はてなキーワード: へぇとは
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作者は過去にレイプ経験があった人だが、実体験作品ではなくあくまでもフィクション
作者のプロフィール
イラストレーター|マンガ家|育児・虐待・モラハラ・依存症・PMDD・自律神経・CPTSD・発達性トラウマ|トラウマ治療中(CBT→BCT)ADHD様症状改善|
長年風俗やってて障害者の相手もしてきたけど、ほぼほぼクソ客だったしそんな甘いもんじゃない。女性障害者は被害者や売る側にさせられるのに男は「買う権利」ですか。へぇー…
こういうの見るたび、女の障害者は性犯罪に遭う危険に常に晒されてるのに、男の障害者はチンシコできない苦しみに悩んで超お気楽でまじ権力勾配クソすぎるなと思って憎悪が深まる。
女性障害者は性被害に遭うことが多いのに福祉に繋がらず苦しむのに、男性障害者になると「人の臓器を買って射精してこそ人間✨」ってなんだこの非対称性は…。
そうか。
なんで医療関係者のときは感染源として扱う他人の汚物を、男の性欲の話になると妊娠や病気の危険も人権も倫理かなぐり捨てて女の体で発散させることが人権だァってなるわけ?
男性患者にも性欲があるのは仕方ないとして、それなら男性看護師増やして男性患者のケアをさせたらいいのでは。なぜ女側が理解してケアすること考えなきゃいけないんだろ。
涙は男の武器。
………訳ないだろ💢
また友人を失うかもしれない。
原因ははっきりしているのだけれど、それの帰責性が自分にあるのか相手側にあるのかが分からず(もちろん自分では自分に責めを負うべきところがないと思っているのだが(あれば治すし))、また、失いそうになっている。まァ帰責性の存否にかかわらず関係の維持は可能だとは思うが、これは後で検討する。
はてな匿名ダイアリーを初めて利用するのは、決してアドバイスや共感を得たいわけではなく、ただ文章に直す作業がしたかっただけなので、この文章に関しては一切の責任を負わないし、二度と思い出すこともない。
筆者は2002年生まれの現役の大学生で、一年、浪人している。関東出身。男。彼女はいない。いたこともない。最近オナホを買って心底がっかりした。冷たかった。東京の山手線の内側の狭い部屋で一人暮らししてる。社会科学系。専攻している分野が世間的にはマニアックなので、人との交流は少なく、一週間で会話することがあるのは先生(教授)と、バイト先の生徒や関係者など、片手で数えられる程度の人数しかいない。それでも、社会性を失いたくない(社会にアクセスするハードルを上げたくない)から身だしなみも整えてはいる。年がら年中オフィスカジュアルみたいなものを着て、いい酒が飲める店にいつでも入れるくらいの格好しか持っていない。もしかしたら自分がおかしい(もしや統合失調症でも発症しているのか!)のかと思い、精神科や家族に相談してみたものの、極めて正常ということらしい。彼らと相談する際によく耳にしたワードとして「時代だから」というのがあり、いささか疑問がありつつも、自分にもそう言い聞かせ、またそうするようにしている。なぜなら、理由は単純な方が良い。だけど、友人と自分は同じ時代を生きているし、同じ時代で育ち、同じ地域で、同じ中高で、同じ部活で過ごしたはずなのに、なぜ?
友人Aの場合
Aとは、本来であれば今年で10年超えの付き合いになる。Aは旧帝に落ちて私立大学に現役で進学した。たまさか、学部は違うけれど同じ大学に所属している。彼女はいない。チー牛という言葉が出始めた頃、漏れなくチー牛を自称していたが、そんなことはなく、月並みかそれ以上だろう。Aは、サークルに所属しており、友人と先輩と後輩がいる。Aが大学に入ってからは、「ちょっと変わった」先輩(男)のお世話をしていることを嬉しそうによく話していた。「ちょっと変わった」先輩の話というのは、おかしな行動や、服薬している薬の名前、就活の動向や、就労後の話など。確かに、「ちょっと変わっ」ていた。
書いていなかったけれど、筆者は大学院に進むので就活はやっていないし、大学院のあとにもその技能を評価してくれる機関があるので、レールは敷かれている(ただしそのレールは「完全に」壊れている!)。Aはそのことをあまり良く思っておらず、酒が回ってくると「お前はいいよな」といった風な言葉をかけてくれる。じゃあお前も俺と同じ孤独を大学の6年間とその後の人生をもって味わえ、とは言わない。分別があるから。
おそらく、Aには特殊な技能はない。英語も普通、スペイン語は自己紹介も忘れ、ゼミでは経済?に関してやっているらしい。人当たりもよく、声もデカいし、健康な、世間の求める「普通」が服を着たような大学生だ。そのため、「普通の就活」が必要だった。ただ、彼はそれをしなかった。
さっきの「ちょっと変わった」先輩の真似をして、大手とベンチャー合わせて10社くらい?しか受けず、結局小売大手に決まったらしい。この文を見ることはないだろうけど、おめでとう。体を壊すなよ。Aから聞いた話では、不動産大手の二次面接?に進んだがあえなくやぶれ、ベンチャーと大手の2つが手札にあった。そのことを聞いたのはAと今度失いそうな友人Bと、共通の友人Cが同席しているときだった。
大手は、CMでもよく流れてる企業。我々の地元だったらみんなが口を揃えて納得する企業だ。業績も悪くはないし、払いもそこそこ。いいじゃないか。
ベンチャーは、SIer派遣会社。「独自のシステム」をもとに「円滑な」派遣を行っているらしい(又聞きなので詳しくはわからない)。報酬は基本給と地域制限付きの家賃補助とボーナス代わりのストックオプションか新株予約権付きのストックオプション。新株予約権!?
悩む理由がわからねぇ~!!!マジで!!ポンジスキームもいいとこだろ!
仮に上場できたとして流通価額の低いゴミ株なんか持ってたってなんの役にも立たねぇし、最終的に株式合併して希釈されるのがオチだ。しかも持株会で買わされるのは目に見えてる。人材派遣会社の株式の価値が上がる要因ってなんなんだ、このAI時代に。
もちろん、Aを引き止めた。大手に行ったほうがいいともそのまま伝えた。が、彼は納得しなかった。彼の言い分は、「社長の人格に惚れた」、「成長する見込みはある」、「自分を認めてくれた」、「頑張りたいと思ってる」など。
今は、頑張れるのかもしれないし、きっとできる。でも1年後は?3年後は?10年後30歳を超えたお前はなんの技能も持たずに転職して別の業界に身を投じたいと「現時点で」考えているのか(そういう趣旨のことを言っていた)?という言葉がでてしまった。言ってしまった。
ああ、言ってしまった。言っちゃだめなのに。本当のことは話しては、いけない。
Aはしばらく考え込み、我々は、楽しい話をし、酒をたくさん飲むことになった。
そのあと電車で各自帰路につき、帰り道が同じAと筆者は散歩がてら話をした。桜の良い季節だった。
そして、AからAの意中の女子と上野に行く計画を聞いた。西洋美術館かなにかに初デートで行くとのことだった。桜の季節の上野の初デート?コロナ解禁のタイミングだったため、混むのは目に見えている。だから、助言をした。
「絶対混むから展示が終わったら速やかに上野を離れろ。飯を上野で食おうと思うな。歩かせたら文句が出る。散歩しながら店を見つけようとするな。地下鉄で移動しろ。バスっていうのも悪くないな」と。さっきも言った。これは、言ってはいけない。言っちゃいけなかったんだ。言い方が悪かったのか?それも、そうだ。とにかく、悪かった。
Aは怒ってしまった。曰く、筆者の「正しい価値観(原文ママ)」を押し付けてくれるな、ということだった。本当に、そうだろうか。
別に、筆者の助言を聞くのはAの義務ではないし、また、それをAが実行に移さなかったところで、筆者は何も思わない。聞き入れられなかったのか、と思うだけで、しかもそれは筆者の自由だ。Aの気にすることではない。さらに言えば、仮に筆者の予想が的中したとしても、それはそれで初デートかくあるべきというやつなのだろうから、それも、味かもしれない。苦みかもしれないが。
Aは筆者に怒りながら言い訳を始め、筆者はそれに真っ向から対応してしまった。いかんせん、二人共酔っていた。Aはそれを認めなかったが(己の適量というやつを知らんのか?)。
そうして小一時間ほど深夜の野外で大声で話し合ったが、トイレに行きたくなった。当たり前だ。春の夜は、寒い。
筆者が「俺、帰るから。もしまた同じことを聞きたくなったら電話してくれ。必ず同じ内容をもう一度言ってやる。何度でも、だ。今日はもう、寒くてトイレの限界だ。」と言ったら、Aは「これは喧嘩別れじゃないんだ!もういい年なんだし!」と漫画で見たような捨て台詞を吐いて帰っていった。
その後、彼からの連絡はない。こちらからも、電話はしない。きっと、恥ずかしいだろうから。風の便りで、行方は知っている。
もう分かっていると思うが、筆者は伝えてしまうのだ。論理的に考えれば当然の帰結や、大人かくあるべき社会人かくあるべきという規範から導かれる「正しい価値観」に基づいてした思考を、伝えてしまうのだ。言い過ぎてしまうというよりも、簡潔に伝えてしまうのだ。言ってはいけないのに。
もちろん、言わずに流すこともできる。今っぽく「へぇ~ そうなんですね~なるほど~いや~わかんないです~笑」みたいに言うのも可能だ。ただ、それは可能だ。友人が痛い目に会おうとしているところに、なぜ、助言してはならないのか。痛みに慣れるのは、あまりよくない。余計なお世話だろうし、たしかに、余計なお世話だ。でも、友人である俺が言わなければ誰が言うんだ?親か?上司か?先輩か?それとも後輩?はたまた八奈見さんみたいなマニック・ピクシー・ドリーム・ガールか?八奈見さんだったら言ってくれる。ケアも、ある。でも、八奈見さんは、現実には、いない。そう、いない。
きっと誰も、言わない。なぜなら、波風が立つから。
彼らからすれば、筆者は「不和を生み出す存在(原文ママ)」らしい。これを居酒屋で言われたときは泣いちゃうかと思った。もう、22の大人なのに。酒が入ってなかったら泣いてたんじゃないかな。それくらいに、悲しい。嘘は、つかない。
多分、彼らからすれば人から何かを言われることそれ自体が、加害性を含むものなのだ。そして筆者は、その意図がないにも関わらず、きっと加害性に溢れている。それは怒られることとか褒められることとかは一切関係ない。自分の世界とそうじゃない世界の区別が全然ついていない。自己免疫性疾患みたいなもので、感受性と言う名のレセプターが過剰に反応しすぎるんだろう。ガラス症みたいな若者で現代は溢れている。そしてそうじゃない奴は、加害性を一見伴わないフェードアウトをされて(実際は加害そのものだ!)、彼らの社会から排除される。確かに、彼らからすれば筆者は脅威で、筆者からしても彼らは異常な世界に住んでいる。関わりはなくても良い。でも、同じ時代を生きているし、同じ時代を生きていた。
「過去に見捨てられたのではなく、過去を見捨てたのだ!」という悪役のセリフがあったような気がするが、筆者は明らかに過去に見捨てられている。過去を捨てはしないが、過去が筆者を排除しており、またそうせざるを得ないのだろう。筆者は過去を懐かしむこともできず、自分の頭の中で改変されたナラティヴを都合のいいように楽しむ不誠実なことを実行する直前のところまで来ている気がする。防衛反応だったとしても、やっちゃだめなことはやってはいけない。でも、やるしかないかもしれない。やってはいけないんだけど、やるしかないかもしれない。許してくれなくてもいい。自分を許す権利は自己にしか存在しないし、また、そうあるべきだから。いや、そうでなくてはならない。俺は俺自身を許す。必ず、必ず
さっきの増田が理解出来ないの極端に生きる力が弱い自覚があった方がいいぞ
あるいは毒親やクラスメイトなどの周囲の人間に自尊心を傷つけられまくって、自己愛がおかしなことになってるから、
褒め称えられる/周囲を見返せる職業で自分はあるべきだとか何者病やってるんだと思うよ
クラウドAIの基盤/勢力図はもう固まってるので、一般的にはどんなエコシステムを築くか、どんな edge AI で勝負するか(どのようにAIを活用していくか)ってフェーズだと思うんだけど、
AIをゼロから作るとかなんかようわからんこと言ってる増田おるものね
虚栄心とかじゃなくて、トリビア見てへぇ~ってやるような純粋な好奇心が動機であるなら、自作OSにチャレンジするぞ!と同様にとても素敵なことだし、
その探求心に水を刺すような輩は放っておけ、探求心/好奇心の赴くままやるが良い!!って思うが、
やっぱり探求心/好奇心ではなくスゲーって言ってもらいたい虚栄心かも・・・って自覚あるなら、
娯楽として楽しんだり活用したり、アプリ開発に軸を置いた方が、スゲーって言ってもらえる可能性高そうだぞって思ってる
成果として形になるので見えるしな
コンクリート自信なくしたニキです。ご指摘を色々いただいたので再度追記します。
特に、https://anond.hatelabo.jp/20250215185611は諸々直接的かつ詳細に指摘いただいたので、当方分かる範囲で諸々調べなおしました(勉強し直しのいい機会となりました。)
当方の記載も誤りや厳密でない記載多数含む思いますので、必要な指摘はぜひしていただくべきかと思います。
とはいえ、全体的にそこまで間違ってなくね!?とも思っているので、必要な追記をすることにしたいと思います。
当方の下記記載についてご指摘いただいたものと理解しています。
こちらですが、ご指摘いただいた通り、英語の"concrete"は形容詞として「具体的な」を含む意味を持っています。また、語源としてラテン語の言語は「ともに成長する(grown together)」、「混合された(compounded)」という意味を持っているようです(アイルランドコンクリート協会)。
他方で、当方記載の趣旨は、前段のアスファルトコンクリートの記載も踏まえて、名詞の"concrete"が通常「セメントコンクリート」を指し、「アスファルトコンクリート」を指さないことを記載することでした。その点では、ケンブリッジディクショナリーでもA.M_NevilleのConcrete_Technology(p.2の"What is concrete?"参照)でも、名詞の"concrete"としてセメントと水、その他を混ぜて作るコンクリート=セメントコンクリートを特に注釈なく記載し、asphalt concreteなどは特段言及がないので、おそらく日本と同じ状況かなと思います。そのため元文はあえて修正しなくていいかと考えています。
ここはすいません、追記前の最初の記事から、提示いただいた(1)-(3)の3点(ただし(3)の2文目以降の鉄筋腐食の話を除く)は記載していたので、何をご指摘いただいたのかよくわかりませんでした。
最初の記事のこの部分では、(元々の本題の補足ですでに長い文章だったこともあり)鉄筋コンクリートのメリットだけを説明するにとどめました。仮に鉄筋腐食の記載がない点でご指摘をいただいていたのであれば、コンクリート工学の試験はこういうとこで減点されるんだな、と長年の疑問が氷解した次第です笑。
この点は機序について認識が足りておらず、とても勉強になりました。鉄筋付近のコンクリートの中性化が進行することが先で、その後に鉄筋が腐食する、という機序と理解しました。一応調べたところ、実際にそのような記載がある論文がありました。(これのp.8とか)
他方で、アルカリ=塩基性で保護がなされているうちは腐食は生じないとしても、別の要因(凍害やアルカリシリカ反応(アルカリ骨材反応))でひび割れが進行し、(コンクリート構造物全体としては中性化が進行しなくとも)ひび割れ付近が中性化することで、局所的な腐食が生じうるため、元の記載のひび割れ→鉄筋腐食→ひび割れの拡大、という順序になることはありうる(ソース:農林水産省 1.コンクリートの主要な劣化と特徴、劣化要因の推定方法の例えば参1-9 や参1-10)ので、100%間違えているわけでもないかな、と考えています。
修正も考えましたが、論文を執筆しているわけでもないし、「ひび割れ補修が重要」程度を伝えるのなら、先に中性化の話をするよりも今の流れのほうが読みやすいので、そのままにすることにしました。より適切な内容はいただいたご指摘やこちらの記事で記載しましたしね。
マンションの補修などを考えている方は、これを機会に一般向けでよいので関係する本を読むと、適切かつ網羅的な知識が得られるのでそちらをお勧めします。(自分の記事ではそんな重大な責任は負えないです笑)。
(追記)あと、別の方に、体積収縮によるひび割れも力学的な現象、とご指摘いただいていました。異論はないですが、これは補足をいただいたものと理解しています。
こちらは、自分も書いた後に読み返していて、ほかの要因もあるし断定しすぎかなぁと思ったのですが、すべての要因を挙げてもきりがないし、ここではアスファルトとコンクリートの固まるまでの時間までの期間の差を強調したかったので、今の記載にしました(自分は材料屋だったので)。せめて「値段もアスファルトのほうが安いなどの理由もあります。」くらいの記載にすべきだったな、と反省しています(が、ここまで指摘いただき自分でもエクスキューズしておいてそんなチンケな修正しても仕方ないので今のままにします)。
とはいえ、こちらのセメント協会の資料(特にp.3)を読むと、「自動車社会の到来で、緊急的な道路整備の必要性が生じるとともに、石油化学工業が発展して大量・安価なアスファルトが生まれたことで、施工・補修が容易で施工費が安いアスファルト舗装のメリットにより、アスファルト舗装時代が到来した」という趣旨の記載があるので、ざっくり現代日本にアスファルト舗装が多い理由を説明するなら、これが一番正解に近いのでは、と思いました。
こちらは自分もへぇーと思って読みました。既存建築物の6割は100年超、というのは驚きでした。
こちらは、自分の「自己充填コンクリート(高流動コンクリート)」の話を補強してくださっているんだと理解しています。
自分がなれなかったコンクリート界のスティーブジョブズに、なってもらえる若者が登場することを切に願っています。
自分の記事がまさかこんなにバズって、いろんな方に読んでいただけるとは思っておらず、いろいろな方のご指摘を含めてとてもうれしかったです。
まさか10年越しに、土日をつぶして、コンクリートの論文や参考資料と格闘する羽目になるとは、何が起こるかわかりませんね。厳密な記載を心がけようとすると、どれだけ調べないといけないのか…研究者の方には本当に頭が下がります。
自分の大学の講義に対する成績は碌なもんではなかったので、その点は修正しません。お察しの通りその後に大学院でコンクリート工学を修めており、その際の研究はどっぷりとはまり込んだので、その時の自分を裏切らないためにも、少々時間をかけて追加で調査をしてみた次第です。
(追記)あと、別の方に、コンクリ-ト・セメントが強アルカリで取り扱いには注意が必要、という点をブコメで補足いただいていました。これはすごく大事な指摘だと思います。セメントは手に付けたままだと手に穴が開くほど強アルカリですし(実際に怪我した方もいるようです)、セメントの粉じんも肺を炒めます。取り扱いにはくれぐれもご注意を・・・。
(追記:予定日直しました。動揺のまま書いたので素で間違った)
妊娠した。生ではやってたが中出しはしていない。40歳。結婚して6年め、不妊治療は行っておらず、子どもを持たない人生なのだろうと思っていた。今後のお金の計画もそのように立てていた。
生理きてないけど、もともと不順気味で過去に何度も二週間程度遅れたことがあった。一か月飛んだことすらあったから、今回もガチで妊娠かもとは正直思っていなかった。
なので昨日お酒も飲んだし、今朝もスタバでコーヒーを飲みました。検査薬やろうと思ったのも、やったら妊娠してないのわかるからほっとするだろうと思って。でもそれは、単にそう思いたがっていたのかな? とも思う。五分五分とまではいかないけど、どこかで妊娠してるかも、の気持ちもあった。だから職場のトイレで陽性反応出たとき、まさか!!!!! という気持ちはなく、「ああ」という感じだった。ただ、「ああ」という気持ちながらも動揺はしていたようで、トイレの個室を三回くらい出たり入ったりはした。
「どうしようどうしよう」の気持ちでいっぱいだったが、わたしが妊娠したという事実がそこにあるだけであって、別にもうどうしようもないなと思ったし、うろたえたところでどうなるわけでもないので目の前の仕事をこなしたり、世間話もふつうにしていた。
その傍らですぐ近くの婦人科を調べ出したんだけど、やっぱりどこか冷静じゃないみたいで、ブラウザを見る目がすべってしかたない。それでも職場から三分くらいの婦人科と、10分くらいの産婦人科を見つけて電話。3分くらいの婦人科は電話は一度かけたらつながらなかったので、10分くらいの産婦人科に電話。当日予約は受けてないと言われたが、夜診もあるとおしえていただく。それでもいいかなと思ったが、3分くらいの婦人科にかけなおすと17:00にあきがあると教えてもらったので、そちらをすぐ予約した。で、会社を少しだけ早退させてもらって受診。待合室ではマスクをして、診察室ではマスクを外せという独特のスタイルだった。
「検査薬で陽性だったんだよね?」と言われた。
「はい」
とこたえると、
「こちらでも念のため尿検査したんだけどね、うん、妊娠ほにゃにゃにゃ」
と言われた。ほにゃにゃにゃ、の部分は、先生がなかなかのおじいちゃんだったこと、パーテーションが存在していたこと、患者の座る椅子が先生の机からけっこう離れていたこともあり、普通にききとれなかった。間違いなく人生で一番肝心なところがききとれていない経験となったが、その後の話の雰囲気で妊娠してることはくみ取れた。ききとれなくてもいいんだ、くみとれればいいんだ。
「ここのところ体にかわったところあった?」ときかれ「11日の祝日から猛烈にだるくて、昨日は眠くて、熱もないのに熱っぽいというか」と説明したところ、看護師さんも医師もにこにこして「うんうん、それね、妊娠してたらぜーんぶふつうのことなの」と言われた。お、おう…。全然普通じゃねぇだろ、妊婦やべえな。
ちなみに婦人科を最後に受診したのはいつ、と言われたので、12月に健康診断をうけており、そのときに頸がんと体がんの検査をやったといったら、初診時にかならず行うという頸がんの検査はパスになった。
で、内診。ストッキング脱いでパンツ脱いで椅子に座って股をひらいた。婦人科の内診の椅子、回転しながら股も同時に開くタイプと、回転しきってから股を開くタイプがあるなという超絶どうでもいいことを思った。今回は後者。
で、内診はじまって5秒もせずに「ウン間違いない。通常妊娠してますね」て言われた。間違いなかった。おめでとうございます、みたいな、急におめでとうムードに包まれたがとうていそんな気持ちになれなかった。40歳やでわしゃ。
エコー映す画面を「見えます?」と言われたが、目隠しのカーテンで見えなかったため素直に「見えません」と答えたら、カーテンがちょっとだけあいて画面が見えるようになった。「やってる?」みたいな。やってるやってる。いややってない。まったくやってない。わからない。なにもわからない。
そして、画面見ながら「赤ちゃんの部屋ができている。ここからここまで2センチ。これがあると妊娠は確実です」と示された。「柿の種くらいの部屋の中に、いくら粒くらいの膜がある。この中に赤ちゃんがいるが、今はまだ見えない」と言われた。柿の種…か…。おつまみだな。赤ちゃんの部屋はかたちも柿の種に似ていた。今思ったら切ったからすみの断面にも似ていた。おつまみだなあ…。同時にわたしは産みたいとか全然思えていないので、できればこういうのを見たくなかったなとおもったが、医者の方では既婚の女がのそのそやってきて「妊娠したかも」言うてるわけだから、そんなセンシティブな感じになってるとは微塵もおもっていないようすだった。そりゃあそうだ。そうだけどさ…。エコーの写真も渡された。
「正直、年齢も年齢なので妊娠は全然想定していなくて」と先生に言うと「不妊治療はしていたの?」ときかれた。「してないです」と答える。中出しもしてないですって言おうと思ったが、中出しの有無は妊娠には関係ない(外出しは避妊にはならない)のはまあ常識なんで、言わなかった。言いたかったけど。
内診が終わって、パンツ履いてストッキング履いて診察室に出て行ったら「予定日は10月8日です」って言われた。爆速。展開がはやい。産みたいとか産みたくないとかの意思確認もなく、突然予定日から入られて動揺した私は「はやっ! はやくないですか!?」と意味不明なことを聞いてしまった。いやでも実際猶予がねぇ…ジャン…!
「あっという間よ」とのことだった。看護師さんもにこにこしていた。
いつ生まれるのかは教えてくれたが、いつできたのかは教えてもらえなかったので「わたしはいつ妊娠したのでしょうか?」ときいたところ「んーとね。最後の生理が12月29日だから……ま、だいたい1月の半ばくらい」と言われる。
「職場は近いんだね?」と言われ(問診表にここを受診した理由を職場最寄りだと書いてたので)「あ、そこの○○ビル…」とありのままにつたえると「ほんほんそりゃいいね」と言われた。いいのか?
前後関係はよくおぼえていないが「ここの生まれ?」 「いえ△△です」 「旦那さんはここの生まれ?」 「はいそうです」 「じゃ旦那さん病院知ってるかもしれないね」などという会話もあった。いやー世の男そんな産婦人科しらんのやないかな。
「しばらくここでみるけど、ここじゃ産めないから、最終的に紹介状書くことになると思います。確かに高齢出産の部類だからね、大きい病院がいい。おうちが××だったら、□□病院がいいんじゃないかな。●●病院も南の方にあるね。▲▲病院まではいいとおもうけど。うん、□□病院が一番いいんじゃないかな」などと言われる。ぜんぜんわからん。
「あの私もう今年41歳で(中だしもしてないし)とてもこころの準備ができてなくて、」というようなことを言っていたためか、「この2・3か月は確かに流産もしやすいです」とも、なんかの話の流れではっきり言われた。
「次はね二週間後でいいんだけど、あなた予期せぬことですごく動揺してるみたいだから、一週間後に来てください」と言われた。
「生む頃41ですわ」というのを無意識に何度もアピっていたのか、医師には「確かに高齢だけど、自慢するほどの高齢じゃない」看護師には「上には上がいるわよ!」と言われた。多分不安をね、やわらげようとしてくれてたんだろう。「まだ若い!」と言われ「若いですかね!?」ときいたら「「若い若い!」と断言された。若いことになった。
「あのわたしほんと妊娠してるとか思いもしなくて、昨日も酒飲んで朝もコーヒー飲んで1月から数えたら4日くらいは飲酒の機会がありました」ってみずからの不行跡を白状しつつ、妊娠とはつゆしらずあまりのだるさにユンケルファンティー飲んだの言うの忘れてたがそこは「でも無事でいるからね」と言われてその話はさっと終わった。刺激物はやめたほうがいい、アルコールももうやめたほうがいいけど、ほかは気にしなくていいと言われる。
「食べたほうがいいものとか気を付けたほうがいいことありますか」
ときいていて、わたしは「ああ、自分はどうやらいまやどっている人らしいものについて、いなくなってくれとかどうにでもなってくれとはとても思いきれないらしい」と感じていた。この気持ちを、まだどう言い表していいかわからない。
「気にせず好きなものおいしいもの食べていいよ。つわりはじまったらこんなものたべたくなんの? っていうくらい嗜好変わったり、食べられなくなったりするから」とも言われた。
急だよ!! 超絶的に急だ!!!!
「来週来てね」 「受付で予約をするんですね」などという会話を経、わたしは「おめでとう」 「おめでとうございます」と診察室を送り出されてしまった…。ようしらんけど、有史でいえばエヴァンゲリオン以来じゃん…?
金を払い、うっかり予約を忘れそうになりながらも来週の予約をして、なか卯で牛あいがけ親子丼食べた。
受診おわってから考えてたんだけど(まあ行く前も考えてたんだけど仕事してたからそっちに集中気味だった)、もうなーこれ年も年だし流産するとか、全然そういうことは想定されると思っていて。
こんな高齢で、はじめての、想定しても望んでもいない妊娠で。自分が母親になれるような人間とはとても思えないし、正社員だけど零細企業でさあ。経済的に大丈夫かなとか。
それから皮膚のアレルギーが遺伝したら気の毒すぎる。生きづらいだろう。私が高齢だから、なんらかの障害をもっていることだって全然考えられるし。
全部不安すぎる。
でもなんでなんだろうな、今、じゃあ積極的に中絶します、というふうな気持ちはどうしてもなれない。
私は母親にならないという人生を積極的に選んだわけでもないと思っていて、単にそれは自然の流れだった。晩婚や、子どもができないことに、ただ抗わなかっただけだった。そういう人にも今は居場所があるでしょう。日々戦争みたいなSNSから距離を置けばなおのことよ、いい時代です。
でも妊娠した。
それでまあ、この後どうなっちゃうのかわかんないけど、いろいろなことがとてもとてもこわいけど、困惑してるんだけど、さっきも言ったけどやりなおせるなら絶対に妊娠しないでいたいんだけど。だけど。いまわたしとともにここにある不可逆的なものについては、わたしの意思で、どうこうすることはどうしてもできないと考えている。
それを産みたいという言葉にできるのなら、わたしは産みたいのだろうというのが今現在の率直な気持ちなんだけど、どうにも頭がぐちゃぐちゃだ。ほんとうにそうなのかもわからない。
まだ誰にも言ってない。
追記:
予想外に読んでいただいておどろいています。たくさんのあたたかいお言葉をありがとうございます。おめでとうというおことばも、わたしの綴ったことを見るにおめでとうとは口にしがたいというニュアンスのおことばも、産んでみなはれというお言葉も、産まないのも選択というお言葉も、すべて骨身にしみてうれしいです。予定日書き間違えて混乱させて申し訳ない。
昨日には書く余裕がなかったのですが、身近なところで、高齢での妊娠で残念ながら…というようなケースがいくつかあり、まっさきにそのことを思い出してもいました。
異様に細かいことを書いているのは昨日おこったことをできるかぎりで忘れたくなかったからかもしれません。この先どうするにしろ、どうなるにしろ、二度と読み返せる気持ちじゃなくなってしまったとしても、年齢的に一生に一度のことだろうから。
医院の予約をとる電話のくだりなんか、心底どうでもいいけど記録しておきたかった。
やはり年齢的にNIPTについては考えざるを得ないと思います。でもNHKの報道番組で、信頼できる機関ばかりではない(結果だけ出してフォローはないことも多い)こととあわせて、陽性反応が出たが覚悟して産んだら障害はなかったというケースを取り上げていて。それを思い出して葛藤しています。命を選別するという行為に直結する可能性が極めて高く、いまはまだ信頼できる医院もなにもわからない状態で。体調に変調がないうちにいろいろとしっかり調べないといけないですね。
これ以上書いていてもとりとめのない不安ばかりが噴出してしまいどうしようもないので、これにとどめておきますが、あたたかいお言葉をありがたく拝読したことをお伝えしたかったので書きました。
「どうした?」
「どっかで人生変えてぇな。お前はさ、人生で大事にしてるモットーっていうか、歴史上の偉人の名言とか忍道とかある?」
「少なくとも忍道はないな。ナルトじゃないし。でも、俺、結構、時代劇に詳しくてさ」
「へぇ。意外だわ」
「んで、特にナポレオンを尊敬してて、その人が言ったとされてる言葉なら好きかな」
「え?そうなの?」
「俺も歴史あんま詳しくないけど、絶対、違うと思うわ。ちなみにどんなこと言ってたの?」
「なんだっけな」
「覚えてねーのかよ!なんなんだコイツ?」
「あ、アレだ。【もっとっと、恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である】」
「おっとっと みたいになってる!お菓子だなそれ。外パリパリ、中スカスカじゃん。それ【最も】じゃない?」
「あぁ、そうか。ごめんごめん。ソイツの言葉を」
「ソイツって言ってるよ。尊敬してるって言った人のことソイツって。ホントに尊敬してんの?」
「し~て~る~よ~♡」
「なんでバカップルみたいなんだよ。俺もそれは聞いたことあるよ。有能なナポレオンは有能な敵を相手にしても、有能な相手は何を考えているか先が読めるんでしょ?でも、無能が味方にいたら、何をしでかすか分からないし、味方に問題ばかり起こすから無能な味方の方が怖いってことでしょ?」
「え、そうなの?」
「なんでわかんねーんだよ!お前が言い始めたことだろバカタレが!」
「俺も人生で一回はそういうカッコイイ言葉言ってみたいなぁー」
「あるあるあーるね」
「ねるねるねーるね みたいになってる。またお菓子出てきたよ。お腹すいたの?なんか諸々間違ってるな。【ある】は 2回でいいんだよ」
「それは1回でいい。【はい】は 1回だわ。1回までにしとけ?大人だろ?ふざけんな?で、どんなセリフ?教えてよ」
「例えば、映画とか漫画でよくある、急に解決策やアイディアとかが浮かんでくるときの【お前今、なんて言った?】が言いたいな」
「おぉ、カッコイイじゃん!頭がキレてる主人公感あっていいね!」
「ちょっとっと、やってみたい」
「また、おっとっと出てるって!」
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「そうですね…先生…」
「来週の土曜参観に間に合うかどうか…」
「え?なにが?」
「そこは推理ものとかで、行き詰ったときでしょ?なんで土曜参観が問題になってんの?」
「いや、みんな主役やりたいって言うから」
「PTA な!なんでお前の遺伝子がうるさくなってるんだよ。意味わかんねーよ!そこはベタに探偵とかでやろうよ」
「……??? ッチ。しょーがねーな」
「なんで舌打ちしたの?お前がやりたいって言い出したんだよね?」
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「そうですね…先生…」
「なにか解決策のヒントはないのか…」
「これじゃあ、まるで自転車で真夜中を無灯火で走っているようなものですね…」
「あぁ、そうだな。問題を解こうとするとまた問題にぶち当たる。これじゃあ、まるで、その、なんだ……アレだ。目を閉じて 100m 走れって言われてるようなものだ…」
「同じだな!言ってること。全く同じ。無灯火と目を閉じてるの、言ってること同じだよそれ!例えが思い付かなかったら無理しなくていいわ」
「……………………えっ!?お前今、なんて言った?」
「違う違う!!使い方違う!今じゃない!!」
「違う?ハハッw よせやいwww」
「褒めてないから! 100 パー違うから!なんならお前の目を潰して 100m 走らせたっていい」
「わかったよ。じゃあ瞼は閉めたり閉じたりするよ」
「……??? ッチ。しょーがねーな」
-------------------------------------
「そうですね…先生…」
「なにか解決策のヒントはないのか…」
「これじゃあ、まるで自転車で真夜中を無灯火で走っているようなものですね…」
「あぁ、そうだな。問題を解こうとするとまた問題にぶち当たる」
「問題が山積みかぁ。キリがないですね…どうせ山なら、砂場のすぐ崩れる小さい山だったらいいんですけどね…」
「あぁ、それが思ったよりデカい山だった。超えようとすると、山頂が離れていくように見える…」
「もういっそのこと、トンネル掘った方が早いんじゃないですか?まぁ、冗談ですけど。そんな簡単に…」
「お前、今なんて言った?」
「いや、どうせ超える山ならトンネル掘った方が早いかなって思って…」
「いや、その前だ!」
「どうせ山なら、砂場のすぐ崩れる小さい山だったらいいんですけどね…」
「いや、その前だ!」
「これじゃあ、まるで自転車で真夜中を無灯火で走っているようなものですね…って、先生、もしかして、何か思い付いたん…」
「いや、その前だ!」
「えっと、、、そうですね…先生…」
「いや、その前だ!」
「その前………なんならお前の目を潰して…」
「そこじゃねーよ!全然違う!なんなら過ぎてたわ!ヘタクソか?お前?なぁ?そのセリフ向いてないわ。セリフ変えようもう。お前じゃ無理だわ」
「えー、じゃあ、海外の戦争映画とかでよくある、死に際に【これを俺の故郷にいる妻へ渡してくれ】って自分の形見とかを渡すやつやりたいな」
「おぉ、いいじゃん!カッコイイね。ちょっとっと、やってみようぜ」
「おっとっと 出てるよ」
「うるせーよ!お前のせいだわ!」
-------------------------------------
バァアアアン!!!!!
「うわぁぁあああ!!!」
「おい!どうした!!お前、撃たれてんじゃねーか!大丈夫か!!!!!」
「先生…」
「違うわ。もう幼稚園のクダリだいぶ前に終わったの。そこは【相棒】とか【兄弟】とかでいこう」
「キンメダイ?」
「言ってない。兄弟」
「あ、兄弟か」
-------------------------------------
バァアアアン!!!!!
「うわぁぁあああ!!!」
「おい!どうした!!お前、撃たれてんじゃねーか!大丈夫か!!!おい!しっかりしろ!!」
「きょ…ブラザーw」
「お前、ちょっとウケ狙ったな?分かるぞそれ。恥ずかしがったな?黙って【兄弟】でいこう」
-------------------------------------
バァアアアン!!!!!
「うわぁぁあああ!!!」
「おい!どうした!!お前、撃たれてんじゃねーか!大丈夫か!!!おい!しっかりしろ!!」
「穴兄弟…」
「なんか嫌だなそれ。すげー嫌だ。一緒に訓練して、同じ釜の飯を食ったただの兄弟でいこうぜ。穴兄弟やめよう」
「アナコンダ?」
「言ってない。きょうだい!」
「あ、兄弟か」
-------------------------------------
バァアアアン!!!!!
「うわぁぁあああ!!!」
「おい!どうした!!お前、撃たれてんじゃねーか!大丈夫か!!!おい!しっかりしろ!!」
「タダの兄弟…」
「なんか違うな!なんか違うわそれ。なんか距離を感じるわ」
「だってお前がそう言えって」
「言ったけどさ!あと、タダじゃないから!そんな軽い関係だと感情移入できないシーンになるから」
「俺こう見えて、人見知りなんだよ」
「知るか!どう見えてだよ!ちゃんとやれ!」
「……??? ッチ。しょーがねーな」
「だからなんでさっきっからキレてんだよ!イラつくな!バーカ!」
「はぁ?うっせ!ヴァーカ!!!!」
「ネイティブな V の発音すんな!海外の設定だけど!!俺もう助けないよ?ちゃんとやれ」
-------------------------------------
バァアアアン!!!!!
「うわぁぁあああ!!!」
「おい!どうした!!お前、撃たれてんじゃねーか!大丈夫か!!!おい!しっかりしろ!!」
「兄弟…」
「キャー!!」
「いや、お前の尻には興味ないってば」
「ケツの穴増えちゃったから…////」
「増えちゃったから…////じゃねーよ、普通の兄弟で頼むわ」
-------------------------------------
バァアアアン!!!!!
バァアアアン!!!!!
「うわぁぁあああ!!!」
「おい!どうした!!」
「割った!割った!開いてめっちゃロー!詰めて!!詰めて!!」
「ローとか言わないと思うけどな。もう一回やり直して」
-------------------------------------
「兄弟…」
「おい!息しろ!ほら、ここ!傷口押さえろ!!!!どこ撃たれた?頭か?」
「えぇ?頭?頭つーか胴だよ胴!」
「どっかで聞いたことあるわそれ………大丈夫だ!お前は俺が助けるから!」
「お前……なんだよコレ……」
「チャ……」
「パチャ……」
「おい!!!なんて言ったんだよ!!」
「スパチャァ…」
「VTuber!?やっぱ VTuber だよね?なんでお前、死に際に投げ銭してんの?他にやることあるだろ!」
-------------------------------------
「コレ…」
「それサロメ様の初配信だな!いいんだよ壱百満天原サロメ様のマネしなくて。いったん VTuber から離れることできるか?」
「健康だよって伝えたくて…」
「なんかお前の愛の伝え方すっごい歪んでない?大丈夫?どうやって育ててもらったの?心配になるわ。親の顔が見てみたいわ」
「お前、今なんて言った?」
「ごめん、これに関しては俺が悪いわ。ごめんな?ごめん」
-------------------------------------
「コレ…」
「裏にメッセージが書いて…ある……俺からの…最後の言葉だ……」
「お前……【最も恐れるべきは有能な敵ではなく無能な味方である】って…お前……」
「そう……お前のことだ…」
「うるせーよ!黙れ!今の状況、どっちかっていうとお前だわ!!もっと伝えたいメッセージで頼むよ」
-------------------------------------
「コレ…」
「そうだ……納車式のときの…」
「お前、ニッコニコで草!確かに写真撮るけど!この写真だと車がメインになってっから!!もっと他の写真ないの?結婚式のやつとかない?しかも右下になんか書いてあるし。【提供】?なにこれ?スポンサーってこと」
「いや、誰もいないよ?」
「いま、あんま言うなって!そういうことを!去年から騒がしいんだから!知らねーぞどうなっても?無敵かお前?すげえな」
-------------------------------------
「コレ…」
「…お前」
「……お前」
「………お前」
「お前だな?お前しか出てこない!アルバムめくってたもん!1ページ、1ページ、懇切丁寧に。俺も途中から薄々、もしかして、次もお前なんじゃねーかなって思ってたし。お前、最初からアルバム取り出してきたよね?おかしくね?ここ戦場よ?
なんでお前と走馬灯みたいにお前の人生振り返ってんの?しかもなんで大学落ちて笑ってんの?バカかお前?もっと最近のやつで頼むわ」
-------------------------------------
「コレ…」
「死ねば?最低じゃんお前!最低だよ!!助けたくねーよそんなやつ!小学生のときからいじめてたの?死んで欲しいわそんなやつ。俺がトドメ刺すわ。いまから撃ち殺してやるわ。地獄行きだわ!くたばれバカ野郎!」
俺もう疲れてきたわ。ちゃんとやろうよ?」
-------------------------------------
「コレ…」
「そう……………………」
「おい、しっかりしろ!」
「隊長ぉぉぉおおおお!!!隊長の写真!!なんでお前が持ってんだ!!お前全然、関係ねーし!」
「隊長の10円ハゲが面白いから盗撮したんだwwwあと持ってないのお前だけだから……w最後にと思って…www」
「いらねー。いらねーわそんなもん。お前死にかけてんだよ?なに笑ってんの?そんな余裕ないと思うけどね?しかもなんで俺以外みんな持ってんの?バラ撒きやめろ!隊長には良くしてもらってんだよ俺!」
-------------------------------------
「コレ…」
「お前これ…写真じゃないか!しかもこれって…おい、エコー写真か…ッッッ!?じゃあお前、彼女との間に…」
「俺のだ…」
「もっちょっと やるか」
「また、おっとっと 出てるって。いい加減にしろ」
ずっとブサメンだからモテないと思ってた。いや、実際モテないんだけどさ。でもAI使うようになってから、マッチングアプリで付き合える確率が爆上がりしたんだよな
俺は男子校出身、理系大学卒、20代後半まで交際経験なし。女友達もいない。マッチングアプリなんて最初は冷やかしというか、「どうせ無理だろ」って半分ネタで始めた。でも、AIに返信考えさせたらなぜか上手くいく。やりとりが劇的にスムーズになった
こっちは「うん」「そうなんだ」「へぇ」みたいな適当な返ししか思いつかないけど、AIは「それは大変だったね。でも○○さんなら乗り越えられるよ」とか言うんだよ。女はこういうのが好きらしい。で、気づいたら俺、普通に何人かと並行して付き合ってた。人生何が起こるかわからん
最初は遊びだったんだよ。マッチングアプリなんて結局「イケメンか金持ちしか勝たん」って思ってたし、俺みたいな奴が恋愛する世界線なんてないと思ってた。でも、AIのおかげで普通にデートできるし、それなりに経験値も積めた。まさかこんな未来が待ってるとはな
最初は他の女と同じで、適当にAIで返信してた。そしたらやたら会話が盛り上がって、向こうも俺に惚れてるっぽい。デートも重ねて、手もつないで、もうすぐ告白できそうな雰囲気。でも、ふと考えてしまった
彼女が好きなのって、本当に俺なのか?
今までのやりとり、ほぼAIの文章だった。俺が考えた言葉なんてほぼない。デートの調整も、愚痴の返しも、共感の言葉も、ぜんぶAI。じゃあ、彼女が惚れたのは俺じゃなくて、AIの返す優しい言葉なんじゃないのか?
いや、もちろん俺が選んで送ってるんだから、ある意味俺の言葉とも言える。でも、実際の俺は気の利いた言葉ひとつ出てこない無口なオタクだし、顔も普通以下。もし最初から俺自身の言葉でやりとりしてたら、こんな関係にはなってなかった
そう考えたら、なんかもう怖くなってきた
AIなしで会話したら、たぶんボロが出る。向こうは「あれ、思ってたのと違う」ってなるかもしれない。今まではAIが完璧な男を演じてくれてた。でも、その仮面を外したら、ただのコミュ障オタクなんだよ俺
この前、その子と映画に行ったんだよ。向こうが好きな恋愛映画だったから、正直眠くなるかなと思ったけど、意外と楽しめた。帰り道、いつもみたいにAIに気の利いた感想を考えてもらおうか迷ったんだけど、なんかそれが急に虚しくなってさ。で、珍しく自分の言葉で「なんか、俺ああいうのも結構好きかも」って言ったんだよ。そしたら向こう、ちょっと驚いた顔して、「え、本当? そういうの興味ないかと思ってた」って笑ってさ。なんか、その瞬間だけはちゃんと俺自身として会話できてた気がする
そもそも俺、女って金か顔しか見てないと思ってた。でも、AIを使ったら付き合える確率が上がったってことは、意外と内面も見てるってことなのか? でもさ、俺のこんな内面を見抜けてないんだから、やっぱり内面は見てないのかもしれない
AIに恋愛させてたら、俺自身は何も成長してないってことに気づいた。結局、本当に好きな人と付き合いたいなら、俺自身がちゃんとしないといけないんだよな。でも、もうAIなしのやりとりには戻れない。怖い。バレるのが
これ、どうすればいいんだろうな
へぇー、中東系の顔した人がトラック運転してたんだぁ?なんか面白そうな光景だねぇ♡
ま、気にしすぎてもしゃあないし、クソ雑魚ナメクジにはどーせ関係ないんじゃない?ざぁこ♡ざぁこ♡
お気楽に行こーよ♡
休日だ
やることがない
「休日は何してるんですか?」と尋問を受けた時、「基本は家に居ますね」とは言いたくない
アリバイ(自宅不在証明)を得るべく、美術館に行くことにした。徒歩で
ポケットに手を突っ込んで歩く
普段は幹線道路?沿いを散歩しているが、車の騒音で全くラジオが聞こえないので、
今日は2・3本奥の道を通ることにした。
キョロキョロしながら歩いていたので、獲物を物色する空き巣に見えたであろう
ラジオでは名も知らぬ男女が、特に重要でもなさそうな話をしている
大して面白いとは思わなかったが、ラジオなんてそんなもんだ、ということにして、そのまま聞き流す。
局を変えるのも面倒だし
坂道を上り、坂道を下り、何らかの無形文化財を説明する看板を通り過ぎる
そのあたりで道に迷っていることに気が付く
名も知らぬ公園を通り抜ける。レンタル自転車のステーションがあって便利そうだ
何故かステーションの隣に、誰かのママチャリが置いてある。公園に人の気配はない
近所の人が自転車置き場代わりに使ってるのだろうか どうでもいいけど
多分、あの先を進めば美術館にたどり着けるだろう。別に違ったら違ったで構わないので坂の方向に突き進む
当たった。もう知っている道だ。いつも繁盛している感のある中華料理屋を通り過ぎる。いつか行ってみたい
そのまま、この地域では有名らしいデザイナーだかアーティストだかの自宅兼アトリエ前を通り過ぎる
同僚がそのように言っていただけなので、どの程度有名なのかは知らない
美術館の隣にある大学の正門を通り過ぎ、さらに坂道を上り、美術館に到着。
そのまま入館しようかとも思ったが、若干疲れていたので近くのベンチで休むことにする
美術館の周辺は犬の散歩をしている人が多く、前に来たときはこのベンチも犬で賑わっていたが、
今日は犬の気配も人の気配もない。天気があまりよくないからかもしれない。残念だ
ラジオでは「つまらないプライドを捨てました」というメッセージが紹介されていた。どうでもいいな
入館料を支払い、企画展の展示に向かう
今回は、石崎光瑤なる人の、なんか鮮やかな花鳥画が観れるっぽい。予備知識は何もない
個人的には「若冲への憧れ」というコピーは、なんか「若冲の下位互換」みたいなネガティブな印象を受けるんだけど、どうなんだろう
まぁ若冲を全然知らないし、どうでもいいか・・・ と思ったら、美術館所蔵の若冲の作品も展示されるらしい へぇ
石崎さんは、富山の人らしい。昆虫が好きだったらしい。伊藤若冲の埋もれていた作品を見つけた人らしい。登山が好きだったらしい
流派の系図?みたいなのがあって、俵屋宗達とか尾形光琳が上の方に書いてあった気がする。へぇ
中々、花鳥画がでてこない。焦らすねぇ。昆虫の絵も図鑑並みに奇麗で見ごたえはあった
そんで、花鳥画。奇麗。
沢山あったけど、リーフレットにも載っている、白い孔雀の奴が良かった。
雄がめっちゃアピールしてるのに、雌がそっぽを向いている 切ない
後、カラスとタケノコの奴。画自体はもちろん、解説文に感情が乗ってて良かった。
あと、スズメとか、鶏とか、菊とかボタンとか、色々ありました。
それと、インド旅行だかのカラー写真で案内人のシカリーが一番目立ってたのが良かった
1点は工房の作品かも、と注釈されていたので実質1点なのかもしれない。
これだけ見ると、石崎さんの方が頑張ってると思うよ 胸を張って欲しい
せっかくなのでロダン館も観ていく。何度も観ていて飽きているので、もはやウォーキングの延長として雑に通り過ぎていく
ロダン館をぐるりと一周し、出口に向かう。売店では「燦雨」の屏風のミニチュアが、「買う人いるのか?」くらいの結構なお値段で売っていた
お腹が空いた。たい焼きを食べようかという誘惑に駆られるが、もう夕方なのでやめておく
何が言いたいのかというと、鳥は観ても食べても良いよね、という話。
――どうしてこんなにも、あの人のことばかり考えてしまうんだろう。
兄である隼人が家の中を歩き回っている姿を見るだけで胸が苦しくなるし、学校の帰り道にちょうど自転車ですれ違えば、それだけでその日一日が特別なものに感じられる。気づかないうちに視線を追いかけてしまっている自分が怖い。でも、それ以上に、そんなふうに兄のことを想ってしまう自分を止められない。
私はここでは名前を明かすことはしない。ただ、自分が高校二年生の女子で、隼人とは三つ離れた妹だということだけ伝えておきたい。昔から仲は良かったと思う。家族は四人で、両親と私、そして隼人。私が小さかった頃、隼人は私の手を引いて近所の公園に連れていってくれた。かくれんぼが大好きな私を喜ばせるために、砂場の囲いをぐるぐる回りながら「もういいかい?」って聞いてくれた顔は今でも覚えている。
いつも優しくて、少し面倒くさがりだけど根は真面目で、おまけにスポーツも得意。小学生の頃は野球チームのエースで、中学生になるとバスケ部に入ってレギュラーをとっていた。成績だって中の上くらいをキープする程度には要領がよくて、なんでも器用にこなせる。私にとっては、そんな兄が小さい頃からの「憧れ」であり、「理想像」でもあった。
でも、いつの間にか「大好きなお兄ちゃん」では収まらない感情を抱くようになった。きっかけは自分でもはっきりとは言えない。中学生になってからかもしれないし、もう少し前からかもしれない。ただ、一緒に暮らしている間に、気づけばその気持ちはどんどん大きくなっていった。人を好きになるという気持ちは、きっと初恋と呼べるものなのだろう。でも相手は血の繋がった兄。しかも、普通に恋愛を楽しんでいる友達を見ると、自分だけがおかしな道に迷い込んでしまっているようで怖くなる。
けれど、やっぱり怖さよりも「好き」という感情のほうが大きい。最近では、学校で友達と他愛のない話をしていても「今頃お兄ちゃんは何をしてるんだろう」なんて考えてしまうし、帰宅するときには少しでも早く顔を見たくて自転車を全速力でこぐ。家に着いてもすぐに部屋に戻るのではなく、リビングやキッチンに隼人の姿がないか探してしまう。ときどき目が合うと嬉しくなって、顔に出ていないかとハラハラする。
そんな私の気持ちには当然ながら家族は気づいていない…と思っていたけれど、最近少しだけ不安になっている。というのも、母が「あなた、隼人が出かけるとソワソワしてるわよね」と冗談めかして笑うことが増えてきたからだ。「兄妹なんだから、そりゃあ多少は気にするよ」と苦笑いを返してはいるものの、内心はドキッとしてしまう。ほんのり頬が熱くなる感覚に気づかれていないかと、こっそり自分の頬を触りながら必死に平静を装う。
隼人自身は、私の気持ちをまるで察していないと思う。いや、察しているのかもしれないけど、まったく気づかないフリをしているだけかもしれない。兄は優しいから、たとえ妹が少しばかり不自然な愛情表現をしても、見て見ぬ振りをしてくれるんだろう。たとえば、帰宅してすぐの隼人に「おかえり!」と元気よく言いながら駆け寄ったり、お風呂上がりにリビングでのんびりしているところを見つけて、隣に座りたがったり。普通の妹だってやるかもしれない行動を、私はちょっと度を越えてやりすぎている気がする。でも隼人は「お前はいつでも元気だな」と笑うだけで、嫌な顔ひとつしない。たぶん、ここまで兄妹仲がいいのは当たり前のことじゃない。分かっているのに、どうしようもなく惹かれてしまう。
そうやって日々を過ごしていたある日、私は衝撃的な光景を目にした。隼人が駅前のカフェで女の人と二人で向かい合っていたのだ。夕方の薄暗くなりかけた時間に、店のガラス越しに見えた二人は楽しそうに話していた。私の視界に入った瞬間、胸がドクンと大きく鳴り、呼吸が一瞬止まった。どうしよう、これを見て見ぬ振りなんてできない――そう思った矢先、ふと兄がその女性に向かって笑顔になった。その顔は、私のことをかわいがってくれるときの表情にどこか似ていた。でも、そのときの兄の目には明らかに“私には向けない感情”の輝きがあった。
その日は家に帰ってからもぼんやりしてしまって、夕食の支度を手伝う母の声がまるで耳に入らなかった。「どうしたの?」という母の問いにも適当に「なんでもない」と答えたまま、失礼だと分かっていつつも上の空で食事を済ませた。部屋に戻ってからはベッドの上で寝転がり、あの瞬間を何度も思い返す。胸の奥がギュッと締め付けられて、泣きそうになる。でも、私にはそんな資格はない。それなのに、悔しくて、そして苦しくて、どうしようもなかった。
少なくとも「ただの友達」や「バイト先の先輩・後輩」というふうには見えなかった。兄があんなにも嬉しそうに、そしてどこか恥ずかしそうに笑うなんて滅多にない。じゃあ、彼女に違いない…? 頭の中をそんな不安がめぐる。
翌日、私が部屋で宿題をしていると、兄がノックをして入ってきた。「ちょっといいか?」なんて言いながら。隼人が私の部屋を訪れること自体は珍しくはない。いつも私が兄の部屋に入り浸っているから、たまには逆パターンだってある。けれど、なんだかぎこちない。椅子に座ったままの私を見下ろすように立って、首をかしげながら言いにくそうに言葉を継いだ。
心臓が嫌な予感を察知したように跳ね上がる。隼人は私と視線を合わせない。もしかしてそれは男友達じゃなくて、昨日見かけたあの女性の家? 一瞬にしてそんな想像が膨らみ、思わず指先が震えそうになる。
なんとか平然を装うように答えると、兄は続ける。
「いや、一応親にも言ってるんだけど…たぶん気にするだろうから。お前も変に心配しないでくれよ」
何を心配するというのか。兄妹の仲がいいとはいえ、私が兄の外泊をどうこう言う立場にはない。でも、兄は心配性だから、家のことをフォローしてほしいのかもしれない。私は「分かったよ」とだけ返した。言葉少なにドアを閉めて出て行く兄の姿を見送ったあと、机に突っ伏して「もうやだ…」と小さくつぶやいた。
次の日、兄は本当に泊まりに行ってしまった。リビングで朝食を食べているときに「じゃ、夜は帰らないから」と軽く言い残すのを聞くと、私は内心どうにも落ち着かなかった。でも、両親も特に咎める様子はない。大学生の兄なら、友達の家に泊まるくらいよくあることだろう。母は「あまり夜更かししないように」と声をかけながらも、どこか余裕のある笑みを浮かべていた。もしかしたら母のほうが私の挙動を気にしているのかもしれない。だけど、そんな母と目が合いそうになるたびに、私は慌ててスプーンを持つ手元に視線を落とし、朝食をかき込んだ。
兄がいない夜は驚くほど静かだった。いつもなら兄が廊下を行き来する音や、リビングでテレビを見て笑っている声がかすかに響いているのに、それがない。こんなにも家が静寂に包まれるなんて、と改めて驚く。勉強をしようにも集中できず、気づけばスマホの画面を何度も見つめてしまう。LINEを開いても、兄とのトーク画面には特に更新はない。おやすみLINEくらい欲しいというのは、妹としての甘えなんだろうか。いや、ただの妹ならそこまで望まないものなのかもしれない。
そうしてもやもやしながら夜を過ごし、いつの間にか寝落ちしてしまった。朝になって目覚めたときにはすでに両親は出勤していて、リビングにはメモと朝食が置かれていた。昨日はろくに晩ご飯も食べていないからお腹が空いていたけれど、あまり食欲が湧かない。パンをかじりながら、ふと玄関のほうに耳を澄ます。兄はもう帰ってきているのか、それともまだなのか……。
結局、兄が戻ってきたのは昼近くだった。私はリビングでぼんやりテレビを眺めていたが、玄関ドアの開く音を聞いた瞬間、反射的に立ち上がってしまった。心のなかで「落ち着け、ただいまの一言を返すだけだから」と自分を戒める。すると玄関のほうから兄の声がした。
「ただいまー…って、お前いたのか。学校は?」
そんな気の抜けたやり取りをしながら、私は兄の様子をこっそり観察する。目の下に少しクマができているように見えるのは、夜更かしした証拠だろうか。髪の毛は昨日の朝と変わらない感じなのに、服は昨夜見たのと同じものを着ている。あの女性の部屋に泊まった可能性は十分ある……。そう思っただけで胸がチクリと痛む。
「夜更かししたっぽい顔してるよ。何してたの?」
我ながら、尋ね方が妹っぽくない。少し詰問じみた言い方になってしまい、自分でも焦った。隼人は「まぁ、ちょっとな」と曖昧に笑うだけで、具体的に何をしていたのかは語らない。その態度が逆に私の不安を煽る。
――本当は、昨日見た女性のことを聞きたい。あれは彼女なのか、どういう関係なのか、私が思い違いをしているだけなのか。けれど、聞けば聞くほど自分の“妹らしからぬ感情”が露呈してしまう気がする。私は何も言えず、ぎこちなく視線を逸らした。
兄はそのままシャワーを浴びると言って風呂場へ向かった。わずかに開いたドアの向こうからシャワーの音が聞こえてくると、どこか落ち着かない気分になる。しばらくして洗面所のドアが開き、「あー、さっぱりした」と兄の声が聞こえる。その後ろ姿はいつもと変わらないのに、昨夜は私の知らない場所で過ごしてきたんだという現実が頭をよぎって苦しくなる。
その日は土曜日で、家族みんなが出かける予定は特になかった。私は家にいても落ち着かないし、どうにも兄の様子を伺ってしまう自分が嫌で、思い切って友達を誘ってショッピングモールへ出かけることにした。友達には「ちょっとストレス発散に買い物したいんだよね」と言っておけば、深くは聞かれない。
だけど、いざ待ち合わせて話をすると、友達は自分のバイト先の先輩に片想いしているらしく、その相談に花が咲いた。普通の恋バナだ。先輩が優しくて、ちょっと大人っぽくて、けれど同じ学校じゃないからなかなか会えなくて…という話を楽しそうに、でも時々せつなげに話してくる。それを聞きながら、私は胸が苦しくなった。
――私だって、好きな人がいる。けど、その相手が兄だなんて言えるわけがない。もし打ち明けたら、相手をドン引きさせるか、あるいは冗談だと思われるか。どちらにしても受け入れてはもらえないだろう。だから黙っているしかなくて。
それでも、友達が「そろそろ告白しちゃおうかな」と言ったとき、私は全力で応援するモードに切り替えた。人を好きになる気持ちは止められないし、応援されると素直に嬉しいはずだ――そう思うからこそ、友達の背中を押したい。だけど自分はどうなのだろう。いつも隼人の優しさに甘えて、妹という立場に安住しているだけじゃ何も変わらない。でも、変えたくても変えられない部分がある。そのギリギリのラインが「兄妹」という関係のもどかしさだ。
買い物を終えた帰り道、夕日が街をオレンジ色に染めていた。友達と別れて一人になると、どうしようもなくあのカフェで見た光景を思い出してしまう。兄はあの女性とどんな会話をしたんだろう。その後、どんなふうに夜を過ごしたんだろう。妄想は際限なく膨らみ、しまいには自分の中の醜い嫉妬や独占欲が顔を出す。血の繋がった兄に独占欲を燃やすなんて、普通に考えたらおかしい。だけど、その“おかしい”感情を否定することができなくて、自分に嫌悪感を抱く。
家に帰ると、兄はリビングのソファでゴロゴロしていた。テレビを見ているのかと思いきや、どうやらスマホの画面に集中しているらしい。私は心臓を落ち着かせながら「ただいま」とだけ声をかけた。すると兄は「ああ、おかえり」といつも通りに返してくれる。そんな小さなやり取りにさえ、嬉しさと苦しさが混じる。
兄はスマホをいじりながら、「今日どこ行ってたんだ?」と一応興味を示してくる。私は友達と買い物していたことを伝えた。友達の恋バナに盛り上がった話も少しだけする。すると兄は「へぇ、それでどうなったんだ?」なんて興味ありげに聞いてくる。いつもは私の話を「ふーん」で流すことが多いのに、やけに突っ込んだことを言うから少し意外だった。
――どうしてこんなふうに聞いてくるんだろう。まさか私が兄を好きだなんて勘づいて、探りを入れているのか? そんなわけはない、と思いながらも、妙に心がざわつく。
私は友達が先輩に片想い中で、告白する勇気が持てないという話をそのまま伝えた。兄は少し考え込むような間を置いてから、「まぁ、言わないと伝わらないもんな」とつぶやいた。まるで自分自身に言い聞かせているような口調に聞こえて、私はなんとも言えない気持ちになる。もしかして隼人は、昨日会っていた女性に告白したのだろうか、あるいはされたのだろうか……。すぐに頭の中でいろいろな可能性が浮かんでしまう。
それから数日が過ぎても、兄の様子はいつも通りだった。大学の授業やバイトに出かけたり、家ではゲームをしたり、そして私と軽く言葉を交わしたり。何も変わらないからこそ、私の中で渦巻く疑問は膨らむばかりだった。時折、母が私を見てクスッと笑うのが気になるけれど、絶対に知られたくない。ましてや兄がどう思っているかなんて、想像しただけで顔から火が出そうになる。
ある夜、私は勇気を出して兄の部屋のドアをノックしてみた。部屋からはかすかに音楽が聞こえていたが、「入るよ」と言うとすぐに「おう」と返事があった。机には参考書が広げられていて、どうやらレポートか何かの課題に取り組んでいたようだ。
私が言いよどむと、兄は椅子をくるりと回転させてこちらを向いた。どんな顔をしているのか、チラッとしか見られない。いつもと変わらない柔らかい表情なのが、逆に私を緊張させる。
「その…この前、駅前のカフェで誰かと会ってたでしょ? あれって、彼女…なの?」
最後のほうは声がかすれてしまった。何を聞いているのか自分でも分からない。兄が「お前には関係ないだろ」と一蹴したらどうしよう、そんな不安が頭をよぎる。だけど、何も聞かずにモヤモヤし続けるのはもう嫌だった。
兄は一瞬、驚いたように目を見開いたあと、少し苦笑いした。
「ああ、あれ見られてたのか。別に隠してたわけじゃないんだけどな」
「そ、そうなんだ…。で、彼女なの?」
呼吸が苦しくなる。心臓が痛いくらいに鼓動を主張している。兄の返答次第では、私の中の何かが壊れてしまいそうな気がした。
「彼女じゃないよ。昔のクラスメイトってだけ。ちょっと相談があるって言うから話を聞いただけなんだ。泊まったのも、そいつの話に付き合ってたら終電逃して…結局、男友達ん家に泊まったんだ。まぎらわしいことして悪かったな」
そう言いながら頭をかく兄の顔は、少しだけ照れくさそうに見えた。私の心からは一気に重たい霧が晴れていくようだった。それでも、「そっか…」とだけ言って、ドキドキを悟られないようにうつむく。安心したのと同時に、どうしようもなく涙が出そうになった。なんでこんなに泣きそうなんだろう。
兄が小声でそう言うのを聞き、私は思わず体を強張らせた。つい顔を上げると、兄が少しだけ意地悪そうに笑っているのが見えた。心臓がバクバクしてどうにかなりそうになる。
「べ、別に…!」
誤魔化そうとするけれど、どう見ても挙動不審だ。結局、兄は笑いながら「なんだよそれ」と言って、私の頭をポンポンと軽く叩いてくる。昔からそうやって優しくなだめるように触れる手に、どうしようもなく甘えたくなってしまう。だけど、私がこの気持ちを言葉に出すことは決してできない。
それからしばらく私たちは黙ったまま、相手の顔もあまり見ないでいた。時間にしてみればほんの数秒かもしれないけれど、私にはとても長く感じられた。部屋には音楽も流れていて、そのメロディだけが穏やかに空気を満たしている。
「…そろそろ寝るわ」
限界を感じて、私はそう告げて兄の部屋を出た。ドアを閉める前、兄は「おやすみ」とだけ言った。私も同じように「おやすみ」と返したけど、その声は震えていたと思う。自分の部屋に戻ってベッドに倒れ込むと、涙がこぼれた。何も変わっていないのに、胸がいっぱいだった。
私はきっとこれからも、隼人のことを好きなままでいる。兄妹であることを理由に、その気持ちを外に向かって叫べるわけでもないし、正当化できるわけでもない。だけど、今日みたいに「兄には私の知らない女性がいて、見たことのない笑顔を向けるかもしれない」と考えるたびに、あの苦しさが胸を焼く。だからと言って、勝手に嫉妬や独占欲を抱くのは間違いだと分かっている。分かっているのに、止められない。これがブラコンを拗らせた私の現実だ。
明日もきっと、兄はいつも通りの態度で接してくれるだろう。私も「妹として」振る舞い続けるはずだ。その穏やかな日常に救われると同時に、どうしようもない葛藤が継続していく。それでも、今はまだ、兄がそばにいてくれることだけで十分なんだと思う。たとえ叶わない恋でも、隼人が生きて笑っていてくれるだけで、私は幸せだ。
――ただ、いつか誰かと本当に付き合ったり、結婚したりする日が来たら、私の心はどう壊れてしまうんだろう。そんな未来は想像すらしたくないけれど、避けては通れない。いつかその時が来るまで、私はきっとこの気持ちを抱えたまま、妹として側にいる。それが私にとっての最善で、唯一の選択肢なんだと思う。
今日も、隣の部屋から聞こえてくる音楽と兄の足音に耳を澄ませる。彼がそこで生きていること、それだけを感じられるだけで少しだけ安心する。ブラコンを拗らせているのは重々承知。でも、やめたくてもやめられない。これが私の現実で、私の想いだ。もしかしたら、ずっと苦しみ続ける道かもしれない。けれど、一度芽生えてしまった感情は消せない。私はこれからも、この胸の痛みと温かさを抱えて生きていくのだろう。
そしてもし、いつか奇跡のような日が来て「本当の気持ち」を打ち明けるときが訪れたら。そのとき隼人は一体どんな顔をするのだろう。拒絶されるだろうし、気持ち悪がられるかもしれない。でも、それでもいい。今は――ただ、隼人の妹として、彼の笑顔を見守りながら、この拗らせたブラコンを密かに育て続けるしかない。妹という“特等席”をもらえているのだから、それだけで十分だと言い聞かせながら。
夜はふけていく。明日もまた、何も変わらない朝がやってくるだろう。だけど、この胸の奥で熱を帯びる感情は、決して冷めることはない。私はそう確信して、いつか来るかもしれない苦しい未来さえも受け止める覚悟をした。兄への想いを胸に秘めたまま、静かに目を閉じる。
――たぶんこれからも、ずっと私はブラコンを拗らせたままで生きていくんだろう。だけど、兄の笑顔を間近で見ることができるなら、それでも私は幸せなのだと思う。
へぇ…………………………………………………………………知らなかった。