緊張感が伝わってきて、なんとなく流れが止まりかける。 そんな中、子どもふいに、歯の間からふっと漏れるような軽いトーンでこう言った。 「ねぇ、お父さん。ガンダムの中でどのガンダムが一番強いの?」 唐突すぎる質問に、思わず耳をそばだてる。 さっきまで急かしていたお父さんの声が、そこで急に落ち着いた。 「いや、それは一概には言えない。」 静かで真剣な声だった。 それを聞いて、なんとも言えない気持ちになった。 笑うというより、「ああ、わかるなぁ」と思った。 僕自身ビデオゲームが好きなんだけ

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2025-01-18

増田裏技を見つけた

 先週末のことだ。何気なくネットサーフィンをしていたら、「ある特定コマンドブラウザ上で入力すると、増田に隠された“裏技”が見られるらしい」という噂を目にした。いわゆるイースターエッグのようなものに違いない。私はこういうちょっとした秘密を見つけるのが大好きで、子供の頃からファミコンスーパーファミコン裏技を片っ端から調べては試してきたものだ。しかもそのコマンドが、かの有名なゲームで使われていた伝説の“あのコマンド”らしいというのだからますます興味が湧いてしまった。

 昔、アクションゲームを遊んでいた人ならきっとピンとくるだろう。そう、「↑↑↓↓←→←→BA」という、世界で最も有名な裏技コマンドの一つだ。あのコマンド入力すると何らかの変化が起きるというのは、レトロゲームファンならお馴染みの話だが、それが今になって、よりにもよって増田ブラウザ表示画面に仕込まれているというのだ。これは確かめしかない。

 私は興奮半分、不安半分のままブラウザを開き、増田とあるページを表示してみた。見慣れたUIがそのままそこにある。まずは落ち着くためにコーヒー一口飲み、何が起きても対応できるように準備を整える。次にキーボードを握りしめ、いつもの“あのコマンド”を試しに入力してみた。――「↑↑↓↓←→←→BA」。入力し終えた瞬間、私は思わず画面に目を凝らす。しかし、最初は何も変化がなかった。

 「噂はデマだったのか?」そう思って肩を落としかけたときふいに画面の右下あたりからポップアップのようなものがひょっこり飛び出してきた。ポップアップといっても、一般的広告バナーではない。まるで小さな吹き出しのようなウィンドウがすっと現れて、そこに何か短いメッセージが書かれているではないか。そこにはこうあった。

 「よく気づいたな、ゲーマーよ。さあ、次はどこへ向かう?」

 突然現れたメッセージにドキリとしたのと同時に、テンションが一気に高まった。たしかにこれはイースターエッグだ。おそらく製作者が遊び心で仕込んだものに違いない。しかもそこには、もう一度そのコマンド入力したくなるような不思議言葉が並んでいた。私は思わずもう一度同じコマンド入力してみる。すると、今度は背景の色がほんの少しだけ変化して、上部のタイトル部分に謎のアイコンが一瞬だけ点滅してみせたのだ。

 「まさかこんな細かい芸まであるとは……」

 これだけでは終わらない。さらなる驚きはその後やってきた。なんと、裏技入力の累計回数によって表示されるメッセージや画面の演出が変わる仕組みらしい。たとえば5回目に試すと、最初吹き出しテキストちょっと違った文言に変わっている。10回、20回と回数を重ねるうちに、背景やアイコン、あるいはリンクの色までもが段階的に変化していく。しかも、その変化はちょっとしたジョークパロディ要素を含んでいて、見るたびにクスッと笑えるような仕掛けになっているのだ。

 ここまで見せられると、裏技というよりもはやアトラクションのようで、ユーザーを楽しませるための“おもちゃ”と言ってもいいかもしれない。いったい誰がこんな裏技を組み込んだのかはわからないが、少なくとも普通にページを使っているだけでは絶対に気づかない。ゲームの秘奥を突き止めるかのように隅々まで調べ、あの伝説的なコマンドを試してみた人だけが知ることのできる特別体験だ。ネットの深いところには、まだまだこんな遊び心に満ちた宝物が眠っているのかもしれない。

 さら面白いのは、この裏技存在を確かめようとした人たちが秘密めいたコミュニティを作り出している、という事実だ。実際にSNSを覗いてみると、増田裏技について呟いている投稿散見される。あくまオープン場所に書かれているのだが、なぜか詳細を語る人は少ない。みんな口をそろえて「自分で見つけてほしい」「ネタバレはしない」とだけ言うのだ。それはまるで、かつてのゲーム雑誌が見つけにくい裏技についてあえて濁して載せていたような、わくわく感を煽るやり口に似ている。

 こんなふうに、誰もがアクセスできるウェブ上でありながら、あえて多くは語られない秘密が隠されているのは実にロマンがある。普通にインターネットを使っているだけでは見えてこない小さな仕掛けが、実は潜んでいるかもしれない――そう思うだけで、私たちはほんの少しだけ“探検者”になれる気がしないだろうか。

 もっとも、裏技発見たからといって実利があるわけではない。ゲーム内の隠しコマンドとは違って、新しいモード解放されたり、アイテムを大量にゲットできたりするわけでもない。しかし、誰も気づかないかもしれない秘密を突き止め、その証拠を見届けるという行為には、計り知れない満足感が伴う。まるで宝探しのように、自分けがその場所にたどり着けたという優越感もあるだろう。これこそイースターエッグ醍醐味と言える。

 今回の「増田裏技」のように、何気なく見ている日常の画面が不意に変化する瞬間は、いつになっても心を躍らせてくれる。ふと気づいたら、もう一度コマンド入力して微妙な変化を確かめたくなってしまう。ゲーム世界と違って死んだりミスしたりもしないから、純粋試行錯誤できるのも嬉しいところだ。「もしかしたら、もう一段階深い仕掛けがあるのでは?」と想像を膨らませ、繰り返しコマンド入力してしまう。ある種の中毒性すらある。

 そして何より、この裏技は誰かとのコミュニケーションを生む可能性がある。おそらくこのイースターエッグを仕込んだ人は、ユーザーが気づいたときの反応を想像して楽しんでいるに違いない。さらに、その発見者同士がSNS掲示板などで「こんなの見つけたよ!」と話題にし合う。その繋がりが、また次の発見を誘発し、新たな遊びを生み出す。そうやっていつの間にかコミュニティ形成され、ただの“隠しコマンド”が、ちょっとした文化のように大きく育っていくのだ。

 もしまだこの裏技を試していないのなら、ぜひやってみてほしい。増田のページを開き、キーボードで「↑↑↓↓←→←→BA」と、あの懐かしのコマンド入力するだけだ。何も起きないかもしれないし、あるいは思いがけないメッセージが飛び出すかもしれない。運が良ければ、何度も試すうちに、あなたの知らない新たな表情を見せてくれるだろう。どんな仕掛けが待っているのかは、実際にやってみるまでわからないのだから

 まるで子供の頃に戻ったかのように、どきどきしながらコマンド入力してみる。その瞬間こそが、秘密を解き明かそうとする冒険の始まりだ。私たちデジタル世界における“探検者”として、日常の画面の裏側に隠された可能性を見出す。そこには確かに魅力がある。とびきり地味だけれども、驚きと喜びをもたらす仕掛けがある。あなたももし、この「増田裏技」をまだ知らないなら、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか。案外、ブラウザの向こうにはあなたを待つ小さな発見”が隠されているかもしれないのだから

2025-01-12

anond:20250112224255

ありがとうございます

しかに彼は神経質でした。いちいち細かいところをねちねちいってくる男でした。

でもそれ以外は経済力もあったし、、、こんなことから半年以上の交際ふいになってしまうのが残念で悔しいです

2025-01-05

私はブラコンなのかもしれない

 幼い頃から私たちは“セット”として見られてきた。生まれた日も同じ、顔立ちもよく似ている――いわゆる“一卵性双生児”ではないけれど、それでも周りからは「双子っていいね、仲良しでしょ?」と言われ続けてきた。実際に仲が悪いわけではないし、ケンカらしいケンカしたことも数える程度しかない。

 私と兄は同じクラスに入ることが多くて、席替えときはいつも先生が「双子は離しておいたほうがいいわよね」と気をつかってくれたから、わざわざ離れた席にされたりもした。まあ、それはそれで気が楽だった。四六時中、兄の隣りにいるのはちょっと落ち着かないというか、どうも“完全なる一心同体”なんてことはありえないんだと、子どもながらにどこかで感じていたから。

 けれど、周囲のイメージとは裏腹に、私たち姉弟――いや、厳密には数分だけ兄が早く生まれた、という関係性――は、「まるで違うタイプ」の人間だった。性格も、好きなものも、行動パターンも、何もかも対照的

 兄は昔から落ち着いていて、実に要領がいい。小学校の頃から自然リーダー役を任されることが多くて、学級委員をやっていたこともある。友達は多いし、先生からの信頼も厚い。ふと気づけば彼を中心にグループができているような感じで、皆が「○○君に相談すれば大丈夫」「分からないことがあったら○○君に聞けばいい」と頼ってくる。本人はあまり偉ぶることもなく、いつも穏やかに笑いながらうまく場を収めていた。

 一方の私は、人前でしゃべるのも苦手だし、控えめに言っても“引っ込み思案”な性格だ。自己主張しないタイプで、どちらかと言うと集団より一人でいるほうが落ち着く。そんな私の横に、なんでも器用にこなしてしまう兄がいる――それがどれほど大きなコンプレックスを生むか、たぶん兄自身は気づいていない。

 双子の妹としては、兄のことを「尊敬している」という気持ちが確かにある。その一方で、「ああ、また兄が注目を集めてる」「私なんて何をしても目立たない」と思わず拗ねてしまう瞬間だって少なくない。

 たとえば、小学生とき学習発表会の劇で主役を決めるオーディションがあった。私は勇気を出して立候補してみたのだが、結果的にみんなの前でうまくセリフを言えず、途中で声が震えてしまった。恥ずかしくなって固まっていると、「じゃあ代わりに○○君やってみて」と先生が兄を指名した。すると、兄はほとんど練習もしていないはずなのに、しっかりセリフを頭に入れていて、堂々と演じてしまったのだ。そこにいたクラスメイトの拍手と歓声の大きさを思い出すと、今でも胸が苦しくなる。「これだよ、これ」と、みんなが“求める”のはいつも兄の方。私という存在は、最初からオプション扱いなんだ、なんて気持ちになってしまった。

 そうやって、「どうせ私は兄に敵わない」と思うと同時に、兄が称賛される姿を見て心のどこかで誇らしく思う自分もいた。この矛盾した感情を抱えながら成長していくうちに、私は自分がブラコンなのかもしれない、と思い始めた。

 ――ブラコン。そう、兄を強く慕う妹のことを、ネット友達同士の会話なんかでは気軽に「ブラコン」と呼ぶ。でも“好き”と言っても、それが恋愛感情であるはずがない。一方で、ただの家族愛だけとも言い切れない。自分でも整理しきれない妙な感情を“ブラコン”という軽い言葉ごまかしている気もした。

 中学生になってからも、この複雑な関係は続いた。中学校ではクラスが分かれることもあったし、部活動も別だった。兄はバスケ部、私は図書委員。これで少しは「双子セット」から解放されるかと思ったのに、周りの子にはすぐに「バスケ部の○○君の双子なんだ!」「あのイケメンの妹?」なんて言われる。兄が“イケメン”かどうかは正直私にはわからないけど、少なくともモテることは確かだった。

 それを素直に「すごいね」って思えればよかったけれど、現実は違った。私の中にはまたしても“嫉妬”とも言えるような感情が生まれていたのだ。

 兄が女子からチョコをもらってきた日、家に帰ったら「これ、好きな子から?」「気になってる子いるの?」と何気なく聞いてしま自分がいる。いや、妹として話題にするくらいは普通だろう。それでも内心では妙なざわつきを感じる。兄の恋愛想像するたびに、寂しいような、モヤモヤするような感情が胸のあたりで渦巻く。

 私はどうしようもなく「兄を意識しすぎている」と思った。たとえば学校テストの成績が出たとき掲示板に学年順位が張り出されると、私は自分順位より先に兄を探す。兄の成績が上位なら嬉しいし、誇らしい。だけど、いつも兄より下の順位自分がなんだか情けなくもなる。

 結局、私は兄の背中を追いかけているのか、それとも追い抜きたいと思っているのか、自分でもはっきりしない。そんな曖昧気持ちを抱えてしまうせいか勉強部活中途半端なまま、どんどん自分に自信をなくしていった。

 高校受験が迫ったとき先生には「同じ学校を受けることになるよね?」と当然のように言われた。両親も「双子なんだから同じ高校でいいじゃない」と笑っていた。だけど、私は少し反発心を抱いていた。いつまでも「兄の妹」として見られるのは嫌だったし、同じ進路を選ぶのが当たり前というのもなんだか癪に触った。

 しかし、結局は同じ高校に通うことになった。兄の成績ならもっとレベルの高い私立や、他の選択肢もあったはずだけど、彼は家から一番近い、いわゆる“県立の進学校”を選んだ。私としては心の底でほっとしたのかもしれない。だって、違う学校に進んでしまったら、毎日どんな気分になるのか想像もつかなかったから。

 高校に入り、部活も別々、クラスも別々になった。それなのに、噂はすぐに広まった。「あのイケメン双子」だの「お兄さんと妹さん全然似てない」だの、また私は地味な存在として扱われ、兄だけが注目されているという図式が出来上がる。私はその“いつもの光景”に、慣れてしまったのだろうか。辛い、悔しい、というよりも、「ああ、またこれだ」と自分を納得させてしまっていた。

 しかしその一方で、兄が自然クラスでも中心的存在になるのを見て、どこか安心している自分がいる。それは確かにブラコン的な感情なのかもしれない。だって、「あ、また人気者になっちゃってる」「でも、なんだか誇らしいかも」と思ってしまうのだから。変だと思いながらも、これが私の素直な気持ちだった。

 このまま大人になって、いつか兄が誰かと付き合ったり結婚したりすることになったら、私はどんなふうに感じるんだろう――そんな想像をすると、時々息苦しいような、不思議な寂しさが込み上げてくる。兄がいなくなるわけじゃないのに。「家族」から、ずっと一緒に暮らすわけじゃないとわかっているのに、なんとなく孤独を感じずにはいられない自分がいる。兄がいなければ、私のアイデンティティはどうなるのか。自分ひとりで立っていられるのか、不安になる。

 ある日の放課後、私は図書室で一人、本を読みながらうとうとしていた。すると、突然ガタガタと椅子が動く音がして、目の前に兄が座っていた。

「珍しいね。ここで何してんの?」

 兄は私がよくいる場所をわかっていたみたいで、わざわざ探しに来たらしい。

「いや、ちょっと疲れちゃって……寝てた」

 私が照れ隠しにそう言うと、兄は少し笑ってから、「今日部活早めに終わったからさ、待たせちゃ悪いし。帰ろうと思って」とあっさり言った。

 私が彼を待つなんて、そんなの当たり前じゃないのに。いつから私たちは、自然と同じ時間に家を出て、同じ時間に帰るようになっていた。もちろん都合が合わない日は別行動だけど、兄はできるだけ合わせようとしてくれる。

 私は不器用に本を閉じてバッグにしまいながら、少し早足で歩く兄の後ろ姿を見つめた。いつの間にか、背も私よりずっと高くなっていた。昔はほとんど同じ身長だったはずなのに。そんな変化ひとつひとつが、私の心をシクシクと痛めつけるような気がした。

 高校二年のある夜、兄がふいに私の部屋のドアをノックした。ドアを開けると、彼が少し困ったような表情で立っている。いつも余裕たっぷりの顔をしている兄にしては珍しい。

ちょっと、聞いてほしいことがあるんだけど……」

 そう言って兄は部屋に入ってきた。私は慌てて机の周りを片づけ、椅子を勧めた。何か深刻な話でもあるんだろうかと、胸が高鳴る。

「どうしたの?」と聞くと、兄は小さく息をついてから、「……おれ、告白されたんだ」と言った。

 瞬間、私は心臓が大きく跳ねた。体温が上がるのを感じる。なんだ、その話。自慢でもしてるの?――そんな意地悪い言葉が頭をかすめる。けれど、兄が思いのほか真剣な表情をしていることに気づき、私は思わず黙り込んだ。

「その……同じクラスの子なんだけど、バスケ試合をよく応援してくれてて、この前の大会終わってから声をかけられた。ちゃんと考えて答えたいんだけど、自分はどうしたらいいのかわからなくて……」

 兄はもともと人気者だし、告白くらい何度かされてもおかしくはない。けれど、彼がこんなふうに私に相談してくるのは初めてだった。

「どんな子なの?」と私は声を震わせないように気をつけながら尋ねる。

「明るくて、周りを盛り上げるのが得意な感じ。勉強も得意みたいだし、すごく……可愛いと思う」

 そこまで言われて、私はなんとも言えない感情に襲われた。可愛い子。兄がそう表現する女の子。おそらく兄にふさわしい、そういうタイプなんだろう。私とはまるで正反対の…。

 でも、私は笑顔を作って、「いいじゃない。付き合えば?」と返した。兄は意外そうな顔をして、「そっか……でも、なんだか変に緊張して気軽に返事できなくてさ」とさらに眉をひそめる。

「兄ちゃんがいいと思うなら、OKすればいいんだよ。あ、応援してるから

 声が上ずりそうなのをこらえながら、私は精一杯明るい口調を作った。兄は少し安心したように笑って、「そっか……ありがとう」と言い、私の部屋を出て行った。

 扉が閉まった瞬間、私は椅子に崩れ落ちた。ああ、終わった。そんな意味のわからない言葉が頭に浮かんでくる。私にとっては“何かが終わった”気がした。兄がこのまま誰かと付き合って、どんどん私の知らないところで大人になっていく……。その未来を思い描くと、胸の奥に大きな穴が空いたように感じる。

 あの夜から私は兄とどう接していいのかわからなくなった。どんな顔をすればいいのか、何を話せばいいのか。今まで自然と近かった距離が、一気に遠のいてしまったような気がする。

 それでも朝になれば兄と顔を合わせるし、一緒に家を出る。兄は普段通りに私に接してくれる。時には「行ってきます」と頭をポンと叩いて笑ってみせたり、何気ない雑談を振ったり。でも、私は妙なぎこちなさを拭えないまま、まともに目を合わせられなくなってしまった。

 兄のほうは私のそういう態度に気づいているのかいないのか、何も言わない。それが逆に辛かった。私が一方的意識しすぎているだけなんだと思い知らされるようで。

 しかし、数週間ほど経ったある日、兄はふと私の肩を掴んで、ぐるりと向かい合って言った。「お前、最近なんか変じゃない? 具合悪いのか?」と。私はドキッとして何も言えなくなり、目をそらそうとする。

もしかして、あれ……おれが告白された話、嫌だった? ごめん、変な相談して」

 兄はそう言って、気まずそうに視線を落とした。そのとき私は、頭の中がぐちゃぐちゃになったまま、「別に」と口走った。

別に、嫌とかじゃないし。良かったじゃん、兄ちゃん告白されて……」

「うん、でもなんかお前の態度が変だからさ。もしかして反対なのかと思って」

「なんで私が反対しなきゃいけないの。全然いいよ。早くOKすれば?」

 自分でもわかるほどに、投げやりな声になってしまう。兄は少しむっとした様子で、「何だよその言い方」と眉をしかめた。

 あ、もしかして今、兄がちょっと怒ってる? 珍しい。そんなことを考えた瞬間、私は突然涙がこぼれそうになって、慌てて目を閉じた。

「ごめん……」

 小さな声で謝ると、兄はそれ以上は何も言わずに、ほっと息をついて「わかったよ。とりあえず……ごめんな、変な空気なっちゃって」と呟き、また歩き出した。私は動揺したまま、背中を見送るしかなかった。

 私がブラコンなのかもしれない――そう意識し始めたのはいつのからだろう。ずっと昔から、兄は私の“特別”だった。それが家族愛だけなのか、別の感情が混ざっているのか、自分でもわからない。ただ一つ言えるのは、私は兄に強いコンプレックスを持ちながら、同時に強く惹かれているということ。

 テストで負ければ悔しいし、兄が誰かに好意を寄せれば胸が痛い。それでも、兄が元気で笑っていてくれると嬉しい。それはまるで、一方的片想いにも近いかもしれない――なんて考えるのは、やっぱりおかしいのかな。

 あれから何日か経った頃、兄は告白してくれた女の子に対して「もう少し時間がほしい」と伝えたらしく、今も決断できずにいるようだった。どういうことなんだろう。私は聞きたいと思いつつも、なかなか話しかけられないでいる。兄も自分からその話題を振ってはこない。

 でも、この中途半端状態が続くうちに、私は少しだけ気持ちに整理がつきはじめた。もし兄がその子と付き合うことを選んだら、私は素直に応援したい。兄の幸せを喜んであげたい。それが「妹」として当然の気持ちかもしれないし、私が抱えているコンプレックス嫉妬は、所詮家族愛の延長にある“わがまま”なのかもしれない。

 ある放課後、兄と帰り道を歩いていたら、ふいに兄が言った。

「おれさ、たぶん……その子と付き合うことになると思う」

 思わずどきりとしたが、私はできるだけ自然な声で「そっか」と返事した。すると兄は少し笑って、「まあ、お前とはずっと一緒にいるし、いろいろ相談してくれてもいいのに、最近は離れちゃってるからしかったわ」とポツリと呟いた。

別に離れてなんかないよ、兄ちゃんこそ勝手に決めつけないで」

 私は思わずふてくされたような口調になってしまい、すぐに言い過ぎたかと後悔した。でも兄は、「そっか」と柔らかく微笑んで肩をすくめるだけだった。私の中で、何かがほっと緩むのを感じる。兄はいつも通りだ。大きな変化が起きる前の、最後日常みたいにさえ思えた。

 その週末、兄は正直に返事をしたようで、結果として女の子正式に付き合うことになった。その報告を受けたとき、私は不思議と落ち着いていられた。ああ、本当に、兄に素敵な人が現れたんだな。良かった。きっとすごく似合う二人になるんだろうな。

 だけど夜になって一人になったとき、妙に胸が苦しくなって、泣きそうになる自分がいた。まるで失恋でもしたような――いや、これは失恋なのかもしれない。私が心のどこかで抱いていた「一番近い異性としての兄」が、誰かに取られてしまったような気持ち。そうとしか説明できない。

 ただ、それを口にするわけにはいかない。だって、そんなの兄にとっても彼女にとっても迷惑だし、何より自分自身が許せなかった。

 それからは、少しずつだけど状況は変わっていった。兄は放課後彼女と一緒に帰ることが増え、休日部活の合間を縫ってデートに出かけるらしい。家にいる時間も減ってきたし、リビングで顔を合わせてもスマホを気にしていることが多くなった。

 そんな姿を見るたびに、私は初めこそ「何それ」と拗ねそうになったけれど、次第に「ああ、これが普通なんだよね」と思えるようになった。いつまでも双子で一緒に行動して、べったりいられるわけじゃない。私たちはもう、高校生になって、少しずつ大人になる道を歩んでいる。兄が変わっていくように、私も自分自身で変わらなきゃいけない。コンプレックスに振り回されるだけじゃなくて、ちゃん自分人生を築く努力をしなくちゃ。

 そうして意識を切り替えるようになってから、私は自分自身もっと集中しようと考えた。成績を上げるために塾に通うことを決め、大学受験に向けて目標を明確にする。部活には入っていなかったけれど、放課後図書室に残って勉強する習慣をつけた。

 以前なら、兄と差を感じるたびに落ち込んでいたけれど、もうそれはやめよう。兄が私とは別の人生を歩むのは当然のことなんだ。私は私で、やるべきことに打ち込めばいい――そう思えるまでに時間はかかったけれど、兄が“誰かの彼氏”になることで、その覚悟ができた気がする。

 ただ、正直に言えば、私はまだ「兄が好きなんだな」と感じる瞬間がある。家でふと兄の靴が脱ぎ散らかしてあるのを見たら、「もうちゃんと揃えてよ」と文句を言いながらも、心が温かくなる。彼がリビングでぼーっとテレビを見ていると、いつものように軽口を叩き合いたくなる。そんな些細な日常が、やっぱり私は好きだ。だからこそ、これからもずっと“兄の妹”であり続ける自分を大切にしたいと思う。

 確かに、兄と比較して自分卑下してしまうこともあるし、兄に対する“ブラコン”めいた気持ちがふとした瞬間に疼くこともある。けれど、それも私の一部なんだろう。

 それに、コンプレックスを抱えながらも兄を慕っていた時間は、決して無駄ではなかった。兄を目標にしてきたから、こんな自分でも少しだけ頑張ることができたのかもしれない。だって、誰かを目標にしなければ、自分なんか何もせずに投げ出していただろうから

 将来、私たちが進む道はもっとバラバラになるだろう。大学へ行くのか、就職するのか、あるいは兄はさらに先の道を選ぶかもしれない。けれど、たとえどんな道を進もうと、私たち双子でありきょうだい。そこに嘘はないし、その事実は変わらない。

 ――もしかしたら、私は一生「ブラコン」かもしれない。時々、兄のことを思い出して「あの人は今どうしてるんだろう」と胸を締めつけられるように感じるかもしれない。それでも、私には私の人生があるし、兄にも兄の人生がある。お互いが自分の道を歩いて、それでも時々振り返ったときに「相変わらず元気そうだね」と笑い合える。そんな関係理想だ。

 だから私は今、「ブラコンかもしれない」という自分を受け入れつつ、少しずつ前を向こうと思っている。コンプレックスごと受け止めたうえで、兄のことを好きでいるし、同時に自分目標に向けて一歩ずつ前進していく。その先に待っているのがどんな未来なのかはわからない。でも、きっともう少し強くなった私なら、兄の存在に振り回されるばかりじゃなくなる――そんな期待を抱きながら、今日図書室の机に向かう。

 時々、顔を上げて窓の外を見つめると、校庭でバスケをしている兄の姿が見える。仲間と笑い合いながら走り回る姿は、いつも通りキラキラしていて、私の胸をかすかに痛めつける。それでも私は微笑んで、参考書に再び向き合う。

大丈夫大丈夫」と心でつぶやきながら。兄は兄で、私は私。二人で支え合い、時には離れて、それぞれの人生を歩んでいく。私のブラコンはきっと治らないかもしれない。でも、それでいい。そんな自分を認めてあげたら、少しだけ楽になれる気がする。

2025-01-03

宇宙人さらわれたときのこと

女だけど中3の夏休み宇宙人さらわれた。

今までずっと忘れてたけどふいに思い出した。

あいつらは私を放し飼いにするときに頭の中を弄った。

ずっと長い時間忘却だが特定時間帯にとても復帰する

いま緊急対応至急記録

地球練習宇宙人誘拐宇宙人的乗物我幽閉

宇宙人求我排便姿宇宙人関心我排便姿

我激抵抗宇宙人要求排便姿穴便監視体制薬剤投入

我排便我人生最大羞恥心butウンコが止まらない

急いで書いてメモするもう忘れるこれをPCにいれるとkしえしまうからいそいでがいぶへはいべん

2024-12-22

ホッテントリに上がってたマンガが探し出せない助けて

・たぶんWebマンガ

発達障害気味の女の子主人公

コンビニバイトしてるけど失敗ばかりの自分に落ち込む日々

身長想像が掴めないちょっとやり過ぎ感のあるデフォルメ

・鬱ごはん初期によく出てた黒猫みたいなイマジナリーフレンドみたいのがいた気がする

衝動限界メシをドカ食いすることがある(もちづきさんとは精神状態が違う)

バイト先の女性男性からマスコット的なかわいがりをされてる

・↑の方と仲が良い女性から主人公女の子は知らないところで仄暗い感情を抱かれてる

最後に読んだのは↑の女性から豚骨を煮込むから昼寝してる間に面倒を見ていてくれって頼まれる(結局できない)話だった



ここまで思い出せるのに発達障害テーマ漫画多すぎてキーワードで絞れない。

自分ブクマ辿っても出てこない。はてなー同志諸賢助けて。

ふいに思い出して無性に読みたくなって困ってる。助けてください。

2024-12-21

ふいに業務スーパーの安くて脂っこい冷凍焼き鳥を大量に食べたくなる時あるよね

今がそう

2024-12-15

TWT2024 Global Finals の備忘録(不真面目)

はじめに

鉄拳から鉄拳8へとシーンが切り替わった2024年。12月5日〜8日にかけて鉄拳ワールドツアー(TWT)の締めくくりを飾る最終大会日本で開催されていた。強豪国として知られるパキスタン韓国をはじめ、タイアラブ、果てはアフリカコートジボワールなどの世界各国の有力プレイヤー日本東京に集結し、世界一位の座を賭けて四日間に渡る激戦を繰り広げた。

四日間には様々なドラマがあった。予選から躍動し続けた野獣(クマ)の圧倒的存在感、今大会でも存在感を示し続けた魔界パキスタン勢、新旧の層の厚さを見せつけた鉄拳修羅の国韓国。予選の段階から決勝であっても全くおかしくないドリームマッチが幾つも発生し、選ぶ人それぞれにベストバウトが異なるような名勝負が数多く繰り広げられた。

三島家(風神打てるなら三島でいいでしょ)が鉄拳8の初代チャンピオンになるという目出度いことになった本大会だったが、決勝戦以外でも、同郷にして世界最強の二人 Ash と Atif が世界大会で見せる身内の読み合い、日韓鉄拳界を長らく牽引し続けたベテラン二人ノビさんと膝さんによるフルセット死闘、現地予選(LCQ)を駆け上がった韓国 Edge の快進撃。どの戦いも見る者を魅了し、ハートを熱くさせる試合だった。

この個人的備忘録に取り上げるのは、それらの熱い戦い……ではなく、それらは他のもっとしっかりした人達がレポを書くだろうから任せて、個人的に愉快な気分になってしまった不真面目な不謹慎ネタを中心に記録する。

世界2位の Ulsan、伏兵吉光に処られて予選グループ抜けられず

この件について書く前に、まず予選と本戦関係について解説必要だろう。興味がなければ「さて、話を本筋に戻そう」まで飛ばしてほしい。

今回の大会では、最初の三日間が予選期間、最終日が予選を勝ち抜いたプレイヤーたちによる決勝トーナメントとなっている。三日間に渡る予選は、それぞれ出場可能条件が異なっている。

本戦決勝トーナメント格ゲー大会でお馴染みのダブルエリミネーションルールで行われる。三つの予選はどれで抜けても本戦には出場できるが、それらの間には優劣が存在する。具体的には、一日目の世界ランカーたちのリーグ戦で勝ち抜けると、本戦において勝者側(ウィナーズ)として出場できるが、それ以外だと敗者側(ルーザーズ)となってしまう。つまり、一日目の予選リーグを抜けると、それ以外の日を抜けるのに対して最初から一勝のアドバンテージを持っていることになるのだ。

この条件があるため、一日目に出場できる選手は、できるだけ一日目で本戦出場権を得たい、という思いがあるのである

さて、話を本筋に戻そう。

初日の予選では、二十人を四つのブロックに分けて総当たり戦を行い、勝率トップ二人が本戦出場権を得ることになる(このブロック分け自体も、プレイヤー個人裁量を最大限に活かして、得意な相手を狙い撃ちして苦手な相手からは逃げることができるという、なかなかに戦略的面白いので、興味があったら初日配信最初の方を見てもらいたい)。このブロック分けにおいて、Dブロック世界屈指の実力者が集まる死のブロックとなっていた。出場者は以下の通りだ。

グループ内どころか全参加者の中でも優勝の最右翼と目されている Ulsan と Atif が予選抜けの大本であるが、残りの三人も彼らを捲って勝つこともありえなくない。誰が抜け出るか分からない危険な組であった。だが、Dグループ試合が進み、勝敗が積み重なるにつれて、展開は予想外のものとなってきた。

〈Kkokkoma、同じ韓国勢の Ulsan を破り、予選抜けほぼ確実となる〉

誰もが予想したであろう、なんだかんだ Atif と Ulsan が抜けるだろうという予想だったが、Kkokkoma が Ulsan を打倒してしまったせいで、状況は混迷を極めることとなった。

Atif 以外には負けなしだった Kkokkoma は最終試合を終えて最終成績:三勝一敗(得失点差+2)という非常に優秀なスコアをつけ、グループ抜け最有力となった。この時点で Kkokkoma の順位をかろうじて上回る可能性があるのは、それぞれ一試合を残し二勝一敗という成績の Atif (得失点差+1)と Ulsan (得失点差+3)の二人のみ。

〈Atif か Ulsan のどちらかが落ちる可能性が高い〉

優勝候補のどちらかが最終予選に落ちてしまう。死のグループD(Death)の名にふさわしい混沌とした状況に緊張が走る。グループB以外ではなんだかんだランク上位者が順当に抜けていたのに、ここでも大番狂わせが起きてしまうのか!(グループBにおいて世界3位の Mulgold が落ちる事故があった)

状況を整理しよう。

1. 既に Atif 対 Ulsan の試合は終わっており、Ulsan が 0-2 で完勝していた。つまり、現状としては直接対決で勝った Ulsan が負けた Atif をリードしていた。

2. ただ、Ulsan 本人は Kkokkoma に負けていたため、もし Ulsan と Kkokkoma の得失点が並べば、グループ2位になるのは Ulsan の方だった。

3. 1位と2位では決勝トーナメントにおける優位性が異なるため、叶うならば1位で抜けたい Ulsan にとって予断を許さない状況だった。

(補足:決勝トーナメントでは、グループ1位は別のグループの2位と、2位は別グループの1位戦うことになるため、1位で抜けたほうが基本的に有利となる)

そんな混乱の堝の中、グループDの試合スケジュール通りに粛々と進んで行った。

まず、Atif 対 ノビさんの戦い。ドラグノフキャラ戦となった。ここでノビさんが Atif を打倒すれば、Atif の脱落は確実となったが、結果は 2-0 で Atif の勝利。これで、この時点で Atif が Kkokkoma のスコアを上回り予選抜けを確実とした。

Atif > Kkokkoma は決まった。あとは、Ulsan が勝って Kkokkoma の成績を上回るかどうか。世界トップが落ちるか否かは、この最終戦で決まってしまう。

そして迎えたグループDの最終戦。後がない Ulsan と既に3位以下で予選落ちが確定している Farzeen。Ulsan が選んだのはメインキャラのドラグノフ。だが Farzeen がポケットの中から選んだのは、今日一度も見せていない吉光だった。

吉光鉄拳に古くから存在する(一部熱狂的なファンが付いている)キャラクターで、バトル中突然胡座を組んだり切腹したりと、シリーズを通して見た目通りの変態トリッキーな動きで相手を幻惑させることを得意としている(あと拳法で戦うゲームなのになぜか抜身の刀を持ってる)。最新作である鉄拳8の現バージョンにおいては吉光はかなりの強キャラとして知られているが、とにかく操作や戦法が独特のためプロシーンではあまり姿を見ることはなかった。Farzeen が土壇場で持ち出したのはそんなキャラクターだった。

始まったグループDの最終試合チャット欄が突然の吉光起用に湧き上がる中、1セット目を取ったのは、急遽吉光を投入した Farzeen の方だった。いきなりピックしたとは思えない練達した吉光の動きに、さしもの Ulsan も苦戦していたようだった。

そして始まった2セット目。1セットを取った Farzeen の吉光はキレ良く動き、開幕ラウンドから時間切れ間近の大逆転を見せた。そして続くラウンド2も、そのまま取ってしまう。

「おお!」

「ウルサンLCQの危機

「ウルサンピンチ

チャット欄がざわめく。一気に、 Ulsan のグループ落ちの可能性に運命の天秤が傾いた。運命のラウンド3。ここを取らねば Ulsan は勝ち2の負け2となり、グループ落ちが確定する。

ラウンド3は一進一退の攻防が続いたが、まず先に有効打を与えたのは Ulsan のドラグノフだった。コンボ吉光の体力を大きく奪い、そのままレイジ状態になるまで追い込むことに成功する。しかし、Farzeen の素早い切り返しにより攻防が一瞬で入れ替わり、体力状況が逆転。逆に Ulsan の方が窮地に追い込まれた。

Farzeen の吉光の体力は、まだ数発削りを耐えられる余裕があるが、Ulsan のドラグノフは小技はかろうじて耐えられるが威力の高い技を貰うとKOされてしまう程の体力。圧倒的に Farzeen が有利に見えた。しかし、ここからでも十分に捲れるのが逆転性に優れた鉄拳である

Farzeen はここから取れる戦略は大きく分けて二つ。一つは下段などの小技でじわじわ Ulsan を削って、最終的に隙の小さい攻撃でKOできるようにすること。そしてもう一つは、Ulsan に攻撃するように仕向けてカウンターで一気に体力を削る戦略。どちらを取るにしろUlsan に反撃されないよう、限りない慎重さが求められる。

互いにステップを刻み、ジリジリと様子を伺う。先に動いてしまったのは Farzeen だった。吉光ステップを刻み、Ulsan のドラグノフの懐に潜り込み、Ulsan の攻撃を誘い迎撃技を振った。しかし、ドラグノフは既にバックステップで距離を離していた。

ドラグノフフリー状態だが、吉光は持続の長い技で隙だらけ。状況は圧倒的に Ulsan が優勢になった。ドラグノフ吉光の後隙に攻撃差し込んでもいいし、横移動から有利状況を作ってもいい。だが Ulsan が選んだのはそのどれでもない、しかし非常に賢い一手だった。

吉光の行動を見るや否や、Ulsan のドラグノフが即座に放ったのはレイジアーツレイジ状態ときだけ出せる一度限りの必殺技で、自身スーパーアーマーを付与しつつ特大の一撃を放つ攻撃だ。

すなわち、あの一瞬の状況で Ulsan が考えついた作戦は、レイジアーツのアーマーで吉光攻撃を軽減しつつ相手攻撃判定をぶち抜いて、レイジアーツ威力で一気に逆転、というものだった。あわよくばKOすらも狙える完璧な一手だった……一つの誤算を除いて。

Ulsan が選択した逆転の一手となるレイジアーツに、実況と解説が沸く。ドラグノフの拳が技の持続で硬直している吉光を襲う。そして画面に表示される K.O.文字。体力が0になって地面に転がっていたのは、なぜか勝ち確のレイジアーツを撃ったはずの Ulsan のドラグノフの方だった。

「ええ〜〜〜〜〜〜!」

完全に予想外のものなった結末に、ええ〜と仲良く同じセルフを叫んで大混乱に陥る実況・解説チャット欄。(ちなみに、あとで確認すると海外ストリームTwitch)でも「WTF」「WHAT」「OMG」「NO WAY」の嵐で、日本チャット欄と同じく予想外の顛末に大狂乱になっていた。)

Ulsan の誤算。それは吉光の放った攻撃が超バカ威力過ぎて、アーマーのダメージ軽減を上回ってドラグノフの残体力を一発で0にしてしまたことだった。いや、あれだけ体力が残っていたら十分アーマーで耐えられるはずじゃん……。誰もがそう思ったし、多分吉光を使ってた側の Farzeen でさえ、そう思ったことだろう。

カメラは勝者と敗者に分かれてしまった壇上の男たちを映し、そこには手で顔を覆う男の姿があった。マジかよというように顔に手を当てていたのは、勝者となった方の Farzeen だった。

結果的に、この試合に Farzeen が勝利したことUlsan はグループDを勝ち抜けられず、三日目の LCQ に最後の望みをかけることになり、逆に Atif はグループD1位という好条件で決勝トーナメントに進むことになった。

それが明暗を分けたのか、Ulsan は LCQ で5位という最終成績に沈み決勝トーナメント進出ならずとなったが、Atif は Alslan Ash に途中で負けたもの決勝トーナメントを順調に勝ち進み、最終的に準優勝を果たすことになった。

「オィッ! オィッ! オ〜〜〜、オィッ!!」キング総会の皆様による、大舞台でのキングの雄姿に送られる野太い声援(配信貫通)

キング、という鉄拳古参キャラクターをご存知だろうか。

まず、上半身が裸の筋骨隆々プロレスラー想像してもらいたい。そしてそのレスラーの頭にリアルジャガーマスクを被せていただきたい。

想像しただろうか。そう、万人が思い描いたであろう姿、それがキングである。まあ、つまりタイガー(ジャガーマスクである

鉄拳存在する数多くのキャラクターの中において、キングプロレス技を主体としたいわゆる「投げキャラである。ただ、鉄拳SFなどと比べて投げ抜けし易いシステムなので、キングは投げ一辺倒ではなく、打撃と投げを織り交ぜて戦うテクニカルファイターとなっている。

荒々しくダイナミックな打撃の中にふいに差しまれる力強くエレガントな投げ。打撃を意識すると掴まれ、掴みを意識すると打撃に圧倒される。この二つを変幻自在に織り交ぜて戦うのが卓越したキング使いである。だが同時に、打撃と掴みの緩急を高いレベルコントロールする必要があるキングは、上手くプレイするが非常に難しいキャラとして知られている(あとコマンドも激ムズである)。

そのせいか、このキングというキャラクターの戦い方には非常に華があるのだ。熟練した使い手にかかれば、キング活躍する試合は、まるでプロレスの興行を見ているかのように華々しいものとなる。長い鉄拳歴史の中で、キングの魅力に見せられた者たちが間違いなく大勢いたことだろう(そして分からん殺しされた初心者たちも……)。

だが、華はあれど操作が複雑であるという難キャラ宿命か、キングは近年の大会シーンにおいてもいわゆる上位入賞常連キャラとは言えなかった。ポテンシャルキャラ人気もあるが、活躍しているところを見るのは少ない、というのが今年までのキングであった。

そんなキングが、今回2024年の最強鉄拳プレイヤーを決める決勝トーナメントに、しかも勝者側で出場していたのだ。キングメインで世界ランク7位まで上り詰めたそのプレイヤーの名は The Jon。パキスタンが誇る最強の投げキャラ使いである。

近年、鉄拳強豪国として活躍目覚ましいパキスタン勢の一角として、世界ランク上位20人のみが出場できる初日の予選に出場した The Jon は、グループBを1位(3勝1敗)で抜けていた。直前のメジャー大会である Thaiger Uppercut (タイの大規模格闘ゲーム大会)を勝者側のまま優勝していた彼は、油がのった状態で、決勝トーナメントに望むことになった。

そして迎えた決勝トーナメントの時。異国の地で大一番に望む The Jon の後ろには、国籍は違えども同じキング使いたちの、暑く太い声援があった。

彼らの名はキング総会。キングをこよなく愛し、ゲーセンを借りてキングオンリー大会を開くつわもの達だ。日本開催という立地の好都合もあったのだろう。The Jon のキング応援するため、そんな彼らが現地に集結していた。

The Jonのキングと総会の皆さんのマリアージュは……とにかく声がデカかった。配信には(おそらく現地の実況・解説マイクを通じて)会場の音が漏れ聞こえるのだが、熱のこもった声援は、そのマイクを突き抜けた。

The Jon のキングが打撃コンボを刻むと、攻撃リズムに合わせて

「オィッ! オィッ! オィィィ!」

コールがかかり、投げを決めると

「オォォォ、オィィィ〜!」

と唸りが響く。この上、コンボを投げで締めた時は……。その先は、是非自分の目で確かめいただきたい。

無念にも、The Jon のキング活躍は7位タイで終わることになってしまったが、彼がこの日本の地で、鉄拳8となって最初の年の TWT ファイナルにて、キングの雄姿を観客に刻み込んだことには間違いないだろう(正直、決勝はクマキングになってほしかった気持ちがある)。

テコンドー最強の技「右アッパー

LCQ で優勝して、決勝トーナメントを快進撃する韓国Edge象徴する一種ミームになっていた概念

韓国Edge が使うキャラクターのファランは、テコンドーの使い手で、様々な足技で相手を攻め立てることが得意なキャラクターなのだが、手軽に浮かせるコンボ始動技が右アッパーなのだ。なので、ファランが右アッパー相手キャラが浮く→コンボで大ダメージ、という流れが、Edgeファランで勝ち進む中で何度も目にすることになった。

トップティアとは言えないファランで、激戦の LCQ を勝ち抜け、そして決勝トーナメントでも敗者側スタートという不利状況から4位にまで食い込んだ Edge。この言葉は彼の活躍凄さを伝える言葉でもあったことだろう。

配信

2024-11-16

恋愛のデバガメをしたことがある


これまでの人生で、何度かデバガメをしたことがある。

※デバガメというのは恋愛的な意味である性的な意味ではない。

これらを見てしまった経験を通じて、若かりし頃の自分不器用さを思い出した。

今の自分も「成長できた」といえるにはほど遠い。若い人たちを見て、まだまだ成長できる部分がたくさんあることに気づかされた。

もうアラフォーに入ろうとしている。その前に、ちょっとだけ記念的碑に増田投稿してみようと思った。

常連投稿者のように面白くはないかもしれないが、一生懸命書いてみる。



【1組目】同じ会社の若手社員

 一般企業アパレル事務仕事をしている。あと数年以内にはAIに置き換わってしまうだろう。風前の灯火みたいな事務仕事だ。平成初期だったら、私もバリバリ評価を得ていたのかもしれない。令和時代だと、明らかに若い人、時代の変化に適応できる人の方がこの仕事に適性がある。

 社屋3階で働いているのだけど、ある夕方~夜の時間だった。社内に人が残ってない時間帯に、私は4階にあるトイレに行こうとしていた。

 そうしたら、上の階の方で男女の声が聞こえた。一瞬「!?」となって、踊り場の前で留まった。会話は始まったばかりで、男性の方は隣の部署の30才くらいの人だった。女性の方は別の階で働いている子。

 一応、最初から声を拾ってみる。彼を増田君とする。まだ先月のことだ、頑張って思い出してみる。

「○○さん、お疲れ様です」

お疲れ様です増田さん」

「どうしたの、今日は?」

「え……?」

パンダじゃん!」

パンダ……」

「服が白黒だね」

※白黒のボーダーの服だったから?

「え、そうですね」

「白は、初めて見たかも」

「……いっつも白いです♪」

「そう、ええっと、あとは」

※私が踊り場から身を乗り出すと、彼が両手でジェスチャーしてるのが見えた

「○○さん。髪、切った?」

はい、切りました。……どうですか?」

「似合ってるね」

「ほんとですか?」

「うん、似合ってる。ねえ、ねえ。もっと仲良くなれたらご飯いこうよ」

「え、いいんですか?」

「いいよ」

「いきたいです。~~さんとご飯

「じゃ、携帯の番号教えて。メッセージしたい」

「わかりました」

私も、若い頃はあんなだったかもしれない。

意中の男性に声をかけられると、縮こまってしまって、うまく喋れなかったりする。

相手リードしてくれて、それでどうにか話ができる。子どもの頃に聞いた曲に、「大人階段昇る 君はまだシンデレラさ」というのがあったけど、まさにあんな感じだった。

恋愛は、全部相手リードしてくれると思っていた。自分はただ、意中の人がいたら「お疲れ様です」と声をかける。自分からアタックするのは、それくらいでいいと思ってた。

本当に、相手相手だと何もできない。それどころか、廊下ですれ違ったときに「お疲れ様です」と挨拶されても、顔(^^)を背けながら「お疲れ様ですっ!!」って投げやりな感じの挨拶になる。

髪を切った時も、好きな人と話してて「気付いてくれるかな……」と思うとドキドキして硬直したし「髪切った?」って言われそうな時は、事務所内なのに走って逃げだしていた。

そんな、若かりし頃の記憶が蘇ってきて懐かしかった。

トイレの話だけど、はてな匿名ダイアリーだと女性でも漏らしてしまうのが基本らしい。

私はこの時漏らさなかったので、3階にある修理中のトイレ飛ばして、急いで2階のトイレに入った。




【2組目】柔道合宿中学生

 こう見えても、高校まで柔道をしていた。初段しか取れなかったけど。

 柔道って、野球サッカーと違って、やってる子がとても少ない。柔道部のある学校の方が少ないくらいだ。特に女子柔道場合は、本当に過疎である

 柔道部員がちょうど3人しかいない高校だったので、夏休みになると、同じ市内にある高校合宿にお邪魔していた。期間は一週間。そこは工業高校で、立派な柔道場がある。

 市内のいろんな中学高校の生徒が集まって練習していた。男子は泊まり込みのようだった。

 そこで、珍しい組み合わせの男女がいた。ふたりとも中学生だった。凸凹な見た目だったのを覚えている。

 その時は8月初旬だったかな。私が合宿に参加した初日乱取りの時に女子小中学生に胸を貸していたところ、物凄い声が響いた。

「ああ、もおおおっ!!!」

みたいな声だった。

 見ると、小太りの体形の男の子が、その女の子寝技で抑え込んでいた。見るからガッチリ入っていて、逃げられそうにない。女の子は、バイオレンスな感じにグイグイって動いて、男の子お腹をグーで殴り続けて脱出成功した。

 それから女の子は血相を変えて、小太りの男の子寝技で抑え込みに行っていた。女の子黒帯で、男の子白帯だった。それにしても寝技が上手な男の子だった。体の幹が強いのもあるし、女の子が上から乗って行っても、軟体動物みたいにスルリと躱してしまう。

 決着がつかずに、乱取り終了のタイマーが鳴った。次の日も、また次の日も私は合宿に参加していた。他校の女子練習ができる希少な機会だった。

 いいかげん、筋肉痛がひどかった。女子中学生が打ち込みでも乱取りでも、私のところにばかり来るからだ。多い時だと、1日に30本近く(ほぼ90分)も乱取りをしていた。

 本当に貴重な時間だった。母校では、こんなに多くの女子選手練習することはできない。政令市にある名門校はともかく、田舎公立高校女子柔道環境は非常に厳しい。

 あの男の子女の子だけど、それから毎日見ることになった。私がいる練習スペースの近くで、あのふたりが一緒に練習している(組み合っている)ことがよくあった。

 男の子は、誰に対してもマジメな練習態度だった。手を抜かないし、女子選手小学生と組み合っても配慮していた。

 でも、あの女の子乱取りをする段になると、ビビっている様子だった。彼女乱取りになるとモードが変わる。真剣ガツガツやりあうのだけど、恐怖を感じながらやってるというか。

 男の子はさておき、中学生の"女の子"の方だけど、どう見ても強い子だった。普通中学生男子だったら普通に投げ飛ばすし、相手高校男子でも、白帯だったらフツーに力で圧倒していた。

 男子相手でも、引き手と釣り手を上下ブンブン振り回して、相手払い腰で投げ飛ばすと……『進撃の巨人』の冒頭あたりで、エレンミカサに投げ飛ばされたような感じで、相手柔道場の壁にぶつかって倒れた。

 私も彼女乱取りしたけど、一度だけ綺麗に背負いで投げられた。柔道が強い子は、基礎的な体力からして違う。あの男の子とも乱取りしたけど、体幹が物凄くて投げれる気がしなかった。どれだけ足を引っかけても動かせる気がしない。

 ただ、彼はボヤっとした柔道をする子だった。動きが明らかに鈍い。子どもにはあることだけど、スポーツやってるからには相手に勝つ!! という自覚が明らかにない……そういう子は、やっぱりボテボテとした柔道になりがちだ。

 

 結局、3,4日だったかな。その男の子がいたのは。合宿の最終日より前にいなくなった。市外の中学からの参加で、学校から距離があるので、予めそういう日程だったんだと思う。私もそうである

 夕方だった。私が工業高校から家に帰ろうとしてると、あの"女の子"が入口の柱のところでまごまごしていた。すぐ近くには、あの小太りの中学生男子がいる。引率の先生と話している様子だった。

 女の子は、彼のことをチラッと見ることがあった。視線真下にある畳に行ったり、彼の方に行ったり、安定してない。やがて、中学生男子が話を終えると、なんと……なんと……!!

 彼は女の子の方を向いて、一瞬立ち止まった。私は耳をそばだてていた。あまり内容は覚えてないけど、再現してみる。

「あ、これは、これは~~さんじゃないですか。お疲れ様です」

「お疲れさま」

「疲れんかった? 今日で終わりでよかったね。いい修行になった」

「うち、今日で終わりじゃない。まだあと2日あるんよ」

「まだあと2日も? しんどいやん。なあなあ自分銀河学院だっけ?」

「うん」

「俺、学校遠くにあるから尾道学校

「知っとるよ」

「ぜんぶ参加したかったな~」

しょうがないよ」

(ごめん……この間は覚えてない)

「なあなあ。もう会えんよ多分。うちら

「そうかな?」

「そ~よ~」

「残念かも」

あんた、家までどうやって帰るん? 先生の車?」

「いや。駅まで歩く。あとは電車

「うちも歩く!! 一緒に帰ろ」

 眩しいな~と思って眺めていた。かくいう私は、恋愛経験が少ない女子だった。

 あのふたりは、本当に一緒に帰っていた。私は親が工業高校まで迎えに来てくれる約束だった。校門付近まで行くと、あのふたりが一緒に並んで歩いていた。女の子の方は自転車で、男の子は徒歩だった。

 いや、懐かしい。ほんとに懐かしいなぁ。それでいて眩しかった……



【3組目】任天堂公式ショップにて

 去年の冬だった。タワレコの近くに任天堂公式ショップがある。仕事帰りに立ち寄ることがあって、昔懐かしいマリオカービィぬいぐるみを眺めていた。職場はこの近くだけど、存在を知りつつ入ったことはなかった。そういうお店ってあるよね。鶏白湯ラーメン専門店とか。

 お洒落ショップだった。店内レイアウト無駄がないというか、導線を綺麗に描けている。右回りの人でも左回りの人でも、混雑しないようになっている。こういうのは気になる。

 店内をウロウロしてると、私が知らないゲームのグッズ売り場に行きついた。私の隣には女性がいた。40才くらいかなと思ったけど……見た目がすごく若かった。20代後半に見える。

 私は同性なので、顔のしわの感じでわかった。男性でも見抜ける人はいるのかな? いいや、私でなきゃ見逃しちゃうねと思ったところで、その女性キーホルダーを手に取った。

 キャラ名は知らないけど、イカみたいなキャラクターだった。イカ琥珀色の球形に入っていた。高級なカブトムシクワガタ琥珀色の何かに漬かってるのを見たことがある。あんな風だった。

 その女性イカを手に取って眺めると、顔がぱあっと明るくなった。気に入ったのだろう。ずっとイカをまじまじと眺めていた。すると。

 

「それ、いいですよね」

 向こう側にいた若人男性が、彼女に声をかけた。純朴そうな見た目の青年だった。私の勘(年齢センサー)だとおそらく20代後半である

 その子は、一瞬こわばった感じだったけど。

「えー。そうですよね、可愛いですよねぇ」

と返事をしていた。

 それから、とりとめのない会話が始まった。イカが出てくるゲームの話をしていたはず。私はしばらくカゴの中のキーホルダーを手に取りつつ、ふたりの話を聞いていた。

 やがて、もういいかなと思って、その場を離れてレジに向かった。私が買ったのは、手のひらサイズ1UPキノコだった。高校生の時、幕末志士の動画ファンだった頃を思い出して懐かしくなった。

 その次の週も任天堂ショップが気になった。本当になんとなくだった。まだ見れてないものがある気がして。

 ところで、あのイカが出てくるゲームスプラトゥーンだった。名前は聞いたことがあった。中味はほとんど知らない。

 私のはてなブログ歴は約7年だけど、あのイカサムネイル画像しかたことがない。有名タイトルのはずなのに……そういうコンテンツってあるよね。野獣先輩とか。

 それで、任天堂ショップに入ろうとした時に見てしまった。レジ付近を見ると、あの男女がいた。一緒に買い物をしたようだった。ショップの袋を抱えている。

 なんか、ぎこちない感じだった。両方とも会話の雰囲気がぎこちない。声は聞こえないけど、雰囲気オーラで伝わってくる。ふたり入口付近に立って、何かをずっと話していた。緊張してるように見えた。

 私はそれから店内をグルグルと廻って、スプラトゥーンのコーナーを一通りチェックして、ゲーム体験してる人達を後ろから眺めて、あとはどうしたっけ……ゼルダの伝説ピンバッジ? が恰好よかったのと、あとはどぶ森のコーナーを新発見して、子ども時代の思い出に耽った。

 今年の春だった。再び、任天堂公式ショップ(※正式名称Nintendo TOKYOです)に行ってみたのは。この時を最後に行ってない。お店に入る前の歩道で、あのふたりが一緒に歩いてるのを見た。

 ここまでくると、もはや必然だと感じていた。あの時とは違って、リラックスした雰囲気だった。手を繋いで、歩道の端っこの方をゆっくり歩いていた。仲睦まじいという言葉が似合っている。そんなふたりだった。

 水面を一緒に泳いでいるオシドリみたいだった。オシドリは、子どもができると♂の方が♀から離れてまた嫁探しをするらしいけど、そんなことはどうでもいい。ふいに、あの昔のAAを思い出した。

 ※スマホの人には見えないか



 _人人人人人人人人人人人人_

 >   わりとどうでもいい  <

  ̄^^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄

     ヘ(^o^)ヘ 

        |∧   

       /



 あの時の私は、幸せそうなふたりを観れてよかったって思えた。

 全く知らないふたりだけど、自分幸せになったように感じた。



最後に~

今年の八月頃から恋愛結婚関係増田日記がよく投稿されていた。こちらを書き始めたのは11月になってからだ。もうブームは去ってるけど、気になったことを書いてみた。

よければコメント等いただけるとうれしい。ブログの方だとコメントもらえるけど、増田だとブクマコメントをもらえることは少ない。

2024-10-25

anond:20241025111039

あれは怖かった。人がふいに空中から落ちて死ぬ瞬間の顔とか漫画ならではだけどホラー映画かよと。

この回は置いといてアニメはとくに初期

原作の絵が立ってないシーンが多くて残念

2024-10-23

東出昌大が熊のもつ煮食べてる動画見てたら泣けてきた

ネトフリで極悪女王見てから関連動画を漁ってたせいか、Youtbeで東出もサジェストされるようになっていた。

俺は女子プロ関連の動画が見たかっただけなんだがなんで東出が出てくるんだよと。

まあでも暇だったので「熊のモツ煮」というタイトルに惹かれて見てみることにした。

その動画はなんとぜんぶで50分ほどあった。

内容はというと、すでに捌かれた状態の熊の内蔵を東出がぶつ切りにして下茹でとかして煮て食べるだけだ。

場所も、山の中だとは思うが屋根だけある調理場みたいな、雑然と色んなものが転がってるよくわかんないとこだ。

そこに熊の部位とかどう調理するかとかを解説しながら調理する東出と、それを手持ちカメラで撮りながらたまに質問したりする男と、

東出の師匠みたいなおじさんがたまにダジャレを言ってるだけの動画だ。あ、あとかわいい犬がいる。

でもなんだろ、熊のモツってとこも興味深いし、東出の説明もくどくなく、でもそれなりに詳しい感じで、でも思想強めとかそんなんもない、淡々とした感じで続くので見てられる。

まあ手持ちのカメラは一台でもアングル違いの固定カメラとかも使ったり、編集が上手いってのもあるのかもしれない。

心臓はね、刺しでも食べれたりするけど、ただ熊は、人畜共通繊毛虫っていう寄生虫いるから、熊の場合心臓でも僕は生食はしないです」

なんて東出が解説を入れながらひたすら熊の色んなモツを下準備していく。

山の自然環境音とともにハエが飛ぶ音も聞こえる。

東出は一段落ついたら長い足を伸ばしてタバコを吸い始める。

前半は手元ばかり映ってるのであまり気づかなかったんだが、休憩してる時の顔がもうえらい男前だ。こりゃモテるわなと思う。

でもそんな事よりだ。俺は完成したモツ煮を食う東出に、ふいに感動させられてしまったんだ。

熊のモツはぶつ切りにされてるので一個一個がやけにでかい。東出はそれをガンガン口の中に放り込んでいく。

心臓も、肺も、膵臓も、腎臓も、胃も、とにかくポンポン口に放り込んでもぐもぐしてまた放り込む。

後半は炊いた玄米かなんかにモツ煮を乗せて丼にする。今すぐ例のお茶漬けCMに東出を使えと言いたくなるほどの見事ながっつきっぷりでかっこんでいく。

言葉はあまり多くないんだが「うまい、これはうまい」と発する言葉より食いっぷりと表情だけで、ああこいうほんとに美味いんだな、ただただそれだけ感じてるんだなというのが伝わってくる。

俺は思った。東出、めっちゃ生きてるな・・・と。

杏みたいな素敵な人と結婚して、そんな人を裏切って別のきれいな女優不倫して、結局それも別れて、山とか行ってなんか自然と暮らすみたいなことしだして、

そういうの全部、なんかな~カッコ悪いな~って俺は思っていた。

でも熊のモツ煮を食ってる東出を見て、すっごい生きてるな!生き生きとしてるなと思ったのだ。

なんかとにかく東出の生きてる感がすごかったのだ。生物としてのパワーみたいな。

スローライフがどうとか、生き物を頂くこととか、なんかそういう精神的なあれこれがあるのかもしれないけどそれは俺にはよくわからない。

でもまーー食べてる姿が良いんだ。これは本能的なものなのかもしれない。まあこりゃモテるわとまた思った。

俺は思わず自問自答してしまった。

「俺は東出みたいに、あんなふうに一心不乱にメシを食えているか?」

応えはNOだ。俺は生きてるな~って感覚が薄いままの生活がずいぶん長い。

せいぜいめっちゃしかった一日の終わりにキンキンに冷えたビールででたまにうっひゃ~~ってなるくらいだ。

もちろんそれだって悪くはない。だけどそんな充実感を感じる日なんてもうめったにない。

東出は恐ろしい男かもしれない。本人は天然なとこありそうだが熊のモツ煮食うだけで俺みたなおっさんにもモテしまった。

いやむしろ俺がおっさんからモテているという面もあるか。俺はもうあんなふうに肉を食えない。

そうだな、これら全てを一言でまとめれば「うらやましい」になるんだろうか。

東出は他人にとやかく言われることはもうどうでもいい境地なんだろうなと思う。でなければあんなに真っ直ぐにメシを食えないと思う。

もうちょっと申し訳なさそうに食べちゃったりすると思う。それか「生き物をいただく心、それなんです・・」とか神妙な顔で言うとか。

そんなんもなく、ただ無心に貪り食っていた。俺は感動した。

2024-10-19

ネットミーム使用料

法的に「このミームを使ったら作った元、ミームになってしまった・おもちゃになってしまった人物へ何円与える」ということが果たしてできるかはさておく(それは別のエントリでやってくれるだろう)

ここでは1回使用につき何円が決まった時、次のネットミームとなったものはとんでもないことになるだろう

  • がんばった報い

OL進化論の売上の数十倍の額が秋月りすの手に渡る

こうした漫画のもの販売した漫画作品の売上よりも絶対に上回ることが多い(これはゲームアニメにも通じる)

Youtuber活動及び芸人活動のペイの数倍もの額がぐんぴぃだけに渡る、ただし彼の場合映画もあるのでそれらをトータルすると8倍以内に収まる可能性はある

既に死亡しているネットおもちゃについては誰に渡るのかの法的な話も別エントリで話されるだろうが、少なくとも人生で失った額の倍以上の額は得られる可能性は高い

  • こうしんきょう関連

これまでふいにした人生で失った額の数倍程度がおつりに戻ってくる(がんきょうの2名含む)

後述するいんむとも関係するので、下手すると数百倍や千倍以上戻ってくるかもしれないのは、何とも言えない皮肉でもある

  • いんむ関連

少なくとも出演した人物は本職や失った額の数百倍の額はくだらないと思われる

下手すると小さな国の予算レベルの額が出てくるかもしれないため、国を買うとかも可能な額が算出されるかもしれない

2024-10-06

母親との会話でお互いにびっくりした話

母親子どもと遊ぶために遠方から来てくれたとき世間話でびっくりしたメモ

私の夫は住職で、寺嫁になることを了承したうえで結婚したんだけど、周囲から結構びっくりされている。

なんでかって、私はいわゆる無宗教の家で、一般的サラリーマン家庭の娘だったから。

ふいに母親から

私たち(両親)が宗教熱心じゃなかったの、良かったね。もし創◯学会とか結婚も難しかったわよ。反対するかもしれないし」(←例に出してごめんなさい。創◯学会の人たち。熱心な知り合いの姿勢尊敬してます。)

と言われたので、

「え、反対されたら絶縁するけど?」

とびっくりしながら即答した。

「絶縁するの?」

親も、すごいびっくりしてた。

「そりゃそうだよ。万一、親が宗教熱心であれば私も2世である可能性が高くなって、その場合は、そもそも結婚には至らないけど。親が反対するなら絶縁するか、境界線を引いてお付き合いするよ」

「そう……」

会話はそこで終了した。

親は、親の同意があってこそ結婚できたと思っていたらしい。

今の世代なんて、反対されても気にしないよ。親の同意がない上で、結婚するだけだっての。

世代ギャップなんだろうけど、親っていつまでも子に対して決定権があると思っているんだね。

私たち夫婦でいられるのは、親のおかげだとおもってたんだ。びっくりしました。

2024-09-24

ブロックした相手ポストを読まれることは平気なんだけどなー

自分の知らないところで陰口言われても別に平気。

ブロックした相手ポストふいにタイムラインに流れたり、通知されるのは嫌だ。

結局のところミュー機能で十分なのかもしれない。

2024-09-15

anond:20221222113914

元増田です。

こちらのお返事で、少し背中を押してもらいまして。

あれよあれよと妊娠出産、さいきん子が1歳になりまして、ふと、はてなのことを思い出しました。

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子どもへの羨ましさもあるし、生活の中でふいにしかった過去を思い出して悔しくなることもあるし、無意識に実母のような言動子どもへしてしま気持ち悪くなることもあります。そんなことばかりかもしれません。

-

とはいえ大変可愛く、子どもラブ!!!!!!!にはなったな…そういえばあの時いただいたお返事にも書いてたな………なんて思ったのが昨日です。

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まれた瞬間は「人間だ」と思ったくらいだし、表情がない頃は「宇宙人かな」、少し笑うようになってからは「人間だった」、追いかけられるようになって「あ、これは可愛いのかもしれない」とジワジワ感情が芽生えてきました。

これがオキシトシンなのか、よく分からない。

-

育児仕事家事社会人学生兼業?してる夫のサポートなど、あまりに目まぐるしい日々のおかげで気づけば1年過ぎてました。

きっとこの先も目まぐるしく生きて、そのうち死ぬのでしょう。

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なんだか、私が幼い頃に憧れた「普通家族幸せ」の中にいるようでむず痒いです。このむず痒さが幸せという感情なんですかね。

2024-09-11

たしなめられる、みたいな経験

インターネッツの話。

いろんなサービスが金を絞るため、依存性が高すぎる状態だし、娯楽に関しては全体的に、分別にある大人向け、だと思う。

ただ、いろんなことがインターネットを通じてできるようになり、子供ツールとして使う練習をするようになり、何もかもが、大きな過渡期とおもう。

むかしは詳しい大人向けの世界で、ふいに子供が混じってきたら、たしなめられたりしながら、お作法を覚えるみたいな感じだった部分もあるんだろうけど、いまはあんまりそういうのもないように感じるし、1発アウトな感じで事故る、みたいなのが多すぎる。

まともな感性を持ってたら、そういうのも起きないんだろうけど、まともな感性も、結構上澄みしか持ってなさそうだし、(自分も持ってるかどうかわからん)、危なっかしい子供は誰かに止めてもらえるようなブレーキなく事故るか、事故たことないけど敷地内の庭でしか遊べず、経験値が多大に足りないかの2択かもなぁと思う。

厳しい世の中だぜ。

子供用のインターネッツサンドボックスがあればなぁ。

(まぁ、フィルタリングがそれだけど、もっとこう、ローカル範囲しか行けず使えずみたいな練習場があったらいいのにな、みたいなね)

(詳しく書けない分、ぼんやりしててごめんね)

(まぁ色々あって、イタチごっこ状態ゆえに愚痴だよ、やさしくしてほしい)

(うちはできる範囲イタチごっこやってるけど、詳しくなくて、与えるだけの家と、そうでない家を比べて、どっちが危なくねえかみたいな話とか、まぁわかるわけねえよなぁ)

2024-09-07

小学生の頃に遭った痴漢(仮)について

タイトルの通り、小学生時代に遭った痴漢やそれに類することについてと、書き出してみて思ったこと。

1回目 飲食店にて

初めての痴漢(仮)は、小学校低学年の頃だった。

当時の私はピアノを習っていて、発表会に祖母と母が来てくれた。おろしたてのワンピースフリルのついたソックス、少しだけかかとの高いよそゆきの靴、いつもより豪華に結ってもらった髪にはリボンかわいい格好ができて嬉しかったのを覚えている。

発表会は市民ホールを貸しきって、昼すぎまでかかっていたと思う。早起きしたぶんお腹はペコペコで、遅めの昼食は近くて回転率がよくすぐに食べられるお蕎麦屋さんを選んだ。

昼すぎでも土日だったからか、お客さんが並んでいた。回転率のよさは知っているので、並ぶのは苦にならない。眠気も出てきていささかぼんやりしつつ、だらだらと前に並ぶ人へ続く。

すると突然、ぐいっと左手を掴まれた。反射的にそちらを見上げると、知らないおじさんが私の手をとり握手するみたいにぎゅむぎゅむ握っている。とても、とても驚いた。けれど声は出なかったし、ぴくりとも動けなかった。知らないおじさんは「可愛かったからつい」と言って、手を離して店を出て行った。

母たちは「びっくりしたねぇ」などと何だか和やかに言っていたが、私はほんとうに驚いて、つまりショックで、その後どうしたか覚えていない。もちろんかなり古い記憶なので、単純に時間経過によって忘れてしまっただけかもしれないけれど。


ほんとうに驚いたとき人間悲鳴も上げられないしすぐに逃げもできないのだな、と何だか絶望に近い気持ちになったことは覚えている。アニメドラマ刑事ドラマが好きでよく観ていた)のようにはできないのだ、と。

かわいい」は褒め言葉のはずなのに、なにも嬉しくなかった。なんとも言えないモヤモヤが澱のように腹の底に溜まった。

プライベートゾーンを触られたわけでもなく、何なら一緒にいた親族問題視したふうでもなく、法的に痴漢には分類されない体験。今でも一般的になんと分類するものか分からないままだ。それでも私の中でだけは、初めて遭った痴漢として記憶している。

2回目 通学路にて

小学校中学年の夏。

私の地元田舎で、徒歩通学だった。当時はとにかく読書が好きで、通学中は図書室で借りた本を読みながら歩くのがほとんどだった。二宮金次郎みたいに。

学校帰り、季節もあってまだまだ明るい中、いつも通り本を読みながら一人でひたすら歩く。毎日毎日そうしているから慣れたものだった。

車が1台ぎりぎり通れるくらいの、田んぼと畑と農家然とした少し古めの民家ばかりの道で、ふいに後ろから声をかけられた。自転車に乗った男子学生だった。中学生か高校生か、とにかく同じ小学生でないことしかからなかった。親や学校先生以外で年上と話す機会もそうなかったし。

喉が乾いたので飲み物を分けてもらえないか、と言われた。夏なので肩に水筒をぶら下げていたのだ。大人なのに変なの、とは思いつつ、水筒のコップ代わりの蓋になみなみ注いで渡した。

水筒お茶を飲むところをぼんやり眺めていたら、コップを持つ男子学生の手がぶるぶる震えていた。おそるおそる口をつける。そのさまを見て、なぜだか急に、明確におかしいと感じた。一気飲みはせず、謎に丁寧にお茶を飲んでから返されたコップ。水筒に戻しながら、どうやって帰ろうか不安になった。自宅までそんなに距離がなかったからだ。なぜかついてこられるのでは、と思った。その間も、ぽつりぽつりと男子学生からの問いかけが続く。いつもこの道を通るの、とか、何年生なの、とか。

今の私は何でそこで律儀にと思うが、その時は走って逃げるとか急に話を切り上げるとかい選択肢がなかった。失礼だと思ったからだ。誰か帰路の小学生でもいれば、知らない子でも混じって帰ったと思う。でも誰もいなかった。人っ子一人。えー…とか、うーんと…とか枕詞みたいに付けたふんわりした回答をしながら、子供なりに頭はフル回転していたはずだ。でも、打開策が思いつかなかった。

少しして、私たちがいた道沿いの民家から住人のおばさんが出てきた。知らない人だったけれど、何してるの、と声をかけてくれた。それを見て、男子学生は何も言わず自転車を走らせて去っていった。その背中が私の帰り道と同じ方向だったのを見届けて、まだ呆然としたままの私は、なんにもないです、とだけ答えた。知らないおばさんが「さっきの子は知り合い?」と言うので、首を振る。ちょっと回り道してから帰りなさいね、と言われた。私もそのつもりだった。

この体験も、お茶をくれと言われて分けただけで何もされていない。痴漢ではない。なので何と呼べばいいかからないけれど、自分の中ではその他の痴漢と同じカテゴリに分類して記憶していると思う。そういう系統の嫌な気持ちだった。

3回目 図書館にて

これも小学校中〜高学年頃。

私の両親は離婚しており、母に引き取られていた。夏休みに父のところへ泊まりに行っていたときだった。

例によって本が好きなので、県立図書館へ連れていってもらった。いっちょまえに児童書卒業していたので、見る本棚一般書架。父はAVコーナー(ネットカフェみたいに区切られたブースで各々映像資料が観られる。アダルト資料ではない)にいるというので、一人でゆっくり本棚を眺めていた。作者なんかは知らないから、タイトルや表紙のデザインを中心に何となく気になった本を探す。児童書に比べてかなり数が多いので、背表紙を眺めているだけでも楽しかった。タイトルしか読んでいないのに、いくら読んでも読み終わらなくて。

ふと、足元がぬるい感じがした。見下ろすと人が床に手をついてしゃがみ込んでいた。年齢は分からなかったけれど、男の人であることだけは分かった。

図書館の本棚上下左右ギチギチに本が詰まっている。下の段の本を見るには、学校ミクロマンとイジられていた私の体躯でもしゃがみ込まなければならなかったので、下の方が見たいんだなと思った。図書室で人気の本棚にみんなが密集するのはよくあることだ。と思ったけれど、はぁーーー、と長い息を膝に吐きかけられているのを見て、一気に過去の嫌な気持ちが呼び起こされてしまった。気付いていないふりでじりじりと距離をとり、別の本棚へ移動する。

何だったんだろう、と心臓がばくばく言うのを落ち着かせているうちに、暑いから息が上がっていただけでは?という気になってきた。そう思うと何をビビっていたんだろうと馬鹿らしくなって、また端から背表紙を読んで、読んで、時には取り出して表紙やもくじを眺めて。

じきに、また足元に違和感があった。今度は微妙にぺたぺた?ぬるぬる?する。見下ろすと先ほどの男の人がしゃがみ込んで、私の膝辺りを舐めていた。他人の舌が肌を這うことなどないし、誰か分からないし、理由も分からないし、どうすればいいかからなくて、なのに気付いていることを勘付かれてはいけないと咄嗟に思った。心臓はまたばくばく暴れて、目の前の本を適当に抜き取り「これにしよ」なんてわざとらしく声に出して、父のところへ逃げた。

この時に借りたのは『エリコ』という本だったと思う。いま調べてみると表紙が記憶と違っているけど、女の子モノクロっぽいイラストの表紙だったはず。父の家に戻ってから読んだけれど、分厚い上に当時の私には内容が難しくて、とても難儀した。話が全く分からなくなってから飛ばし飛ばし読んで、なんだか図書館での嫌な気持ちフラッシュバックするような描写を目にして、結局ギブアップした。主人公が高級娼婦らしいので、確かに当時の私には早すぎたし「猥雑と戦慄がからみあう、嗜虐と倒錯近未来バイオサスペンス引用元:BookLive)」はあんなことの後では取り合わせが最悪だった。今までの人生で読み始めたのにギブアップした本はこれと『ドグラ・マグラ』だけなので、すごく印象に残っている。

この体験一般的にも痴漢に入るのではないかと私は思うけれど、そのときの私には分からなかった。知らない人に舐められて驚いたし怖かったのに、誰にも言えなかった。一緒にいたのが母だったら、もしかしたら言えたかもしれない。正直、相手と同じ性別である父には言いづらいと感じた。自宅に戻ってからは、今度は今更だと思って母にも結局は言えなかった。

4回目 通学路にて

4度目は小学校高学年。

さすがに生きているだけでも変な目に遭うことはあるのだと理解していた。それに、そういう場面では声も出ないしパニックになって機敏に動くのは難しいことも。

私は護身術として極真空手に通うようになっていた。ビビって声が出ないし動けないなら、度胸をつければよいと思ったからだ。流派だの何だのはよく分からないままだけれど、男子に混じって毎週通った。練習体育館で行われていて、フローリングの上で拳で腕立て伏せをするのが大嫌いだった。骨が痛すぎるし、未だにフローリングでやることではないと思っている。

それから、通学路も勝手に変えた。2回目のときに使っていたのは車1台でいっぱいの道幅だったが、片側1車線ずつの道だ。さらに少し行くと複数車線の道もあるけれど、遠回りになるのでこちらばかりを通っていた。徒歩通学だしショートカットたかった。車通りはやはり少ない。

この時も学校からの帰り道だった。一人で帰っていて、道路の向かい側に停まった白い車から声をかけられた。運転席の窓を開けて、男性小学校へはどっちに行けばいいかと尋ねてくる。あっちです、と指をさすと、地図で教えてほしいと大きな紙を広げた。道路を挟んだままだと見えないので、道路を渡って運転席の窓から紙を覗きこむ。それは確かに地図だったけれど、地図と腹との隙間から陰茎が見えていた。数センチの隙間から、手で擦って見えたり隠れたりする陰部。

相変わらずショックではあったけれど、またか、という諦観もあったように思う。私はやはり気付いていないふりをした。努めて地図だけを見て、現在地も分からなくて、「地図読めないけどとにかくあっちです。ずーっとまっすぐ道なりで左側にあります。私はそこから来たんだから間違いないです」というふうな回答をした。

習い事があるからとその場を駈け出して、ないと思ったけど一応追ってきていないのを確認して、座り込んだ。心臓は毎度のようにばくばく言っていたけど、走ったから当たり前だなと思った。前よりも怖くなくなったし、毅然と振る舞えた気がするからたぶん空手効果はあった、と思いながら自宅へ帰った。今回もこのことは誰にも言えなかった。

思うこと色々

そういうわけで、私が小学生ときに遭った痴漢やそれに類するものは覚えている限り4回だ。多いのか少ないのかは分からない。

もちろん、中学生でも高校生でも大学でも大人になっても何かしらは遭った。それでも一番覚えているのがこの小学生時代。今やすれた30代だけれど、私も子供の頃はさすがに無垢だったのでショックが大きかったのだと思う。


どう気をつければいいのかというと、正直私は分からない。嫌な言い方だけれどもはや事故みたいなものから。防ぎようがないという意味で。ただただ、こういうことをする人がいなくなってくれればいいのだけど。

一つだけ。もしもこんなことがあったと言われたら、ちゃんと聞いてあげてほしいとは思う。

中学にあがってから路上で知らない人に突然キスされたことがある。グレてイキって気は強く成長した私は、黙り込んでいた小学生時代とは違ってすぐに学校に報告した。とにかく腹立たしかたからだ。分かることはすべて話した。場所とか、相手風貌とか、原チャだったとか。それらは全校放送で流れた。

おそらく親にも連絡が入ったのだと思う。その日の夜、養父(母は再婚した)にリビングへ呼びだされた。本当なのかと聞かれたので、本当だと答えると、場所地図で描けと言われた。不審に思いながら自宅から中学校への道順を描き、ここ、と丸をつけると、嘘だと言われた。こういう場合被害に遭った場所から描き始めるのが心理学的に普通だそうだ。私としては通学中に起きたのだから理にかなって描きやすい順番だったのだけど、そう言われた。心理学なんて分からないので反論もできなかった。原チャの車種はなんだとかも聞かれたけれど、私が知っている中での形や大きさで最も近い名称が「原チャ」だっただけで、詳しくは知らなかった。グレ友達2ケツで乗せてもらったやつくらいにしか認識していなかったから。養父趣味ハーレーがあったので、バイク中途半端に出したのもよくなかったのかもしれない。

そうして私の虚言であったとされ、おそらく学校へも連絡したのだと思う。保健室登校しても、教師がどこかよそよそしかった。あくまで私の感覚なので、実際のところは分からない。

ショックだった。折り合いの悪い養父であっても、もはや養父側の人間で信用していないと自分では思っていた母であっても、なぜだか報告すれば信じてくれると思い込んでいた。

初めて報告したらこうして狼少女にされてしまったので、前述のとおりその後も何度も変な人に遭ったけれど、誰にも話していない。

今でも覚えているので、やはり他の家庭、いわゆる子供(年齢は問わない)をもつ家庭では子供を信じてあげてほしいと思う。様々な要因で恒常的に嘘をつく子供がいたりするらしいのは知っているけれど、嘘でなかった場合に取り返しがつかないからだ。私のようになってしまう。独身の私が言うのもおかしいけど、子供は健やかにつべきだ。大人になったら嫌でもすれてしまうのに。

この文章は、職場男性から小学生にあがった娘の親バカノロケを聞かされてぶわっと思い出したまま書き殴った。

電車通学が珍しい地方小学生だった私でも、4回。0回の方がいいに決まっているので、こんなことがどこでもありうるから気をつけてあげてほしい、と言おうと思ったけれど、職場の人に実体験を話すのは憚られたので。初めて表に出して少しすっきりしたかもしれない。

2024-09-03

祖母の好きなひと

わたしの母は実家が大好きな人で、子供の頃はよく泊まりに生かされたものだった。

母の生家(わたしから見た祖父母の家)は川の堤防沿いにあった。

そこは中々の田舎で、家にたどり着くまでの10m程の細道には雑草や低木が我が物顔で生い茂っていていたし、そこを歩く度に一枚の羽しかない黒胡麻の様な虫が何匹も脛にくっ付いた。

玄関を開けるとすぐ鏡張りの棚があって、そこには昔懐かしい黒電話どんと置かれていて時々けたたましく鳴り響くのが怖くて堪らなかった。

そして夜は最悪で、日本昔ばなしに出てきそうな古ぼけた畳の部屋に寝かされて、それだけでも嫌なのに遠くないところを新幹線が走るから中々寝付けなかった。

良いところなんて焼き魚を焼くと匂いに釣られた野良猫がにゃあにゃあ鳴きながら勝手口に集まってくるところぐらいだった。

わたしはそんな母の実家に泊まるのが嫌で嫌で泊まるのをよく嫌がったが、わたしが嫌がることを母は許さなかった。

「私はあの家で幸せに育ったんだから!」

「あの家には思い出がいっぱいあるんだから!」

これが母の口癖だった。

なんだか母はわたし実家より自分実家の方がずっと好きなようだった。

というより、父と母はお見合い結婚だったらしく仲も良くなかったから、ただこの家が全然きじゃないだけかもしれないとも思った。

わたし高校生の頃、祖父祖母が同時にボケた。

すぐに徘徊暴言が始まり祖母はいつも「家に帰りたい!」と泣きながら電話をかけてきて、祖父おむつを履かせてもゴワゴワすると言って勝手に脱いでは糞尿を部屋中に撒き散らした。

母は仕事をしながら、自宅から母の実家(祖父母宅)に通って二人の世話をした。

そのうち精神的に限界が来てわたし愚痴る様になったが、それでも母は二人のことを決して否定せず、相変わらず好きでいるようだった。

わたしは心が冷たい人間なので、母が同じようになっても愛せないだろうなあ、なんて思いながら愚痴を聞き流していた。

その後母は二人を施設に入れ、それからまもなく祖父が亡くなった。

葬儀には祖母も訪れ、自分名前も分からないぐらい全てを忘れてしまっていたはずだった祖母祖父遺体を覗き込んで「お父さん、今までありがとうね、すぐにそっちに行くからね」とボロボロ涙を流した。そんな祖母を見て母もボロボロ泣いた。碌に介護に関わらなかった母の兄はヘラヘラ笑って泣きすぎだ、と母を揶揄いながら、トイレに行くと言って廊下で静かに泣いていた。

それからまもなくして祖母が亡くなった。母は祖母火葬される瞬間獣の様に大声を上げて泣き叫んだ。施設なんかに入れてごめんね、家に帰りたがってたのにごめんね、と謝りながら泣いた。いつまでも泣いた。

そして祖母が骨になった頃ようやく泣き止んで、しゃくりあげ鼻水を垂らしながら骨を箸でつまんで骨壷に入れた。そして兄弟の中で一人だけ全く泣く素振りを見せないわたしを恨めしげに睨んで「やらんでいい」とわたしから箸を奪い、業者に止められるまで箸で骨を摘み上げ続けた。

それからすぐに母の実家リフォームすることが決まり、余分な物を処分することになった。何故か他の兄弟でなくわたしが付き合わされ、わたし実家味噌汁匂いがこびりついたお椀や傘や服など、売ってもお金にならなそうなものを集める係をさせられた。

何年かぶりにくる祖父母宅は記憶より随分と暗く静まり返っていて、ナフタリンと線香の匂いがする部屋の中、窓の向こうには昔と変わらず新幹線が轟音と共に走り去るのが見えた。

わたし新幹線が走り去るのを見送ってから祖母の古いドレッサーの整理に取り掛かった。

もうとっくに使用期限の切れていそうな化粧水やら髪の毛だらけの木の櫛やらをどんどんゴミ袋に入れていると、ドレッサーの鏡の部分がパカッと開いて収納スペースになっているのを見つけた。

そしてそこには古びた青いお菓子の缶があって、中を開けると手紙が数枚入っていた。

【⚪︎⚪︎トヨコ様】

トヨコ(仮名)は祖母名前だった。ひっくり返してみると愛媛の住所と知らない男の人の名前が書いてあった。

中を見たら、達筆すぎて読みにくかったけど、その男の人から祖母へのラブレターだとすぐに察した。

【たとえ引き裂かれようと、ボク達の愛は永遠です。貴方が誰と結婚させられようと、一生貴方を想います

数枚文の手紙の内容を纏めると、ざっくりこんな感じの内容が書かれていた。わたしはそれをゴミ袋にしまってやるべきか、それとも一応母に見せておくべきか迷って、結果後者を選んだ。

「ねえお母さん、おばあちゃんのドレッサー見たらラブレター隠してあったんだけど笑」

こんな感じで冗談混じりに見せると、母はパッと手紙を見てすぐに奪い取った。そして無言でクロックスを履くと外に出て、ポケットから取り出したマッチを擦って躊躇いなく手紙に火をつけた。

手紙燃えて黒い灰に変わっていく間、母は手紙の上部を人差し指と親指だけでつまむ様にして持って、燃え尽きる直前にパッと手を離した。

それを繰り返し、数枚あった手紙はあっという間に燃えて無くなった。

その間わたしは無言で母の丸まった背中を見つめていただけだったけれど、結局母はわたしに何も言わずに家に入っていってしまった。わたしも何も言わずに家に入った。玄関に入った途端気配を感じて振り返るとそこには未だ黒電話があって、黄ばんだ丸いダイアルがじっとこっちを見てる気がした。

いくら大人になってもわたしはやっぱりその電話が怖くて嫌いで、今まで散々怖がらされた仕返しとばかりに母に無断で捨てるもの用の袋に突っ込んだ。黒電話は半透明の白いゴミ袋に収納されてもなお黒い塊をここにあるぞと見せつけてきた。これだから嫌いなんだ、と思った。

その後あらかた片付け終え、帰ることになったわたしと母は玄関の外に出ていた。母は最後に一度振り返って、家の中に向かって手を合わせた。

「ごめんね、お母さん。愛媛に帰してあげれんかったのに」

母がそう小さな声で呟くのが聞こえた。愛媛祖母故郷だった。

帰りの車の中で母は無言だった。わたしも無言だった。母は遠くを見つめたままずっと何かを考えているようだった。

家まであと数kmのところまで来た時、踏切に捕まって車が停止した。カンカン遮断器煩い警報を聴いていると、母がふいに口を開いた。

「おばあちゃんねえ、好きな人がいたんだって

わたしは黙ったまま母の方を向いた。母は前を真っ直ぐ見つめて言った。

「でも親に無理矢理お見合いさせられて、それでおじいちゃん結婚したんだって

「へえ」

「でもね、きっと幸せだったんだよ、お母さん」

「うん」

「お父さん優しかったし、お母さんは愛されてたから」

「そうだね」

わたしはそれだけ相槌を打った。それしか言えなかった。遮断機が上がるとさっきより沈黙が耳に痛かった。

その後家に帰ってから、母がこの話題を出すことは二度となかった。

数年経って、母が父と離婚し、リフォームした母の実家に住んでいると兄弟から聞いた。わたしはもう母と縁を切ったので知らなかった。

私はもうリフォームしたあの家に訪れることも、あの日のことをもう一度聞くことも二度とないのだろうが、母の好きなひとたちはきっとそこにしかいないんだろうな、と思った。

2024-09-02

anond:20240902184803

分かってないな

ふいに知識経験が組み合わさった瞬間の浮遊感を

読書をして頭をすっとまとめられそのうえで先回りされた著者、彼ら彼女らに一矢報いようとしてうなった末のひらめきを

2024-08-19

お前はマジで何度失敗すれば学ぶんだよ

お前=増田ね。

自戒です。

+++++

増田の親父が言っていた。

ウチはギャンブルが上手い家系ではない。

その通りだなって、財布の中のお金が消えていく度に実感するよ。

バカ勝ちすることはある。

つってもパチンコスロットなんでせいぜい10前後の勝ち。

その10前後は何日か財布の中に滞在して、

1日で綺麗に無くなる。

目の疲れと、腰の痛みと、虚無感とを引き換えに。

ギャンブルが上手くない。

上手い人はきっと、勝った金を上手に使う。

次のギャンブル資金とか、モノやサービスに換えるとか。

私は綺麗につぎ込んでカラにする。

故に次のギャンブルでは新たに資金を捻出する必要がある。

勝ちゃーいいが、だいたい負ける。負のループ

こんなことをもう何十年も繰り返している。

去年、一昨年はいっさいパチスロしなかった。

それはギャンブル舞台パチスロから株に移行しただけで、

株はマイナス300万くらいになって塩漬けしている。

株のマイナスが300万もあると、一日パチスロして3万~5万負けた程度ではなんのダメージもない。

故に緩んだ勝負になる。勝ったとき辞められず、ずるずる負けが込む。

株はギャンブルじゃないけどさ、私の投資の仕方はギャンブルなの。

いい加減に目を覚ませ。

ギャンブルより楽しいことなんてクソ程あるだろう。

小銭を貯めては虚無と交換すんなよ。

お前は小銭を捨てに行くために休日確保してんのか?

遊んでほしい娘をいなして、虚無を得てんのか?

死ぬんだぞ、人間から

不可逆の時間を空費すんの趣味なのか?

学べよ。

覚えろよ。

思い出せよ。

どうやってその小銭をかき集めたんだ?

散々苦労して得た金じゃねーのか?

手元に金が無くて、何度チャンスをふいにした?

もうたくさんだよ。

明日以降の俺、期待してるからな。

裏切るなよ。

もう一度いう、もうたくさんだからな。

2024-07-31

美味しいもの食べたいけど何食べて良いかからない問題

日頃はコンビニ牛丼屋やファストフードファミレススーパーのお惣菜などで過ごしてます

特に問題は無いんですが、

ふいに美味しいもの食べたい!ってなると何食べて良いのか分かりません。

美味しいもの何を食べたら良いのか教えて下さい。

ちなみに自炊の腕はご飯を炊いたりお味噌汁は作れるぐらいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

2024-07-28

1人の男がロリコンに目覚めた話

 私の大学将棋サークルの友人であるTの話をしよう。

 Tは、東京にある大学から千葉にある自宅まで毎日1時間30分くらいかけて帰っていた。

 時刻は夜10時過ぎで、Tは疲れていた。電車の中で彼はいものように、ぶつぶつと文句を言いながらスマホゲームに勤しんでいる。

 はー、つっかえねー。マジでこのチームくそ

 楽しむためのゲームで苛つきを募らせていたTがふと電車の周りを見渡してみると、すっかり乗客も少なくなっていることに気付き、着実に自宅に近づいていることを確認した。

 そしてTがまた無益な戦いに舞い戻ろうとした、まさにその時だった。

 ぼふ。なんと隣の席から幼女が彼の膝に倒れてきたのだ。

 慌てて視線を向けると、幼女は寝息をたてている。

 よりにもよって、こんなすいてる車内で、というか、母親は何しているんだ。

 Tはその事態に戸惑い慌てて横を向くと、幼女母親と思われる女性は手元のスマホを弄っていて、幼女のことは気にもとめてない。

 ちゃんと面倒見ろよな、母親失格だろ。

 幼女への戸惑いは母親への怒りに変わる。

 しかし、基本的内弁慶なところがあるTは、母親に対して注意することができなかった。

 何より、その時のTは幼女の熱を感じていた。

 もうスマホゲームをする気もしない。

 正確な時間は定かではないが、幼女を膝枕していた時間は、いつもの煩雑電車通学の時間ではなくなっていた。

 するとTの最寄駅を示すアナウンスが聞こえる。幼女はまだ彼の膝の上で寝ている。母親は何も言ってこない。

 そしてTも何も言わなかった。

 ただ幼女と一体化していた。

 結局、自宅の最寄り駅から大分離れた駅で幼女母親は降りて行った。

 母親は降りる瞬間に幼女を起こし、幼女は眠気眼を擦りながら、母親の手を握って歩いて行く。

 Tは一言何か声をかけるでもなく、その姿を目で追っていた。電車のドアが閉まり幼女が見えなくなるまで、ずっと、ずっと。

 もうすっかりTの中の幼女母親に対する怒りなんて消えている。

 Tに残ったのは、自分ロリコンであるという、そんなどうしようもない確信だけだった。

 

 いかがだったであろうか。もしかしたら、あなたもいつの日か、ふいにロリコンに目覚めるかもしれない。そんなメッセージがTの体験談からは読み取れるのではないか

 話はこれでは終わらない。Tはオープンで、社会不適合なタイプロリコン進化した。彼の中にはロリコンに対する罪悪感はなく、我はロリコンであると堂々と公言していた。

 その姿を見て、ある意味まだ捕まってないだけ、彼は頑張っているのかもしれないと思った。Tという男は、要は犯罪者予備軍であった。

 Tは電車に乗ると幼女を探し、学校の近くを歩けば幼女を探し、公園を見たら幼女を探す男だ。

 そんな彼が塾講師バイトをしていたのだ。事件が起きなかっただけ幸運状態であった。その証拠に、「小学生女の子距離が近いから懐かれると擦り寄ってくる」と嬉々として話していた彼の笑顔は、単純に気持ち悪かった。普通バイト代が出なくてブラックバイト文句を言う筈の居残り指導も、彼にとってはむしろご褒美のようだった。

 そんなTに大事件が起きる。なんと塾の小学生女の子から告白されたのだ。

 Tは大層悩んだ。教育者として。大人として。男として。そして1人の人間として。

 悩み抜いた末にTは、その告白を断るという決断を下す。なけなしの常識がTを踏みとどまらせた。1人の幼気な女の子ロリコンの魔の手から守られた瞬間でもあった。

 ここで終わったら凄くかっこよかったのだが、Tは告白を断ったのをひどく後悔していた。何ヶ月もその恋を引きずっていた。どうやら告白された女の子は、可愛い子で、付き合いたかったらしい。まあ社会が許さないのだが。

「どうせその子中学に上がり一旦塾辞めるんだから、俺も辞めてその子と付き合えば良かった」

 ある日の部室で机に肘をつきながらTがそう言った。誰も見ていなかったら悔し涙を流し始めるんじゃないかと思うほど、その日のTは打ちのめされていた。ロリコンガチ失恋なんて、誰も対処の仕方がわからない部室の空気は、異様に重たかった。

 その姿を見た私は、Tにとってロリコンというのは、無理矢理背負わされた重荷なんだと思った。

 果たしてTが幼女を求めてしまうのは、彼の自由意志か。それとも周りの環境のせいか。それとも親の教育責任か。

 否、それは性癖である

 学術的な根拠は分からないが、性癖とはきっと先天的ものだと思う。

 最近「親ガチャ」なる言葉流行ったが、これではまるで「性癖ガチャ」ではないか

 そのガチャの中でもロリコンは外れであることは疑いようがない。ロリコン世知辛い世の中をTは生き抜いていかねばならない。それは道なき道を行く覚悟必要で、もし自分性癖に身を預け、ロリコン道を突き進んだら最後、Tを待ち受けるのは社会的な抹殺だろう。

 もし、あの電車に乗らなかったら。隣の車両に乗っていたら。隣の席に座っていたら。

彼は違う道を進んでいたかもしれない。

 

2024-07-27

二階の窓からマーキングをするのが好き

関西に住んでいる。

先日、通勤途中に漏らした~みたいな人の増田日記を見ることがあった。

それで俺も、漏らしたのとはちょっと違うけど、日記を書いてみようと思った。

人生最初にそれをやったのはいつだったか小学生の頃だったかな。5年生だった。

2階にある部屋で寝起きしていたのだが、ふいに、ここ(自室の窓)からシッコをするとどうなるのか気になった。

それで、試しにやってみたのだが……これがまた不思議な情感で、気に入った。それで、それから毎週のようにオシッコをやっていたのだが、ある時1階にいた母親に見つかり、200発くらいぶん殴られた。

原因は、樹木の葉である。それなりの樹木が庭に生えていたのだが、俺のオシッコがそれにかかってしまい、葉っぱから音が駄々洩れだった。それでバレた。

それからは一切しなくなった。中学に上がっても、高校に上がってもそうだ。もう懲りたのだ。いや、厳密に言うと、それでもたまにしていた。が、見つかる確率理論上0%の時に限られた。

しかし……大学生になってからというもの、急に何かに目覚めてしまった。あの目覚めは確か、下宿暮らしを始めた頃である

京都まれ京都育ちだったにもかかわらず、自分大学に入るにあたり、一人暮らし希望した。父母からは反対されたが、「奨学金を上乗せして借りる」という条件でOKになった。

下宿は、同志社大学(今出川キャンパス)の近くだった。

京都御所よりも御池通りの側にあるアパートだった。一応RC造りではあったが、だいぶボロボロだった。あの辺りって、お洒落ワンルームマンションが多いけど、ここはくたびれたアパートだった。学生向けなのもある。

そんなに個人情報出して大丈夫? って気にしてくれる優しい方もいるとは思うが、大丈夫だ。

俺はもう40半ばである。隠す個人情報なんてないし、第一あれから20年以上は経っている。時効だろう。ナニカがバレたって、別に職場を追われるわけじゃなし。

ある意味アル中カラカラの人(wawawa氏)である。あの人も、俺と同じ同志社大学(工学部)の出身である。※ちなみに俺は文学部

あの人は、俺と違って一流どころのメーカーに勤めてる。ニコ動を繰り返し観た感じ、労働組合に入っているようだ。

いわゆる「無敵の人」の亜種である会社(労働組合も)がしっかりしていて、会社の顔にちょっと泥を塗ったくらいで不利益を受けることはない。俺もある意味では彼の仲間である

その、ワンルームマンションの2階の角に俺の部屋はあった。いわゆる角部屋。学生向けのためか、室内がすごく狭かった。

アルミサッシの窓を開けると、向かい普通の一軒家であるベランダが見えて、物干し竿に洗濯物が干してある。遠くを見ると、京都御所が少し覗いていた。

真下を見ると、ブロック塀でアパート隣家との境界を隔ててあった。境界際には、いろんなものが捨ててあった気がする。

ペースは、隔週くらいだろうか。いろいろあって気分が高揚した日とか、逆にすごく沈んだ日などは、俺はそのアルミサッシのところによいしょっと乗って、オシッコをするのだ。

ブロック塀の境界際には植物が生い茂っていて、葉っぱに液体がかかる音がする。その音がさ、なんとも言えない情感を醸し出している――ジョバババババ、というあの音である増田ユーザーであれば詳しいだろう。

かいの家の人に気付かれないか、または同じ階の住人、下の階の住人に気付かれないか。そこがポイントだった。スリルが物凄かった。

一度、やっている最中に向かいの家のベランダに人が出てきたことがあった。あの時はさすがにビビったよ。あと数秒反応が遅れてたら危なかった。大家さんに通報されてたかもしれない。

かにも、いろんなところで立小便をした。大学構内(今交番があるあたりで十数回)でも、アルバイト先(キッチンとかではもちろんなくて、裏手のゴミ捨て場)でも、教育実習先の中学校の校舎裏でも、京都御所でも、北野天満宮その他十数か所の観光地でも、当時の俺はやってやったよ。弾けていた。

もちろん人が通るところじゃなくて、出入りしないであろう箇所でやってる。人としてのマナーだ。

なぜ、こんなことをするのか。なぜ、自分がある程度慣れ親しんだ場所でオシッコをするのか。当時は理由がわからなかった。本当に。

今ではわかる。なぜ、俺はなぜ、あらゆる場所でオシッコをするのか――支配である。此処というのは、俺がいるべき場所なのだ。俺が何度も来たことのある場所であり、これからも来るであろう場所だ。

そう、俺のテリトリーだ。それを示すための行為だった。実際、オシッコをしている時は、自分の中にそういう感情が湧いていた。自覚をするのは難しかったが。だって、それって犬みたいじゃん。

うーん、オシッコというと子どもっぽいので……以後はマーキングとしよう。



そんなマーキングだけど、「バレたことはあるのか?」と訊かれると、「一度もない」としか言いようがない(小学校の頃の1回を除く)。実際にそうである。ただ、自分からバラしたことはある。

あれは、数年前のこと。近所のすぐ向かいに越してきた人達と険悪になった。

大学卒業して、新卒肉体労働仕事に就いて、実家暮らしを始めた時点から数えると……約20年ほど経っている。

あの家族が越してきたのは、いわゆる分譲地というやつで、位置指定道路っていうのかな? ミニ道路の左右にへーベルハウスみたいな家々が並んでいた。

あの人たちが洛外から越してきた人だったのもあるけど、あまりいい感じではなかった。

自分学校などの公共施設で、営繕とか日常的な施設維持管理をする仕事に就いているのだが――出勤時に毎朝その分譲地の前を通る時、嫌な感じにさせられることがあった。原因は、新居に越してきたとある家族の中の奥さんである

あの頃は、もの珍しい新居を観てたかもしれないけどさ、あからさまに嫌な表情をするのはやめてほしい。まあ、いいよ。それはそれで。ただ、俺の生活邪魔をしてくれなければそれでいい。

でも、そんなことはなかった。

分譲地に引っ越してきた人達は、土曜になると自宅の庭先(といっても駐車場に等しいのだが……)で、BBQを始めるのだ。幅が狭い一車線ちょいの道路を挟んで、肉が焼ける臭い我が家に届く。洗濯だって臭くなる。俺の部屋も当然ながら。

それである日、苦情を伝えに赴いた。向こうは8人くらいいたが、それでも突撃した。相手は、さっきの奥さんである案の定、いろいろ話したけどダメだったよ。それで、仕方なしに警察を呼んだ。

……現場に来たお巡りさんは、初めはダルそうにしていた。ダルダルダルメシアンだった。民事不介入という雰囲気だった。

が、うちの家の歴史が長いからだろうか。町内会役員である父が出てきて話を始めると、BBQをしている家族の連中にお巡りさんが注意してくれた。

しかしbut。それからも、あいつらは土日のどちらかにBBQをしていた。

正直、イラときていた。ああい焼肉的な臭いがどうでもいい人はいるだろうし、普通臭いけど許してあげようって人もいるだろうし、嗅覚が弱い人だと気が付くこともないんだろうなぁ。

俺はそんなことはない。BBQをされると普通不愉快であるめっちゃ臭い。すごく気になる。



土曜日の朝だった。

あの向かいの新居の奥さんが、庭先(駐車場)にいるのを確かめた。この時の俺は二階の自室に居て、直線距離だと20mもなかった。

奥さんと娘さんが一緒に何かをしていた。あのBBQ事件の時は、ヤンキー風の装いだった。なので、普段からそうなのだ勝手に思ってたけど、意外なことに――奥さん普段着は清楚系だった。

今は2階の窓際にいる。あの2人と距離が近い。奥さんは、こちらに気が付きそうな感じがした。いや、もう気が付いているのだろう。

何事もなかったように俺は、2階の窓からマーキングを始めた。

俺の怒りだった。怒りの感情が詰まった黄色い液体が、怒りのオレンジとも言うべきモノが瓦の上を流れていった。存在の耐えられない軽さ、という映画を観たことがある。俺はまさに、あの分譲地の住民からそんな無碍な扱いを受けているのだ。存在自体の価値が軽い。

奥さんの、あの表情は今でも覚えてる。まあ、フツーにドン引きだったよ。逆にドン引きじゃなかったら、どう反応していいかからないけど。

娘さんの手を取って、家の中に入って行った。これでもう、BBQはできなくなるかもしれない。

この時、自分の隠れた一面に気が付いた。これまで大人しいタイプ人間だと思ってたけど、本当はSなのかもしれない。阿部公房の小説に出てくるS・カルマ氏を思い出した。ちょっとだけ。

あの奥さんのひきつった顔を見た時、俺の中に新しい感情が芽生えた。それが起き上がって、自分と一体化していた。あの、あらたしき感覚は、今でも夢に見る。

直後、自室の布団の中でオナニーをした。オカズはあの奥さんだった。新居の居間ソファで、旦那さんが見ている前で、あの奥さんを犯すというシチュエーションだった。

旦那さんだが、俺がすでに何十発もぶん殴っていて、ベッドに縛り付けてある。その間近で、俺はあの奥さんソファの上で犯していた。ありとあらゆる体位を試している最中で、その時は成城石井追記:正常位の変換ミス)だった。それで犯していた。圧倒的な爽快感だった。

旦那さんが罵詈雑言を放っていた。ムカついたから、そのまま殴るなり蹴るなりして、意識を失わせた。快感不快感もなかった。それが自然に思えた。

……あの日の夜、奥さんは、行為の真っ最中に――俺のことを「クソ野郎、クソ野郎っ!!」と涙を流して罵っていた。この女が今は自分のものだと思うと、罪悪感が快楽へと変換された。旦那さんはいなかった。

それから奥さんの中に何度も何度も流し込んだ。無理やりキスしながら舌を入れて、乳房とか、脇の下を舐めずった。

そうこうしてるうちに、だんだん従順になってきた。奥さんに、「真由美。舌を出して」と命令すると、ペットの犬がおそるおそる飼い主にお手をするみたいに、つつましげに舌先を突き出した。

それからそれからはどうしたんだっけ。もう覚えてないけど、やっぱり時間をかけて、奥さんにそういう行為をしたのは覚えている。2時間くらいはしたかな。

最後に、奥さんに挿れている最中に、そのまま小便をしたのだった。究極のマーキングであるあの日行為脳裏に焼き付いている。



今でも、自分の家ではない場所マーキングをする習慣は続いている。社会人になってもそうだ。

ほんとにどこでも、自分経験した営繕とか、修繕とか、剪定とか災害復旧の現場仕事が終わると、其処に小便をしたくなる。すると、自分がまるで其処を支配しているような、そういう感情が流れ込んできて、多幸感がやってくる。

俺はもう、何度もそうやってマーキングをしている。今これを読んでいるあなたは、俺のことを動物みたいだって思っただろう。実際そうだと思う。

ぶっちゃけ人間って動物じゃないか。理性が発達してるってだけで、一皮むけなくても動物である

毎朝、仕事に出る時にあの新居の前を通っていく。自宅の前にあるのだから、通り過ぎる以外の選択肢はないのだが。気まずい時でも、堂々とした調子で通り過ぎてやる。

たまに、奥さんと娘さんが庭先にいて、見られていることがある。俺は視界が広い、わかってる。で、そっちの方を見返すと、視線をサッとどこかに逸らすのだ。おい、今こっちのこと、チラチラ見てただろ?

そんな朝に、前に一度だけ旦那さんと目が合ったことがある。約1年前のことだ。

奥さんと娘さんの近くにいた旦那さんがこっちに近づいて来て、「ウチになんか用ですか?あなた。さっきから……」と、聞いて来たのだ。

「お前、ケンカ売っとんのけ?顔貸してもろうてえーかな。こっちきてくれる?」

と、俺は言って、お互いの額をくっつけようとした。すると、奥さんが間に入って止めてくれた。全力だった。旦那さんが引っ込むと、俺の方に会釈をした。するとまた、肩をすぼめて後ろに下がった。

あの時止めてくれなかったら、学生時代のケンカみたいにリアルファイトで決着を付けていた可能性がある。重ね重ね、真由美さんに感謝したい。

ところで、この日の奥さんの装いは、ヤンキーみたいな感じだった。やっぱり、こっちが普段なのだろうか。この日の夜は、ヤンキー姿の奥さんと性行為をした。

別に、俺を気持ち悪がってもいい。それはあなた自由だ。

ただ、俺はあなたの家庭にBBQをしてほしくない。バーベキューコンロの上で、いろいろなモノが焼ける臭いが漂ってくるのだ。それが不愉快である。本当にそれだけだ。それが叶うなら何も言うことはない。

まあ、本音を言うとさ。近所同士なんだし、仲良くしたいところではある。

しかし、あの分譲地の人たちは、地元お祭りとか、小中学校の校庭でやるサマフェスとか、もっといえば子ども会とか、そういう地元行事に参加してくれない。一世帯たりとも入ろうって気配がない。

これでは仲よくなんてしようがない。チャンスがないんだし。うーん……町内会役員の端くれとして、できればあの人達と仲良くしたいと考えている。



話が逸れたうえに、まとめようがないときている。2階の窓からシッコの話で始まったんだっけか。じゃあ、同じ流れで締めようか。

先々週の日曜日の朝、梅雨時に2階の窓からマーキングをしていた。普段は、誰もいないことを確認してからやってる。

その時の俺はさ、風をさ、浴びてさ、雨がほどよい強さだった。瓦に雨粒がぶつかり散っていた。いい雨音だった。

すぐ右側を見ると、小さい蜘蛛が巣を作っている最中だった。上の瓦に糸を作ってぶら下がっていた。鳥にやられてしま可能性が高いけど、巣作り中の蜘蛛を素直に応援したいと思えた。

視点を変えて、分譲地のあたりを見た。あの家の1階の居間の中が見えた。母娘ふたりで団らんしながらテレビを見ている。プリキュアかもしれない。あのソファの上での、真由美さんとのことが頭をもたげた。

「こういう、なんでもない時間がずっと続くといいな」

と感じたところで、この日記を書くことを思い立った。

あんまり、まとまらなくてすまんな。感想は何でも自由に書いてくれ。じゃあの。

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